Prologue prelude

夢を見る。

暗い、暗い、闇の中に落ちていく夢を。


落ちている感覚に気づいた瞬間に

「ああ…、またあの夢か…。」と

自分が夢を見ているのだと、ボンヤリと理解する。


何度も同じ夢を見ている気もするが

前に見たのはいつだっただろうか?


以前も同じような落ちていくだけだっただろうか?

夢現にアレコレと考えてうちに眠りが徐々に覚醒に向かっていく感覚を捉える。

するとどこからか、声が聞こえてくる___。


声は1人だけの声じゃなかった

複数人が口々に自分を呼んでいるようだった

ある人は怒鳴るように、ある人は懇願するように。


「誰…?どうして、呼ばれているんだろう…?」


声の主を探そうにも

闇の中へと落ちていく感覚に抗えず

声を上げる気も起こらない。


「なんて、言ってるのだろう?」


ひたすら落ちていく浮遊感に身を任せながら

声に意識を集中させる。


意識をフォーカスすればする程

徐々に声が強くハッキリと聞こえてくる

だがそれだけ覚醒に向かっている感覚も強くなる

夢だ、これは夢だ。


目を醒さないよう、夢から醒めぬよう

声に意識を集中する。


「………カ」


「……………スカ」


「ア………………」



ああ、と声をあげて弱々しく呟く

「私、行かなきゃ…。」


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