第25話 デートでどこに行くか決めました。

 デートに誘った次の日。


 俺はベットの上で正座をしながら、スマホを手に持っていた。


 スマホに写るのは松田鈴という名前と、俺が打ち込んだ文章。


 文章は『デートの日はどこに行きたいですか?』だ。


 ……デ、デートって打っちゃった……。


 どうしよう。 まだ消せる。 書き直そうと思えばまだ書き直せる。


 でも、俺にはこれ以上の文章を今打てる気がしない。


 ………………ええいままよ!


 俺は送信ボタンを押す。


 画面には俺が打ち込んだ文章がしっかり松田さんへと届いていた。


「……はぁ」


 たったこれだけでいっきり気力を持っていかれた気がする。


 喉乾いたな。 飲み物とってくるか。


 俺はベットから降りて台所に向かおうとした。


 しかし、ドアを開ける手前で、俺の耳には連絡を知らせる着信音が届いた。


「嘘っ……もう返ってきたの?」


 俺は踵を返して、手でスマホを持つ。


 画面には『映画が見たいな』と書いてあった。


 ほぅ……松田さんは映画見たいのか。


 確かに映画はいいな。 最近見てないし、いい感じに過ごせそうだ。


『映画なに見たい?』


『最近流行ってる恋愛映画! ○○ってやつなんだけど、春名くんは知ってる?』


 ○○って最近無茶苦茶CMでやってるやつだよな?


『知ってるよ! なら、見に行こうか!』


『うん! そうしようよ! いや、楽しみだな〜』


 恋愛映画なんて見たことないな。


 でも、こういうジャンルを見ることで、恋についてもっと詳しくなれるのかもしれないな。


『後はどうする? 俺は昼食も一緒に食べたいし、ショッピングもしてみたいんだけど……』


 映画だけ見てさようならはいくらなんでも寂しすぎる。


 せめて、せめて昼食は一緒に食べたい。


 あわよくばショッピングデートをしてみたい。


『昼食一緒に食べるのも、ショッピングもいいねー! 私、ショッピング大好きなんだぁ!』


 松田さんからの返信を見て、俺はホッと胸を撫で下ろす。


 よかった……いい感じにデートプランが決まった。


 もしここで用事あるから昼からはちょっと……なんて言われてたら、俺は部屋の隅で体操座りしていたかもしれない。


『じゃあ、映画見て昼食食べて、そのあとにショッピングでいい?』


『うん、いいよー! 何時集合にする?』


『ちょっと待ってね。 ○○の上映時間調べるから』


 俺はネットで検索する。


 時間帯でいったら10時台があるな。


 見終わった後は昼食にちょうど良い時間になるはずだ。


 席はあるかな?……うん、今予約すれば大丈夫そうだ。


『10時台に席空いてたよ。 今予約すればチケット取れそう。 どうしようか?』


『なら、もう取っとく?』


『そうしようか。 じゃあ予約取るからちょっと待って』


『いいの?』


『いいよいいよ』


 俺からデートに誘ったし、映画は松田さんからの提案だからな。


 これぐらいは俺がしないとな。


『よし! 予約取れたよ! チケットは次の塾の時に渡すね!』


『ありがとう! チケット代は塾の時に渡すね!』


『わかった』


 あれ、ここは俺が奢るよって言ったほうがいいのかな?


 でも、松田さんはお金渡すって言ってるし……。


 次の塾の時に聞いてみるか。


『映画が10時台だから、10時前にショッピングモールの真ん中にある銅像に集合でどう?』


『わかった!』


 ふぅ……これでデートの予定が決まったな。


 一安心だ。


『じゃあ、私もう眠たいからから寝るね。 お休み〜』


『お休み〜』


 俺は文章を打ち込んだ後、後ろからベットに倒れ込む。


 あぁ緊張した。 気が抜けて俺も一気に眠気が、きた、なぁ…………。


 俺はそのまま寝落ちしてしまった。


 朝目を覚ました時には、俺の喉はカラカラになっていた。


 そういえば、水分取るの忘れてたな……。


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