魔法使いの願い事

ぜろ

Prologue

 あたし達は、出会うべきじゃなかったのたな?

 ……そんなハズないよね、あたし達出会えてよかったんだよ。……きっと。

 少なくとも、

 あたしは後悔なんかしてナイもんね!

 後悔なんて……あたしのガラじゃナイもの。




 そうでしょ? 隆介。




 そーだよね。

 意地悪くお得意のにこちゃんな笑顔で『全然』なんて言わないでよー、あたし泣いちゃうからね。

 ドアの隙間から恨めしそうに立ちすくんでいたあたしを見つけて、

 『こっちにおいで』と言ってくれたあんただから。

 ちゃんと信用できたよ。ちゃんと信頼できたよ。ちゃんと、あなたを愛せたよ。

 あたし達が出会ったコトに、きっと意味なんかない。

 逢ったから、逢った。

 それでいーの、それで納得しちゃおうよ。

 全部のコトに、意味なんか求めてたらムジュンしか出てこないよ……きっと。




 だから、一コだけ。


 あんたをスキになったから、


 あんたに出会えてよかった。




 道のない道を転がって、


 道のない道を歩いてゆくの。


 どんな時、だってさぁ……?




 出会ったのは九月。秋の本番ちょっと前。

 別れたのは十一月。秋、真っ盛り。

 ほんの二カ月だったね、あたし達が一緒にいたのって。

 恋に期間が関係ナイって、ハッキリ解ったよ……あの秋に。

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