――幕間――

「ね? あんまりインパクトない話でしょ?」


 語り終えた戸波は、俺たちの反応を窺うかのように視線を巡らすと恥ずかし気にはにかんだ。


「いや、充分不思議な話だと思うよ。自分が体験したら、絶対人に話したくなる」


「まぁ、押入れから髪の長い女が飛び出してきたとかって話に比べりゃ、インパクトはねぇけど。でも、地味な話だと信憑性が増すから逆に不気味な感じはするな」


 フォローするように俺と渋沢が感想的な意見を述べると、戸波も少し安堵した様子で白い歯を見せる。


「ありがと。でも、これ本当に実話だからね? 恐かったよぉ。暫くはトイレ行く度に同じこと起きるんじゃないかってビクビクしてたし」


「それっきりだったの?」


「うん。それ以降は何も起きてない」


 俺の問いかけに、戸波はコクリと頷いた。


「――面白いお話でしたね。お盆であれば、確かにご先祖の霊が里帰りをしていたということも考えられますし、ちょっとした悪戯心で自分の子孫へ自らの存在をアピールしたかったんじゃないでしょうか」

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