それは縁の物語

警察官、黒沢辰実と、馬場梓のタッグが織りなすミステリー。

コメディタッチで描かれる警察官の日常や、若松町商店街の人々の暮らし。そこで繰り広げられる人間ドラマにほっこりしつつも、細部に仕込まれた伏線から徐々に明らかにされてゆく主人公、黒沢辰実の過去に息を飲みます。

やがて事件は事件を呼び、因縁が一つの悪意ある欲望に変わり、黒沢家に襲い掛かります。
辰実の妻であり、グラビアアイドルである愛結に向けられた悪意を、辰実は振り払う事が出来るのか。暴かれた辰実の過去と因縁に、いま、終止符が打たれる。


警察モノという専門性のあるジャンルのお話ですが、警察の用語や組織の仕組み、捜査の流れが詳しく且つ、分かりやすく書かれており、警察組織について良く知らない人でもとっつきやすいお話になっています。

そして物語に仕込まれた謎を主人公達と一緒に解き明かす面白さはミステリーならでは。前作に当たるGrano-La ～秘密と花嫁と～を先に読むと面白さが二倍以上に膨れ上がる作品ですので、そちらも合わせて読んで頂きたい作品です。

また、今作の最大の目玉は犯人一味との戦闘シーン。脳裏に映像が浮かび上がるほどの緻密な描写は呼吸を忘れるほど。
前作から引き継がれた伏線にも注目。伏線が回収されたときのカタシルスは、たまりません。

ミステリーの面白さがギュギュっと詰まった一作。
一度読んだら止められない物語です。