KILLER GUN

仲崎 采 (なかさき うね)

隠れた闇

世の中に、極悪というものが存在する。

そして、彼らを討伐するためには決して政府が公に行ってはいけないような汚れ仕事をしなければいけない場合がある。


そして、そんな汚れ仕事を政府から直々任される者たちが、確かに存在する。


ここは東京。終日眠らない街並は人工の灯りのもとに人々で賑わう。

また、賑わう所には、その明るさに隠れた闇が必ずある……






「お疲れ様でした」


繁華街から少し離れた個人医院に務める女性看護師、望月真希は院長に挨拶をして病院をあとにした。


彼女は大学を卒業し、つい数ヶ月前からこの病院に配属になった。

病院の建物は、近くにある他の病院と比べると少し古びているせいか、あまり多くの患者は訪れないが、院長は温厚な人物で、看護師である院長の奥さんもまた、優しく看護師の心得を教えてくれる。


患者が少なく、なかなか実践的な経験を積む機会はないが、この環境は彼女にとって全然苦痛ではないし、むしろ技術を磨いた後もずっとここに務めたいという気でいた。


しかし、ある日のこと。


いつものように早朝から出勤し、院長室に挨拶をしにいったものの、中には誰もいなかった。院長は、朝は必ず院長室で過ごしているはずなのに、おかしいとは感じたが、そこまで気にする事はないと思った。院長だってたまには違う場所にいることだってあって当然だ。


そうして診察室に入ろうと扉に手をかけた時、中から物音がした。扉を開けるのを躊躇い、中から聞こえる声を聞き取った。


「早くしなさいよ。そろそろ望月が来る時間よ。」

「急かすんじゃない。ここからが重要なんだぞ。仕上げは美しく、だ。」


いつもと話し方が全く違う夫婦に違和感を覚えた真希はスライド式の扉をほんの少しだけ開けて中の様子を伺った。


そこには衝撃的な光景があった。


診察室のベッドに横たわる男性の顔は青ざめていて、体のあちこちを管で繋がれていた。その管の行く先を辿って見ると、その男性の血液らしきものが大きな透明のバッグに大量に集められていた。

男性は全身の血を抜かれて既に亡くなっているようだ。


真希は恐怖で声が出そうになるのを飲み込み、足音を立てないようにその場から離れ、事務室に逃げるように入り、スマートフォンに「110」を入力した。


だが、ここである失態をおかしたことに気がつく。この事務室と診察室は壁1枚で繋がっているため、警察に電話をすると声が漏れ聞こえてしまう可能性がある。どうして隣の部屋に逃げ込んでしまったのか。もし聞こえてしまったとしたら警察が来る前に間違いなく自分は殺される。それはすぐに分かった。


なんとか声を発さずに助けを求める方法はないか、震える手でネット検索をしていると、1番に目に付いたサイトがあった。


「政府公認の殺し屋です」

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