11 最後の試練



 死にゲーの最後の試練。

 それは体力と速度が要となる。


 梯子を下り始めると、その梯子が上の部分から順番に消え始める。


 その梯子が消えるより前に、下りきらないと落下死してしまうだろう。


 一メートルや二メートルの高さなら良い。


 だが、十階分の高さとなると、人間が生存するのは難しいだろう。


 けれど、外の天気は大荒れ。


 大雨の中、手がすべるメンバーがいた。

 ぬかるんだ地面といえども、十階分の高さは馬鹿にならない。

 下で何かがぶつかる音がした。


 降りるのが遅い者も手すりが消えて足場がなくなり、地面に落下。


 無我夢中で、手足を動かすしかなかった。


 やがて、最後の梯子を下りきる。


 仲間達の死体に囲まれて、生き残ったのは、わずか一人だけだった。


 私は振り返らずに、山を下山していく。


 この大雨の中、無事に町まで下りられる可能性は低いが、死にゲーの舞台にいるよりははるかにマシだろう。


 私が生き残れたかどうかは、この手記の続きがあるかどうかで分かるだろう。


 願わくば、次のページが存在している事を。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

フリゲーで理不尽で死にゲーな舞台の洋館に迷いこんでしまった 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ