第3話 ろっじ

「そうだ、この間に自己紹介も済ませておこうか、私はタイリクオオカミ、作家だよ」


タイリクオオカミだと!?だからさっき顔を襲われそうになったのか…


「なんでさっき顔を頂こうとしたんですか?」


「他人のいい顔を見て、ネタにする、これが私の創作方法さ」


なるほど…これならさっき顔を頂こうとしていた理由が合うぞ…


「ところで、さっき僕の食べ顔描いていたんですよね?見せて欲しいんですけど…」


「ああ、あれね、ちょっと待って…」


さて、どれくらいうまいのかな?


「これだよ、どうかな?」


!?、うまい、いや、うますぎる!?


「いや、うますぎでしょ」


「ふふ、そう言ってもらって嬉しいよ」


「そうだ、自己紹介をこっちもしたかったけど…」


「けど…」


そう、名前を思い出せないのだ。


「名前も知らない…」


「なんの種族かは大体予想はつくよ、

「ヒト」でしょ?」


「えっ…」


驚くのも当然だ。タイリクオオカミは動物だ。人の存在はあまり知らないはずだ。


「な、なんで知ってるの…?」


「ちょっと前に人のフレンズがいてね、今はいないけど各地で知性を利用してほかのフレンズの手伝いをしていたらしいね?ちなみに私もその一人だ」


「その人のフレンズは今どこに?」


彼のことも当然、聞いておく。それが彼かはわからないけど。


「今は海の向こうに行っちゃってるよ」


「そっか…」


「ほら、そんなこと話しているうちに着いたよ!」


彼女が指差している方向見ると木で作られた建物があった。


「これはフレンズさんが作ったんですか?」


「まさか、そんなことできたらそこら中建物だらけだよ」


「これは何ていう建物ですか?」


「質問が多いね…これはロッジだよ?」


ロッジ…聞いたことないな…

彼女に案内され、ドアの前まで来て、開けた。


「ただいま、あと、彼とゆっくり話ができる場所を用意してほしい」


「あ、おかえりなさ…わかりました、好きな部屋を使ってください」


そんなこと言われ、オオカミさんについていくだけ、これでいいのだろうか?

そんなこと思っているうちに、部屋についた。


「さあ、話の続きをしようか、確か、君の自己紹介の途中だったね?」


「そうだね、名前は…忘れた」


「名前…「かばん」みたいな感じだね?」


「なんでかばんが出てきたかは知らないけどそんな感じですね」


そう、オオカミさんは海の向こうに行った人のフレンズが「かばん」という人ということを知っているが、僕はもちろん、知らない。


「名前か…そんなことだったら名前、変えちゃえばいいんじゃない?」


名前ってそんな簡単に変えちゃっていいのか…、ただ、知らなければ作ればいいはず。


「そうですね、知らなければ変えましょうか」


「確か…サーバルはかばんが持っていたかばんで名前をつけたね…」


いや、持っていたものが名前とか、なんだよその趣向。


「君が持っているもの…無いね」


そう、何も持っていないのだ。

ここに来て初めてものを持ったといえばジャパリまんくらいしかないだろう。


「まあ、すぐに決めずに、ゆっくり決めましょうか」


「ところで…これから行くあてはあるのかい?」


確かに…無いな


「いや、無いですね」


「だったらここにしばらくいさせて貰えばいいんじゃないか?」


「え、いいんですか?」


「多分、アリツさんだったらそれくらいOKしてくれるだろう、頼みに行ってみるか」


「OKもらったらそうさせていただきますね?」


と言い、オオカミさんについていった。





「…事情はわかりました、むしろ大歓迎です!」


「よかったぁー!」


「ふふ、よかったね?でも、今は名前をつけるのが先決かな?」


「名前、ないんですか?」


「はい、無いんです…」


「じゃあ、キリンさんも呼んで決めますか!」


しばらく住む場所も見つかり、名前もつけてもらえる、ロッジのみんなに感謝しなければ…

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