第95話 ナグバル邸 襲撃

 ハリュートの夜の町を照らす満月と、その月光にも負けぬ輝きを見せている無数の星々。

 アンコウは、その月と星の光りに助けられて、ハリュートの夜の闇の中、全力で馬をる。


ドガラッ ドガラッ ドガラッ !!!


 薄汚れた装備に身をつつんだ騎兵の集団が夜の町を走り抜けていく。

 アンコウは、付き従う全ての兵に馬を与えた。すべての馬の4つの馬蹄が土を蹴りあげ、その震動が幾重にも重なり合い、凄まじい地響きを生み出している。


 月明かりに照らし出されているハリュートの町並みは、よりいっそう寂れて見える。

 もしこの町がイェルベンほどでなくとも、アンコウのホームタウン アネサの町ぐらいの活気があったなら、たとえ御飾り領主であっても、アンコウはこの町に留まることを選んだかもしれない。


(………いや、それでも無理か……)

 アンコウは、心の内でその可能性を否定する。


 実力者ナグバルは、アンコウが贅沢な生活をするだけの金は用意してくれる。しかし同時に、アンコウに対する行動監視にも怠りがない。


(領内でも自由に移動するのは許されないだろうな)


 わずか二ヶ月半ほどのこのハリュートでの生活で、すでに相当にストレスを溜め込んでしまっているアンコウだ。

 それに、

(ナグバルの操り人形になったところで、奴が望みをかなえるためには、俺の存在自体が邪魔であることに変わりはないんだ。いずれ時が来れば、ナグバルは俺を殺すだろう)


バカラッ バカラッ !


「ん?」

 アンコウは自分の横に馬をつけてきた男を見る。


「よう」ダッジだ。

「なぁ、大将。やっぱりナグバルの奴は殺したほうが早くないか?」

 ダッジはアンコウと並走したまま、話しかけてきた。


「まだ言ってんのか、ダッジ」


 ダッジもアンコウが今夜の計画を話したとき、モスカル同様、ナグバルの命を奪うことを主張してきた。

 アンコウとしては、食うものと寝るところに困らず、それに加えて、ある程度自由気ままに動ける生活ができれば、それでいいのだ。


 しかし、ナグバルを殺し、そのすべてを奪えば、別の種類の面倒事を抱え込むことになる。

 アンコウの本音である『コールマルの領地なんてひとかけらもいらない、こんな土地のご領主様なんて真っ平ごめんだ』という思いは変わっていない。


「……何が正解なのかは俺にもわからない。ただ、今の状況は居心地が悪すぎるし、こんな辛気くさい町はいらねぇ。

 だから引っ越すことにした。今はそれだけだ。行き掛けの駄賃は貰っていくけどな。

 ヤアァッ!」


 アンコウは馬の腹を強く蹴り、さらにスピードをあげ、並走していたダッジの馬を一気に引き離した。





「て、敵襲だあああー!」


 何者かの襲撃を告げるいくつもの声が、真夜中の静寂に支配されていた屋敷の廊下に響き渡る。




「な、何事だっ!」


 屋敷の中にある最も高価な寝台が置かれている部屋にて、掛け布で下半身を隠した裸の男が、その寝台の上で大きな声を発した。


「ナ、ナグバル様っ!武装した集団に御屋敷が襲われておりますっ!」

「何だとっ!」


 ナグバルは、でっぷりと肥え太った腹の肉を震わせた。そのナグバルの横には対照的に華奢な体つきをした可憐な女が横たわっている。


 女の年は二十歳を越えたばかり、この女はナグバルの十一番目の妻で、ナグバルとの間に5歳になる息子がいる。


 ナグバルには20人を超える子供がいるのだが、そのうち抗魔の力を保有する子供が4人。その中でも、この女との間にできた5歳になる息子が最も有望株であり、当然ナグバルはその息子を家門後継者の最右翼と考えていた。

 そして今、その息子もこの屋敷に滞在している。


「くくっ!」

 ナグバルは眉をつり上げ、怒りをあらわに寝台から立ち上がった。


「サイードは何をしておるっ!」

「は、はっ!サイード様は兵を率い、いま正門付近に向かっておりますっ」


 サイードは、ナグバル配下の将の中で、最も強いと言われている戦士だ。


「よいかっ、何としても賊どもの侵入を防ぐのだっ!」


(……我が屋敷を襲うとはいったい何者だっ)


 ナグバルはこのハリュートにおいて、最高実力者となってすでに久しい。その自分の屋敷を襲う者がいるとは全く予想していなかった。

 ゆえに今現在、この屋敷を守る備えが万全であるとは言い難い状況だった。

(くっ、その緩みをつかれたかっ)


 ナグバルも田舎豪族とはいえ、一代でコールマルの最高実力者となった男だ。決して愚か者の惰弱というわけではない。


(しかし、町そのものが襲われたのなら、賊どもがこの屋敷に至るまでに必ずわしの元に報告が入るはずだ。それがないということは、ハリュート内の勢力の仕業ということになるが……)


 ナグバルは、何人もの豪士実力者たちの顔を思い浮かべる。

 しかし、

(わしに良い感情を持たぬ者は何人もおるが、このような大それた真似をする輩は思い当たらないが………)


「………あっ」

 その時ナグバルは、あまり出来の良くない娘が、領主アンコウからお声掛かりがあり、今日の夜に領主城館に行くと話していたことを思い出した。

「………まさか」


 新たに、この地にやって来た領主アンコウ。グローソン公領各地で同時多発的に起こった反乱に前領主が関わったために突然起こった領主の交代であった。

 そのためナグバルも、事前に新領主となったアンコウという男の十分な情報を入手することができなかった。


 ただ、何やら武功をあげたことによって、初めての領地としてこのコールマルを与えられた成り上がり者であり、如何いかなる貴族の後ろ楯もない男だと聞いた。

 ナグバルは、そのようなものが新たに領主になるならば、自分が名実共にこのコールマルの支配者となるチャンスが訪れるのではないかと密かに喜んだのだ。


 実際にアンコウがこのコールマルに来て二ヶ月半。

 娘のリマナをアンコウの妻にするということがあまりうまくいっていなかったぐらいで、それ以外のことは概ね思いどおりにいっていた。


 ナグバルが新領主がコールマル入りすると聞き、最も警戒したことは、新領主の野心のありようだった。

 この新領主が普通に野心を持つ男だったら、間違いなく地場の実力者である自分達の既得権益を奪いにくるだろうと当然考えていた。


(……しかし、あの男は違った)


 ナグバルはアンコウの顔を思い浮かべる。

 実際にナグバルが接した新領主のアンコウという男は、ナグバルの常識からいえば、驚くほど権力に淡白な男だった。


 ほぼ、こちらの要求どおりに動き、こちらの権限を委譲するようなことも何一つ求めてこなかった。

 せいぜい時おり面倒くさげな顔を見せ、一言二言文句を言う程度が、こちらに対する不満の主張にすぎなかったのだ。


 後ろ楯になる中央貴族もおらず、本人の野心気力も薄いアンコウという男。

 ナグバルのアンコウに対する評価は、今この時まで、『容易たやすい男』で定まりつつあった……筈なのに……。



「あ、あの男が攻めてきたというのかっっ!」


—————


 ハリュートいちの邸宅の豪奢な門は、すでに打ち壊されて全く見る影を失っている。

 それをやったのは他でもない、夜の闇の中、濁流とともに押し寄せる岩石群のように突如現れたアンコウ一党である。

 門の周辺にはすでにいくつもの死体が転がっていた。


「大将、門の周辺にいた連中は粗方あらかた片づけた。思ってたほど数もいねぇみたいだな」

 血剣を手に、ダッジが口許に笑みを浮かべながら言う。


「ああ。だけど時間が経てば、間違いなくあっちこっちから、この屋敷にむかって兵が集まってくるはずだ。なるべく時間をかけないにこしたことはない」


「それはそうだ」


 門を手早く打ち破り、屋敷と門との間の道程でアンコウとダッジが話をしていた時、


「き、貴様ら、いったい何者かああーっ!」

 と、響く怒声。


 アンコウらは、その大声が発せられた方を一斉に見る。そこには、ゆうに2メートルは越えているであろう巨躯の獣人戦士の姿があった。

 アンコウは、その獣人の戦士を知っている。


「サイードか」


 それはナグバルの配下で最も強いと言われている猛将サイードであった。この正門で突如始まった戦闘に気づき、一隊を率いて、屋敷内から飛び出してきたのだ。

 しかしすでに門は破られ、正門を守っていた兵らはほぼ全滅している。


「くくっ、こ、これはっ…!」

 そのサイードの目に、自分たちの方を見ているアンコウの姿が映った。

「なっ!?お前はっ!領主っ!」


「……チッ、」

(相変わらず無礼なヤローだな)


 アンコウは、自分の事を軽んじ、いつもさげすむような態度を全く隠そうともしないこのサイードという男が嫌いだった。

(普通にムカつくんだよ、コイツは)


「そうかっ!これは貴様の仕業かっ!領主っ!」


 サイードは引き抜いた剣先を離れたところにいるアンコウに向けた。サイードは精霊法術は使えない。

「……………」

 アンコウは無言のまま、冷めた目をサイードに向けている。


「貴様っ!ナグバル様より、あれほど厚遇をうけているにも関わらず、このような暴挙に及ぶとはっ!この恩知らずがっ!」


「………」

 アンコウはこのサイードという男の頭の悪さも嫌いだった。

(何が恩知らずだ、クソが)


 この男の頭の中では、徹底的にナグバルが一番偉いらしい。


 さらにサイードは、言葉を続ける。

「領主っ!いや、アンコウ!一騎討ちだっ!夜襲などをかける卑怯者に、誇り高きコールマル戦士の戦いようを見せてやるっっ!」


「………………」


 アンコウの返事を聞くことなしに、サイードは前に進み出てきた。サイードにはアンコウが一騎討ちを拒否するという考えがないらしい。


(……どこの坂東武者ばんどうむしゃだよ、コイツは)


 アンコウは苦々しげな表情で、はぁぁぁっ と大きくため息をつく。

 そしてアンコウは、隣にいたダッジと少し話した後、ゆっくりと動き出した。


 まずアンコウが行ったのは、少し離れたところにいたカルミの方へ。

 アンコウが自分の方に近づいてきているのに気づいたカルミも、自らアンコウの方へと走り出す。


「おい!アンコウ!どこへ行く!」

 サイードがわめいている。

 そのサイードを、アンコウはわずわしそうに見た。


「……うるさい。そこで少し待ってろ」

「何だとっ!」


 アンコウはそれ以上サイードと会話することなく、カルミのほうへ。


 アンコウが右手に持つ魔戦斧から、ポタポタと血がしたたり落ちている。が、それ以上に、カルミのメイスにはべっとりと血肉が付着していた。

 周囲に転がるナグバル兵の命を、現段階で最も多く奪ったのは間違いなくカルミだ。


「なに?アンコウ」

 アンコウの側まで来たカルミが聞いた。

 アンコウは、一言だけ答えを返す。

「……カルミ、フォーメーション-セブンだ」


 アンコウは小さな声で、カルミにフォーメーション-セブンを告げる。あのワン-ロンに連なる迷宮を二人で歩いて以来、二人でつくり上げてきた戦型法せんけいほうの一つだ。

 カルミは、こくりと無言でうなずいた。

 カルミの頭の中には、すべてのタッグフォーメーションが完璧にインプットされている。


 そしてアンコウは、あらためてサイードに対して向き直り、彼に向かって歩き始めた。



「ふんっ、ようやく来たかっ!この臆病者がっ!たとえ領主といえども容赦はせんぞっ!アンコウっ!」


(……うるせぇよ、このデカイヌが)

 アンコウは、しかめっ面のままサイードに対峙している。


 — サイード様、おまかせしましたっ

 — あのような卑怯者、成敗してくださいっ

 — 余所者よそものに天誅をっ


 サイードは味方の声援を背中にうけ、長剣を天に掲げる。


「静まれぇいっ!フッフッフッ、」

 不適に笑うサイード。


 サイードの巨躯全体から、自信が溢れ出ているようだ。

 しかし、そんなサイードを見ても、アンコウは落ち着いたもので、


「……根拠のない自信を持てるのが、まさに馬鹿の証明だ……」

 と、小さな声でつぶやいている。


 そうこうしている内に、アンコウとサイードを中心に周囲が緊迫した空気に包まれていく。

 そして、先に動いたのはアンコウのほうだった。


「サイードよ!俺は忙しいんだっ、手早くケリをつけてやるよっ!」

「ハッ!世迷い言をっ!殺れるものならやってみるがいい!」

「ああ、言われなくてもやってやるよ。…いくぞっっ!」


 アンコウは魔戦斧を月にむかって突き上げ、何も持たぬ左腕をサイードにむかって突き出して、その手のひらをサイードの顔に照準を合わせてかざした。


「な、なんの真似だっ、アンコウっ!?」


 サイードは一瞬、アンコウが精霊法術でも使うのかと思った。しかし、

(い、いや、あの男は人間族だし、法術が使えるなんて話は聞いていない。なら、一体何をっ!?)


「……月の光を戦斧に宿し、月神げっしんの力を大地に降ろす……」

 アンコウが何やら朗々と唱え出す。


「な、なんだ…領主、何をするつもりなんだ、まっ、まさかっ本当にっ、」


 アンコウの魔戦斧に嵌め込まれた赤く大きな魔石が、月の光に反射して妖しくきらめいた。

 サイードは思わず身構える。


「……天に輝く星々は、皆これ月神げっしん愛児あいじ……天に月満ち、星あふれる真夜ミッドナイト、我ここに、この真愛しんあいを闇の王に捧げん……偉大なる者よっ、我にその力を貸しませりっ!

 隕石降落メテオフォール!!…!!」


「!あっ、ありえんっっ!!」


 驚愕したサイードは、とっさに夜空を見上げた。

 その瞬間、

ドォガアァンッ!

 強烈な衝撃がサイードの頭部を襲い、サイードは一瞬、意識を狩り取られた。


「!ぐっ…ガッッ……」


 粉々に砕け散った石の破片が、サイードの周囲に飛び散る。


……ただ…サイードの頭部に当たったのは、隕石ではなく、ただの大きな石。

 それは、天空から堕ちてきたのではなく、夜空を見上げていたサイードにむかって、水平に物凄いスピードで飛んできた。


 全員が一斉に、その石が飛んできた方向を見た。そこにいたのは、血塗ちまみれの小ぶりアフロの女の子…カルミだ。

 カルミは、ヨシッ と、ばかりにドヤ顔を決めている。カルミがその石を投げたのだ。


 あまりに予想外の出来事に、言葉を失っていたナグバルの兵たちであったが、状況を理解した者たちが次々に非難の声をあげはじめた。


「な、何てことをするんだっ!」

「卑怯者がっ!」

「戦士の一騎討ちだろうっ!」


 アンコウたちに対する怒号が響く。


(何言ってやがる。知ったことかよ)


 アンコウは、そんな自分に対する非難の声など全く気にもしていない。アンコウにしてみれば、一騎討ちをしようとも受けるとも言った覚えはない。

 ただ、カルミにフォーメーションセブンを指示しただけ。


 そして、アンコウが敵を引き付け、その隙をついて、カルミが投石攻撃を行う[フォーメーションセブン]が実行された、それだけのことである。



「……き、貴様ああ、」


 片ひざを地面に突き、頭から血を流しながら、サイードは凄まじい憎悪でアンコウを睨みつけてきた。

 サイードは一瞬意識が飛んだものの、何とか頭に投石を喰らった衝撃に耐えた。


「……ふ〜ん」

 しかし、その程度のダメージに終わるだろうことは想定済みのアンコウだ。


「ゆ、許さんぞオオーッ!!」


 サイードは憤怒の表情で、剣を杖がわりに立ち上がる。

 アンコウは、そんなサイードを視界におさめながら、

「ダッジ!」と、大きな声を出した。


 そのアンコウの声を受け、ダッジはもっと大きな声で兵たち指示を出した。


「てめぇらっ!今だっやれえぇいっ!」


 ダッジの後ろにずらりと並んだアンコウの兵たち、その全員の手に火の精霊封石弾が握られていた。


「「「オオーッッ」!」!」


兵たちが一斉に、その精霊封石弾を投擲。


ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!―――――


ドォォンッ! バァァンッ! ゴガァンッ!―――――

 次々にはぜる精霊封石弾。


「ギャアアー!」

「ぐわああーっ!」

「いひぃいいーッ!」―――――

 あちらこちらで次々にあがリ続ける悲鳴。


 自分の周囲にまで、次々に飛んでくる肉片にサイードは更なる怒りを募らせるものの、指揮官として、アンコウたちの動きに対処しきれていない。


「き、貴様らああーっ!」


 サイードはただ怒りの雄叫びをあげ、冷めた目でこちらを見ているアンコウに向かって、単騎の突撃を行おうと足を踏み出した。

 しかし、サイードが進めたのは、わずかに2歩だけ、


「グワアアーーッ!!」

 サイードが次にあげた声は、断末魔の絶叫であった。


 サイードの口から止めどなく溢れ出す真っ赤な血。

 それは音もなく、ものすごいスピードでサイードに接近し、サイードの胸板を貫く勢いで、メイスを突き入れていた。


 サイードの目に、下から自分をねめつけるように見る恐ろしい双眸そうぼうが見えた。そしてそれが、サイードがこの世で見た最後のものになった。


「ぐっ……があぁ……あ、ぁぁぁ………」

ドザァンッ!!


「サ、サイード様ああー!」

「う、うわああーっ!サイード様がぁー!」

「や、やられたっ!?サイード様が殺られたっ!!」


 地面に倒れたサイードの死体の前に立っているのはカルミだ。

 サイードの体を貫いていたメイスを引き抜き、何の感情も読み取れない冷酷な目で、大声でわめいている敵兵どもを見つめている。


 そして、メイスの血塗れ度合いがさらに増したカルミは、その大きなメイスを振り上げると同時に、再び敵兵に襲いかかっていった。


「「「ウワアアーッ!助けてくれー!!」」」


 さらに、

ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!

 と、テレサが放つ光矢がカルミを援護し、逃げようとしていたナグバル兵たちが、

バタバタと倒れていく。


 そして、わずかにいた カルミに向かっていく姿勢を見せた勇敢な者たちも、皆、カルミに打撃を与えることはかなわず、逆に次々と この戦場で命を散らしていった。



 それを見ていたアンコウは、再び魔戦斧を月星煌めく夜空に掲げた。


「カルミっ!テレサっ!気をつけろよ!」


 そのアンコウの声に反応し、カルミは、は~い と返事をしながらもメイスを振り回し続け、テレサは魔弓を引き絞りながらアンコウにむかって頷いてみせた。


 ナグバル兵は、あきらかに戦意を喪失しつつある。


「ダッジぃ!ホルガっ!行くぞおおっ!」


 そしてアンコウも、魔戦斧を握る手に力をこめると、敵兵にむかって突っ込んでいった。

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