第6話 薬屋

 リールは冒険ギルド近くの薬屋へ向かって行く。


「すいません」そう言って中に入ると他の客は誰も居ない。いつもの店主ではなく、若い女性の店員が受付にいた。


「いらっしゃいませ」


「回復ポーション欲しいのだが、薬草はここにある。」


「はい、どのくらいありますか?」


「これで」と受付のテーブルへと薬草約100本を乗せる。


「状態も良い薬草が多いですね。上位薬草もあるみたいですし。」と振り分け始めた。


「魔力が多い薬草をなるべく持ってきたからな」


「魔力がわかるのですか?魔術師の方には見えませんけど?」


「魔法は得意でないし、習ってもいないが、魔力は人よりは有るみたいと、ギルドに登録したときに言われた」冒険者ギルドに登録したのが18歳の頃なので、2年ほど魔力測定はしていない。


「魔力を鍛えてないんでずか?勿体ないと思いますが、人それぞれですからね。」


「ああ、当時無理やり習えと言われもしたが、面倒だから習ってない」


「それよりどのくらいポーションができそうなんだ?」


「普通の薬草が54本で上位薬草が52本、特上薬草が4本ですね。」



 普通の回復ポーションが普通の薬草5本でできるらしい。上位ポーションも上位薬草5本でできる。

 魔力の低い冒険者だと多くの薬草が必要なので、冒険者ギルドの依頼は安くしているらしい。


 100本以上あるな。


「これが特上薬草なのか?」


「そうですよ!違い解りませんか?」


「言われて見れば少し魔力が多いかな?くらいしかわからない」と伝える。


「そうですか。学校でもこの違いが解れば上位クラスの人達と同じ位の実力があるので!」とだんだんと興奮して話している。


 それが解る彼女は上位クラスの人なのだろう。魔術学校なら街に無いし、王都か。


「あまり特上薬草を見たことがないのでね。久しぶりに森に入ってきたから。」


「へー、今のうちに覚えたら凄い事しそうですね。」


「いや、あまり怪我のしない程度で稼いでいきたいから。命を賭ける事はしないさ。」


「ふーん、頑張ってくださいね。それでポーションは、普通のが10本、上位も10本特上は足りないので出来ません。」そう言うと受付後ろのドアが開いた。


「おやおや、珍しい人がきたみたいだ。」と70歳前後の女性が出て来てた。


「お久しぶりです。ミランさん」と女性へ挨拶をする。


「ハイハイ、久しぶりだね。やっと仕事の時期かい?」リールの事を知っている人は仕事を休む事を知っている。


「はい、そろそろ働きます。」


「なら面白い事を教えよう。森の奥に洞窟があるだろ?そこにゴブリンの上位種がいるみたいだよ。あそこの洞窟は大きいからあんたでも、十分身動きが取りやすいだろう。」


「ありがとうございます。でも他の冒険者も行ってますよね?」


「ふふふ、確かに行っていてもおかしくないが、ギルドで何か言われたかい?」


 リールは考えるが何も言われていない。それなら冒険個人?パーティー?が隠して手柄を上げるために狙っているのか。


「そう言うことだ。この店にポーションを買いに来て聞いたのさ。Eランクくらいかね?多分負けるだろうね。」と悲しそうに話す。注意しても冒険者は、自己責任なのだ。


「ゴブリンって嘗めているんだろうが、あの洞窟はあんたも最近行ってないだろ?」


「ああ、ここ6ヶ月は行ってないな。」今は4月、冬の間はのんびり近場のみで、暮らしていたのだ。


「それでは、洞窟で繁殖してるだろうさ。近くに村はないが、森の中だし、川もあって食べ物は多くからね。」


「ああ、そのうち見てくるよ。」


「なるべく早めにお願いしたいが、しょうがないね。無理はしたくないんだろ?若い人が亡くなるのはあまり聞きたくないね。」


「ああ、分かったまたその冒険者達がこの店に来ることを願って稼いでくるよ。」


「思っても無いことを。それでも運が良ければ勝てるだろ?あんたが助けるかは分からないが、稼ぐと言ったら稼ぐまで仕事するんだろ?」


「おばあちゃん。それでこの薬草を持って来たんだよ!」と女性店員は話を遮る。


「あ、この子は孫のクリス。今年王都の学校を卒業して、この店で働くことになった。魔法の才能は有るみたいだから、ポーション関係の仕事を手伝ってもらうかね。受付とかもう面倒になったから楽をしたくなってね。あんたの影響かもね。」


「そうだな、薬関係は他の店のレベルが低くてこの店に全部潰されたからな。ミランさんが居ないとこの街は終わりだろう。」


「人聞きの悪い事を、ただ普通のポーションを上位ポーションとか馬鹿なことをやってたから、本物を安く売って生き残っただけさね。」と笑いながら話している。


 人が良く優しいお婆さん。そんなミランだから見過ごせなかったのだろう。


「それより時間は良いのかい?まだ昼過ぎだから稼ぎにいかなくて。」


「いや今日は終わりにして準備に時間をかけようと思う。ポーションどのくらいになりそうだ?」


 ミランは考えながら

「最近は薬草は多いがギルドの薬草はダメだね。採取する人が魔力が低いと効力が落ちて。だから採取依頼は安くしている。分かるだろ?」


 リールはうなずく。さっきクリスに聞いたのだ。


「だからあんたはここにきたのだろ?力があるやつは店にくるから楽だよ。まぁ、あんたしか来てないがね。」


 ランクの高い冒険者は王都でポーションを買うだろう。街の冒険者は、ギルドて販売しているので、あまり来ない。


「見た所普通10本、上位10本か。半端の合わせて特上1本出来そうだね。また薬草持ってきてくれるだろ?あるだけ買い取るから。」


「なら上位5本と特上1本は手元に欲しいな。あとは買い取りお願いしたい。」


「分かったよ。なら手数料取って銅貨1000枚でどうだい?」


 普通ポーション販売価格 銅貨200枚

 上位ポーション販売価格 銅貨500枚

 特上ポーション販売価格 銅貨1000枚


「ああ、それでよろしく。あと毒草も有るから出来るポーション見てくれ。」と毒草の23本をテーブルに置く。


「毒草か。痺れ草もあるね。毒消しのポーション持ってるかい?」


「いや無いが。」


「ゴブリンを狙って稼ぐだろ?余りにも不潔だと身体に毒と同じ効果が出るから少し持ってたほうがいいよ。」


「大きな巣だろうからそれもよろしく」


「ふふふ、なんだかんだ言っても洞窟には行ってくれるみたいだね。ありがとうね。」


 毒ポーション3本

 麻痺ポーション1本

 おまけで毒消しポーション5本貰った。


 毒消しポーションが多いな。なら冒険者達は4人か。


「それじゃ、これで行くよ。」


「はいよ、気を付けてやりな。」


「ありがとうございました。また来てくださいね。」と元気よくクリスが言う。



 そうだ暇な時にクリスさんに魔法を教えてもらおう。



 そう思いながら家に向かう。



 1日目収入合計

 銅貨1900枚

 上位ポーション5本

 特上ポーション1本

 毒ポーション3本

 麻痺ポーション1本

 毒消しポーション5本



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