第2話 戦国

2025年東京 

「桜田さん これを10部ずつコピーしといて」


 上司に雑用を言い渡され、コピーをして渡しても

 「はい どうも、そこに置いといて」

感謝されてるのかわからないお礼を言われ、 私は

自分の仕事に戻った。たまに、 自分はこの会社に必要なのか、 自分の居場所はここでいいのか、 と思う所がある。 


 朝起きて、 仕事して、 飯食って、 風呂入って、 寝るの繰り返し 武将アプリと菓子作りだけが楽しみとなっている。 同僚は、 腐女子の私を引き立て役にし手に入れた彼氏の話で大盛り上がり

(私は、、、何をしているのだろう。)

 

 仕事が終わり帰る時にスマホがなった。

 

 ピロリン


新しいスイーツのレシピが送られてきた。


(美味しそうな餡蜜だなー)


そう思いながらレシピを見ていると、 急に足元が無くなり、 まるで落し穴に落ちた感覚だった。

急な出来事で声が出なかった。 


 気づいた頃には、 今まで見たことがない空間が広がり、 暴風に流され、 荷物が飛んで行き、 

私一人が落ちていった。 訳も分からず自分は、ここで死ぬ場所なのか、と思い意識が遠くなり私は気を失ってしまった。





 目を覚ますと、 見覚えのない天井があった。 辺りを見渡すと、 何もない あるのは私が寝ている布団のような着物だけだった。 私が起き上がると服装が着物に変わっている事に気づいた。 何事か分からず混乱していると、 襖が開き、 着物を着て頭に布を巻いた女性がいた。 


「おめえさん、 目 覚めたか」


イントネーションが少し変だが恐らく日本人だろう


「はい、 ここはどこであなたは?」


私の問いかけに驚きながら


「おめえさん ここがどこだか知らずにござった?

 ここは尾張国」


尾張? 確か今で言う愛知県西部のことだよね。 何で昔の呼び名で言うのだろう。そう考えていると


「ほんで、 わっちの名は、 たま」


尾張国 布団のような着物 布を巻く髪型

もしかして、ここって、


「たまさん、 今は何年ですか」


「今は永禄3年やよ。」


嘘でしょ。 私は、400年以上前にタイムスリップしたの。 しかも尾張国は、織田 信長が支配するとこじゃないか。


「わっちは、 驚いたよ。 おめえさんがボロボロの着物を着て倒れていたから。」


たまさんの声は、 混乱している私に届いていなかった。






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戦国スイーツ @roog

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