パラサイト・ワールド 寄生される世界

MK マッチー

序章 __始まりのプロローグ__

・群馬県南部 狩矢崎市(かりやざきし)

森林に囲まれた25万人程度の小さな都市。元々はとても小さな田舎町だったが、

寄生虫研究の第一人者となった日本の大企業、黒田総一郎(くろだ そういちろう)を社長に創設された研究所のおかげで飛躍的に発展した企業城下町だ。

都市中央に3本の大きな煙突の様な風貌の天高く聳えるビルは、

KSコーポレーションと名付けられた。


・KSコーポレーション 中央研究所内最上階

白衣を着た男が急ぎ足で長い廊下を渡り、自動ドアのある部屋へと入る


白衣の男:「ラララ忘れ物♪」


白衣の男は決して上機嫌で歌っていた訳ではない。この会社に長年勤め色々と鬱憤が

溜まり、いよいよ会社を告発をしようとしていた矢先に、忘れ物をしたのだ。

会社から去ろうとしたらまた戻るハメになり、少し上機嫌を演じなければやってられない気持ちになったのだろう。机の上においてあった忘れ物を手に取り振り返る。


白衣の男:「はぁ、いつ見ても気持ち悪い」


白衣の男が見ている方向には、大きな四角形の窓が複数あり、その一つ一つには不気味な生物が培養液に浸っている。


・寄生虫 ノーミン

寄生虫の研究過程により生まれた。ノミとダニの合成により凶暴性が増した寄生生物。容姿は普通のノミと似ているが、頭と目が肥大化し目は赤く光るようになり、

口は蚊の注射器の様な口に。前脚はそれぞれ2本、人間のように5本の細長い指が

出来ており。後脚は大きく発達し歪曲し、背中は蝉のような甲羅。とても長い尻尾まで生えた、人間の握り拳くらいの大きさのある灰色の寄生虫。


白衣の男:「……ん?ん~?……あれ?」


身震いをしていると、複数ある四角形の窓の一つが空いていて、中身が無い事に気がつく


白衣の男:「た、たた大変だ!一匹逃げ出した!!知らせないと!でも誰に?警察に?いやいやそれはマズイ……どうする?どうする?どうすれば……お?」


青ざめていると机の上に居たノーミンと目が合う


白衣の男:「……こ、こんばんは」


それが合図だったのようにノーミンは白衣の男の首目掛けて飛びかかる。「ぎゃあああ!!」襲われた白衣の男はそのまま後ろへと倒れる。

その光景を、監視カメラ越しに見ていた影の男がほくそ笑む。



月が分厚い雲から顔を出す。怪しく妖しい不気味な青白い月光を放ちながら。


___まるでこれからの未来を暗示するかのように___

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