第17話 けしき
僕らが見てきた景色は
どこから違ったのかな
同じ青い空と
赤く染まる雲と
星の瞬く夜と
白む朝も
幾度も越えてきたのに
見えてるこの景色の
先に続く道は途切れたの?
優しく頬なでた風が
いつの間にか雨を運んで
夕闇にすべて拐われて
言いたいことも言えぬまま
ただ静かにひとり空眺めて
果たされなかった約束をただ
どうしようもなくてまだ
ポケットに仕舞いこんだまま
叶わなかった願いは
容易く誰かが叶えていて
答えのない問いの中で
歩きながら悔いるだけ
音もなく降り続く雨が
知らぬ間に道を塞いでて
溢れかえる泥水に
嗤われたような気がしたんだ
僕らが見てきた景色は
初めから違っていたのかな
空の碧さも
朱い雲も
星の降る夜も
虹の朝も
幾度も見逃してたね
今ならよく分かるなんて
気付いても遅すぎて
優しく頬なでた風が
いつの間にか通り過ぎていて
夕闇にすべて投げ捨てて
言いたいことは吐き出したんだ
みっともない程わめき散らして
果たされなかった約束だからこそ
どうしたって美しく残るだろう
綺麗に包み込んだから
叶わなかった願いは
容易く誰かが叶えていて
答えのない問いの中で
歩きながら悟るのさ
音もなく降り続いた雨は
知らぬ間に止んでいたけど
溢れた水が引くまでは
時間がかかると思うんだ
僕が見ている景色は
僕だけが見ていた景色で
それでも記憶の中では君が
君がいたから輝いていた
君がいたから輝いていたんだ
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