第23話 期末試験一週間前です。

 部屋から聞こえる音はスマホから流れる勉強用BGMと、シャーペンの音。


 俺は今、自分の部屋で勉強をしている。


 今は技術・家庭科や美術などの副教科を勉強しているところだ。


「あぁ…疲れたぁ」


 かれこれ勉強を始めて2時間。


 今日は副教科を集中してやる!と自分で決めてやっているけど、主教科とは違う感じで頭を使っているような気がする。


 特に美術には神経を使うというか、集中力を使うというか、とにかく頭が疲れる。


 俺は絵が得意じゃないから、座学の方で点数を取りたいんだ。


 それに座学なら点数はそこそこ取れると、1年生の時に経験したからな。


「部活停止期間が勝負だ。 頑張れ俺」


 今日が期末試験一週間前だ。


 部活も停止になり、勉強に集中することができる。


 今まではこの部活停止期間にゲームをしたり、動画を見てたけど今回はゲームは完璧なしにして、動画を見る時間も自分で決めている。


 完璧にできるとは自分でも思ってはいないけど、前よりは集中して勉強ができる環境は作ることができるはずだ。


「うっし! 夜食食べて休憩したら、もう少し頑張りますか!」


 俺は少し前に母さんが作ってくれた塩おにぎりを食べる。


 うーん……なんで母さんが握る塩おにぎりはこんなに美味しいんだろ?


 塩しかつけてないはずなのに。


 なんで俺が作った塩おにぎりは普通なんだろう?


 俺はどうでもいいことを思いながら塩おにぎりを食べ、反対の手でスマホを操作する。


 この姿母さんに見られたら俺、はしたないって怒られるだろうな。


 〜〜♪♪♪


「ん?」


 スマホに誰かからの連絡が来たから、俺はSNSを開いた。


 目に入る文字は『14歳組』。


 これは前ファミレスに行ったメンバー達とのSNSグループだ。


『みんな勉強進んでるー?』


 そんなことを書いているのは阿部さんだ。


『俺は絶賛理科でつまり中』


『私も……』


 ツバサと松田さんは理科でつまってるのか……。 一回つまると抜け出すのに時間かかるよな。


『わたしは今日の勉強分は終わったから、ドラマ見てるよ』


『あたしも琴美と一緒かな』


 うわっ…流石成績が良い近藤さんと村上さんだ。 余裕を感じる。


『ボクはゲームしてるよ』


『オレもしてる。 なんなら今、チアキと一緒にオンライン中だ』


 チアキとユウマは意識低いなぁ。


 俺と一緒ぐらいの成績なのに、そんな余裕だして大丈夫なのか?……いや、二人も俺にそんなことは言われたくないか。


『俺は今副教科勉強中。 休憩終わったらもうちょっと頑張るつもり』


 俺は慣れた手つきで文章を打つ。


 すると、一気に既読がつき、それぞれ返事が返ってくるのだった。


『お前どっちかといえばこっち側の人間だったじゃないか!』


『ボクらを裏切るの!?』


 うるさいなユウマとチアキ。 俺は今回の期末試験には、強い思いを込めて頑張るって決めたんだ。


『気分転換に俺も副教科勉強するか…』


『あー!! 副教科のことすっかり忘れてたぁ!! 春名くんのおかげで思い出せたよ! ありがとう!』


 お、ツバサは副教科勉強するのか。


 俺と一緒だな。


 松田さんにはどういたしましてって返事しとこ。


『副教科勉強するのもありだね〜なら、うちは美術勉強しとこうかな〜』


 阿部さんも副教科勉強するのか。


 一気に副教科勉強する人増えたな。


『あたしはもうちょっとドラマ見てから頑張ろうかしら』


『わたしも凛と同じようにしよ〜』


 流石成績優秀者達。 ドラマ見終わっても勉強しっかりするんだな。


 俺も負けてられないな。


 俺は動いているSNSを見ながら、対抗心を燃やす。


 少しするとみんなそれぞれやることに戻ったのか、SNSの動きもゆったりとしたものになった。


「さぁもう一踏ん張りするかぁ」


 俺はスマホを閉じてベットの上に置く。


 そこから俺は日付が変わる寸前まで勉強をしたのだった。

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