第12話 魔法練習
リール、ユリカ、ユキの3人は魔法用の演習場についた。
中に人はだれも居らず、3人だけになった。
「ステータスは、ランク板の裏に魔法で刻んでいるから、自分の魔力か私の魔力でしか見ることは出来ない作りになってるからね。」
ランク板は、名前とランクが表に見えて、裏は何も書かれていないが、魔力を流せば見える薄い長方形の3㎝×5㎝ほどの鉄の板である。
「それじゃ何が出来るか見てみようかな?リール君の魔力Sクラスでユリカちゃんの魔力がDクラスだから。でもリール君器用さ低いからね〜」と笑いながら話している。
「それじゃ何がしたいか?で教えていこうかな?」とユキは話す。
「魔法を飛ばすにはどうしたら良いんだ?」とリールは聞く。
「普通は。それじゃファイヤーボールって魔法あるでしょ?詠唱ってあるけど、魔導書が無いから短縮してやると。」
ユキは手のひらを、地面に水平に挙げ、10メートル離れた木の的に向ける。
「手のひらに、魔力を貯めて押し出す感じで」
「ファイヤーボール!」と放つと手の3倍ほどの火のボールが的に向かって行った。
「すごいな。」とリールとユリカは感心する。
「ま!こんな感じよ!」とユキは、自身満々に仰け反っている。
この人は誉めて伸びるタイプだな。とリールは思った。
「それでは、やってみて。アドバイスしながらいくから。火の魔法は危ないから水の魔法でいこうか。」
「ウォーターボール!」
と今度は手のひらから水が放出される。
燃えていた木の的が鎮火された。的は魔道具で魔力を込めて造った以上の魔力の魔法をぶつけ無い限り壊れない。しかし、ただの木なので斧等の武器だと普通に壊れてしまう。
「それじゃやってみて」
2人は手を地面に水平にして唱える。
「「ウォーターボール」」
対象的な水が出てきた。
ユリカは手のひらサイズの水が発射され、的を濡らす。対してリールは2メートルの水の壁が的まで続いていた。
「ちょっと!リール君!途中で発射しないと!」と慌てて言ってくる。
「いやそのやり方がわからないから、教えて貰おうと来たのだが。」
「魔力は大丈夫なの?」とユリカは心配そうに聞いてくるがリールは、水の壁を作りながらも平気だと答える。
「これは、不器用とかのレベルじゃない。普通維持するのは上位魔法だし、これで止めるのはAランクでも難しいだろうね。」
「この水を途中で切って見て」
「分かった」とリールは魔力を調整すると、上から押された様に、水の壁はいびつな形に変化する。
「ダメ見たいだね。水を完全に切れていないと成功にならないよ?」
「こうか?」と途中で切るイメージで魔法を放つと、水の壁が真ん中で切れた。そしてまた水の壁が出来る。
「ダメか、こうか?」今度は水の壁が4等分に切れる。
「ちょっとストップ!何してるの!一回これ止めて!」とユキは怒り出す。
リールは魔法を辞めると床が水浸しになる。ユキは火の魔法で床を乾かしながら話すように言ってくる。
「いや、水を切るイメージで手に力を入れたら切れただけた。」
「切るイメージ?」
「そう。切るイメージ」
「何で?」
「多分風で?」
「いや、何さらっと二重魔法使っているの!」
「二重魔法ってなんだ?ユリカ分かるか?」
「いいや、わかんない。この辺で見たこと無いね。」
王都は魔法使いが多いため、情報が多いが田舎では、一般的ではないのだ。
「良い2人とも二重や三重の効果のある魔法は、とても難しいの。二重出来ればAランクの冒険でもなかなかいないのよ!三重なんてSクラスでも難しいし、ああもう!なんであんた不器用なのよ!」と大声で話している。
「いや、ステータスは個人情報だから言わないでくれよ。」とリールは注意するが聞いていない。
「なあ、ユキさん三重魔法ってどうやるんだ?」
「いやいや簡単には出来ないだろう?それが出来たら王都で表彰でもされたらどうだい?」などと言っている。
「要は効果が多ければ良いのか?」
「そうだよ、普通は火、水、土、雷、風、木、氷、闇、光だろうね。熱湯を出せたら二重魔法だね。」
「なるほど、サンダー」とリールは呟き雷を地面にぶつける
二人は驚いた。
「リール君何するの?」
「いや実験でも、少し離れてくれ。」と的に右手を上げる。
「詠唱分からないからなんとなくでいこうか。」と言って魔力を込める。
目の前に水の壁が出来る、そして『シューシュー』と音を立て湯気が見えてくる。
「うわ、すぐ出来た!」とユリカは笑顔でみている。
そして水の壁が『バチバチバチ』『シューシュー』と音を立て始める。熱湯に、電気が通っている。
「これは雷なのか?」とユキは聞く。
「そうだよ、飛ばせないなら風で持てば出来るよね?」
「どう言うこと?」ユキは楽しい反面、不安になる。
「こんな感じかな」とリールは更に魔力を込める。
熱湯+雷の壁が上側から直径30㎝のが玉が持ち上がる、そしてリールの目の前に風魔法で包み込む。
もう1つ左手で直径10㎝の玉を作ると風魔法で包み込む。その2つの玉を魔力を込めて風魔法を取り込む。
玉で維持出来なくなり両手から、緑色の光線が出ている変な状態になった。
この光線は、ぶつけると、熱湯で痺れて、風で切れる恐ろしい光線になった。
「これで四重かな?」とユキに聞く。玉でぶつけようと思ったがダメだったな。
「ああ、ああ、ああ」と放心しながら返事をする。
「もう王都にいけ!ドラゴンでも、討伐して英雄になれ!魔族から世界を守れ!」とユキは騒ぎだす。
「だってよ、リールどうするの?」とユリカは聞くが分かりきった顔をしている。
「いや、面倒だから手堅くいくさ。」
「やっぱりね!」とユリカは笑顔でみている。
「え!行かないの?王都に行けば億万長者になれるよ!金貨がざっくざっくの、贅沢三昧で生きていけるよ!」と欲望まみれた願望をユキは、言いだした。
「まあまあ落ちついてよ、師匠今日はありがとうございました。ユリカも低級の魔法が出来るのが分かりましたし。」
2人は礼をして演習場を出ようとしたら。
「嫌味か。リール君1つ話があるのだけど。」とユキは笑顔で話す。
「この事ギルドマスターに言っても言いの?」
「はい、多分勘づいていますね。」
「ダメか」とユキは小さく呟き。
「それじゃ、王都の魔法学校に報告するのは?」
リールは苦い顔になる。
「それは守秘義務では?」
「守秘義務と世界の魔法の発展、どっちが大事?あーあー、残念だなー王都に行ってこの街に帰ってこれなくなるのかー。いやー残念だなー。毎日魔物を倒して、休む暇もなく働くのかー、残念だなー。」とわざとらしく言っている。
リールとユリカは顔を見合せて考える。
「どうすれば言いですか?ユキさん。」
「もう師匠って呼んでくれないの?まぁ良いけど。生きていくのにお金は大事でしょ?不安な人生なんて嫌だもの。一生余裕に生活出来るだけのお金を稼いだら後はどうでもいいの。後はギルドでのんびり遊んで暮らすから。」とチラチラ見てくる。
「その目標は俺も似てるが、そんなお金は持ってないぞ。」
「だから、ね?魔法使える仲間が欲しいでしょ?」
「ああ、なるほど。ぜひパーティー登録して下さい。いいか?ユリカ」
「うん、良いよ信用も出来るだろうし、無理のしない人なら大歓迎だよ!」
「しょうがないなぁ、ザンバードに入ってあげよう!」と嬉しそうに話している。
「それじゃどこで稼ぐの?王都に行くのか?」とユキは言う。
「いや、ゴブリン退治だ」
「ゴブリン?」
「そう、ゴブリン」
「えーもっと大物狙おうよ。ドラゴンくらい倒そうよ。」
「いや、手堅くいくさ。」
話ながら3人は冒険者ギルドの受付に向かう。
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