第4話  男友達の中でも、隣の席の女の子は人気があるらしい。

「そういや陸。 “女子日”に通うようになったけどさ、誰と一緒に授業うけてんだよ?」


「あ、それ俺も気になってたんだよね」


「そういえば陸だけ“女子日”になってたね」


 部活が終わって友達と帰っている時、ふとそんなことを聞かれた。


 今一緒に帰っているメンバーは、同じ部活で小学校の時からの友達だ。塾も同じなので色々と付き合いが長い。


 背が高く、線が細いユウマ。

 メガネをかけていて、筋肉質のツバサ。

 可愛らしい顔立ちで、この中で一番女の子にモテるチアキ。


 他にも一緒に帰る奴はいるが、この4人で帰ることが多い。


 ちなみにユウマと俺が長距離。 ツバサとチアキが短距離だ。


「俺と一緒に授業受けてるのは松田だよ」


「おー! 松田いいじゃん。 うらやましいわ。 あの小動物みたいな感じが可愛いんだよね。 ツバサもそう思うだろ?」


「まあな、でも俺は村上だった方が嬉しいけどな。 チアキはどうなんだよ?」


「えっボク? ボクも松田さんでも嬉しいけど、やっぱり近藤さんがいいなぁ。 ユウマは誰がいいの?」


「オレか? オレも松田でも嬉しいけど、強いていうなら阿部だったら嬉しいかな」


 三人は授業をうけるなら誰と一緒がいいか話し始める。


 女の子の中では背が高く、バスケットボール部所属のクールな女の子、村上凛。


 たれ目で小柄な体格の割にはスタイルがとても良く、吹奏楽部に所属している女の子、近藤琴美。


 派手な見た目で茶髪をポニーテールにしている、少しギャルっぽくテニス部に所属している女の子、阿部光。


 ここに松田鈴が加わることによって“女子日“が完成されている。


 みんな男子から人気が高い女の子たちだ。


 俺はまだ松田さんとしか話したことがないけどな。


「まあ、でもやっぱりオレ陸がうらやましいわ。 俺もツバサとじゃなくて女の子とがよかったわー!」


「はっ! 俺もお前じゃなくて女子との方が良かったわ!」


「ならユウマもツバサも先生に頼んだらいいんじゃないの?」


 チアキが2人にそう言うと、ユウマとツバサは顔を見合わせてから肩を竦める。なんなんだよ。


「ばっかチアキ。 理想と現実は違うって言うだろ。そんなことにもし俺らがなってみろよ。どうなると思う?」


「結局大したことも話せず、そのままなにもないのがオチさ!」


 そんな悲しいことを言って笑う二人。やめろよ。なんだか俺まで悲しい気持ちになるだろうが。


「ボクはなにもなかったとしても、近藤さんと同じ授業受けれるなら嬉しいけどなぁ」


「なにいい子ぶってんだよこのムッツリスケベのチアキ。 どうせ嬉しい理由は、巨乳な近藤を近くで見られるからなんだろ?」


「は、はぁーー!? ち、ちがいますーー!? それは思い違いですぅーー!!」


 チアキがユウマに対して怒るが、残念ながらそれは事実だろう。


 俺たちの中で一番モテる可愛らしいチアキだが、実は巨乳好きなムッツリスケベである。


 なんなら、俺たちの中で一番エロに貪欲と言っても過言ではない。


「はぁーー! こうやってチアキは女子の前では本性を隠してるんだから質が悪いんですわー! なんでこんな奴がモテて、俺がモテないんですかねーー!?」


「やめてよツバサ!」


「本当にツバサが言う通りだよな。 ここにオレという存在がいるのに……さっ!」


「「ユウマ。 その冗談はキツイっす」」


「はぁーー!? なんなんだよお前ら! マジレスすんじゃなーよ! もっとオレに優しくしてくれよ!」


「「いや~それもキツイっす」」


「あーあ、これは怒りましたわ。 お前ら覚悟しろよっ!」


 そう言ってツバサとチアキに飛び込むユウマ。あっという間に周りは賑やかになる。


 まあ、これもいつものじゃれあいだからどうでもいいか。


 それにしても、やっぱり松田さんって人気あるんだな。そりゃああんだけ可愛かったら当然か。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る