リレーでつなぐ現代ファンタジー
柊木ウィング
プロローグ
目が覚めると、知らない場所にたっていた。
「どこだ、ここ」
周りを見渡すと、性別も年齢も別々の人達が集まっていた。
それも、手錠をされて。
もちろん、俺も同様に。
「なんだよこれ」
周囲からも同じような声が聞こえた。「帰せよ!」「どこだよここ!」「ふざけんな!」などといった言葉を全員という訳では無いが叫んでいた。人によっては泣き出したり、放心状態にあった。
一つの部屋に手錠を付けられた状態で閉じ込められるなんて……
「まるで囚人だな」
周りの悲痛な声を無視するように部屋の電気が消された。
「Ladies and gentlemen!!」
突如として部屋にモニターが映し出され、ピエロの仮面を被った男か女か分からない人間が現れた。しかも、ボイスチェンジャーを使っているためなおのこと分からない。
そしてピエロは語り出す。
「君達は死にました!どんどんぱふぱふ~!ねぇ今どんな気持ち?死んだ先が地獄でも天国でもないってどんな気持ちなのかなぁ知りたいなぁ、みんな教えてぇ?」
な、死んだ!?
ふざけるな、手錠はされてても顔をちみぎることは出来るんだ、確かに痛みを感じた。これは、現実だ。
俺が戸惑い冷静を失いつつある中、他の囚人達は奴の思い通りに自身の気持ちを聞かせてやっていた。
「死んだァ!?ふざけるな!」
「いつどこでだ!そんな記憶ないぞ!」
「俺の前に来たら今すぐにでも殺してやるぜぇ!」
荒いなあ。おかげで冷静になれた。
そう、確かに俺には死んだ、殺された、という記憶が無い。
そもそも、俺は自分の名前すら分からない。自分は何をしていたのかどこに住んでいたのか、”自分に関しての情報のみ”抜き取られている。そんな気がする……。
多数の疑問がある中、ピエロがまた口を開く。
「んー、前回も同じようなこと言われたなぁ。面白くないなあ。何かない?もっと私を楽しませてくれるような感想はァ」
あるわけないだろ。説明がない中俺たちに言えるのなんて愚痴を飛ばすくらいだ。
「んー、特に面白いのもないし君達がここに来た理由を簡単に説明していくよー……お前らァ!覚悟はいいかぁ!えぇ!?」
「「「……」」」
まあそうなるわな。
「はあ、ノリ悪いなぁ君たち。人間としてそのノリの悪さはどうかと思うよ私は。まあ、いいや。さっと説明していきマース。君たちは死にました。選ばれました。だからここにいます。終わり。満足?」
なんだ、こいつ……話にならないじゃないか。どう死んで何が理由で選ばれここに連れてこられたのか、疑問しか産まない説明のしかしか出来ないのか…。
もちろん、囚人からは大バッシングの嵐。
当たり前だ、もう少しまともな案内人とか連れてこられなかったのか。
「うるさいなぁもう。おーい!β!おいでー!」
「なんですか先輩。またですか?A会場は先輩が担当するはずでしょう?」
「いや、説明がめんどくさい。あとやっといて」
「はぁ、分かりました」
なんだ、ピエロがもう一人出てきた……?
さっきのピエロとは違ってしっかりとした女の子の部分があった。ボイスチェンジャーは使ってるけどしっかりと女の子とわかる。
「では、αに変わり
「ん?ああ、長々とおつかれね~」
は?
そうとしか言い様がない、能力適正値?超能力?ポイント?意味がわからない。脳が処理しきれない。
暇潰しのために連れてこられて、遊ばれるのか?管理者って、それはもう”神”と同等みたいなものじゃないか。
「あ、能力の事だけど左手の手首の裏。そこに君たちの能力のレベルが書いてあるから確認しておいてねー。まあ最初はみんな1なんだけど」
そのセリフと同時にモニターは消え、部屋が明るくなった。
そして左手を確認すると、確かにそこには”1”と書かれていた。
「ほんとに、意味わからねぇ」
だけど、最後に言った言葉が本当なら、まだ俺達には生き返れるチャンスがあるって事だ。
絶対俺は、生き返ってやる。こんな意味のわからない遊戯、即刻クリアして生き返ってやる。
というか、名前どうするんだろ。
諸々考えていると、アナウンスがなった。
「あーテステステストー、えー、じゃあプレイヤーの皆様はそこにあるドアを通った後適当な部屋に入ってちょ。入った部屋には赤いランプがつくので緑のランプの部屋に入ってねー。部屋に入ったら黒い封筒があるから自分の血を取って滲ませて、そしたら能力が中の紙に自分の能力が書き出されるから。じゃ、あとは放送を待て」
本当に適当だなピエロα。
まあいいや、とりあえず部屋に……っ!!
誰かに押しのけられる衝撃が走った。痛い。
「おう兄ちゃん、悪ぃな。ここは俺の部屋になるんだわ、ほかぁ当たりな」
ガチャン。
まじかよ。部屋とかどこでもいいじゃん。
結局部屋に入れたのはかなり後だった。
「ふう、やっと入れた。あ、封筒ってあれか」
血を滲ませろって言ってたな、横にカッター置いてあるじゃん。あれで切れと。こわぁ。
ちょっとした恐怖と戦いながら俺は親指をカッターで切り、封筒に一滴の血を垂らし、一緒に置かれてた絆創膏を貼った。
そして、封筒をあけ、能力を確認する。
「な、これは……」
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