第1293話 燃えてきたーーーー!
「トールさま…何をニヤニヤしておられるんですか?」
俺の顔を見て、そんな酷い事を言ったのはマチルダ。
「俺、そんなにニヤけてた?」
『ものすっごく!』
嫁ーず全員が、凄く声を揃えて大声で断言しやがった。ちくそう!
「ん? 何か嬉しい事でもあったのかや?」
そんな俺と嫁ーずのやり取りを見ていたボーディが、不思議そうにそう言って来た。
「ああ、まぁ…ちょっと嬉しいかな」
あ、気が緩むとまたニヤける…。
「ほう? ここがダンジョン化するのが嬉しいのか?」
「ああ、そうじゃ無いんだ。俺って実はダンジョンマスターと同じだったんだなぁ…って思ったら、何だか無性に嬉しくなってな」
そう、ダンジョンマスターだぞ? ダンジョン領域であれば、ほとんど無敵の存在と言っても良いぐらいの、あのダンジョンマスターだぞ? まさか俺がダンジョンマスターだなんて、嬉しくてニヤけたって叱らない事だよな? な?
そっかぁ~実は俺もダンジョンを創ってたんだなぁ~。
「お主、何か勘違いしとりゃせんか?」
気分は最高! って感じだった俺を呆れ顔で似ていたボーディ。
「勘違い? 何を?」
だって、お前さっきここは俺の所有するダンジョンって言ってたよな? 勘違いじゃ無いよな?
「いや、お主はダンジョンあmスターでもないし、ましてやここはダンジョンではないぞ?」
「え…えっ?」
いや、さっき確かに…あれ? 言って無かったっけ?
「ここはダンジョンの成り立ちと同じじゃろう? と言っただけで、何もここがダンジョンなどとは言っておらぬ」
そう言えば、そうだったかも…。
「そもそもお主は未だに無から有を創造などしておらぬではないか。あくまでも、エネルギーを対価として、エネルギー変換玉で他の世界から似た様な物をこの星へと、管理局の管理のもとに召喚しただけじゃ。確かにお主の視点から見れば、お主のイメージに合わせて、エネルギーを対価としてこの場所を創り上げた様に見えるが、それは大きな間違いなんじゃぞ?」
…そう言えばガチャ玉に関してのあれやこれやは、確かに以前に聞いた事が…。
「ダンジョンマスターとは、ダンジョンのルールに則って、己のイメージ通りにエネルギーを対価として無から有を生み出す事が出来る存在であって、かなり似てはいるがあくまでも別物じゃ。そこを勘違いせぬ様に」
がーーん! そうだったのか!
んじゃ、結局俺って…エネルギーが他人よりかなり多いだけの…ただの人って事じゃん!
転生したら実はチートなダンジョンマスターになってたー! とか一瞬思っちゃった俺って、ただの馬鹿じゃん!
凡人は、転生しても、ただの人…トール君、心の一句。
「まあ、そう落ち込む出ない。確かにお主に非凡な才は無いかも知れぬ」
非凡な才が無いなら、やっぱただの人じゃん…。
「それでもお主は、この世界でも前世でも、生まれる前にすでに選ばれておったのじゃ」
選ばれて…た?
「この全世界を生み出した偉大なる存在の欠片…その中でも特に大きな欠片であったお主は、この全次元を含む大いなる世界に選ばれし存在なのじゃ!」
お…おぉ?
「無数に飛び散ってしまった欠片達を導くのは、お主にしか出来ぬ事なのじゃ!」
『…ちょっと、ボーディ様…それは言い過ぎなのでは…?』『…そこまでの存在じゃない…』
ちょっとモフリーナ君にモフレンダ君、何をこそこそ言っておるのかね?
今はボーディがこの俺を讃える時間なのだよ? 心してーディの言葉を拝聴しなさい!
「お主にしか出来ない、お主しか成せない大いなる目標があろう? よもや忘れてはおらぬよな?」
「大いなる目標…局長の野望を打ち砕く?」
「ではそこに至るために、お主は今、何を成さねばならぬ?」
「か…覚醒?」
「そうじゃ、その通りじゃ! これはお主にしか成せない事なのじゃ!」
「おぉ…おお…!」
「そうと決まれば、こんな些事は我らに任せよ! お主はお主にしか出来ぬ事にのみ集中すればよい!」
「ああ、分かった! そうだな、こんな事でウジウジしちゃだめだな! 分かったよ、ボーディ! 俺、頑張るからな!」
「そうだ、その意気じゃ! 我らも陰ながら全力でサポートするから、心行くまで頑張るのじゃ!」
「ああ、頼む! うおぉぉぉぉぉ! 燃えてきたーーーー!」
そうだよ、俺は悪の管理局長を倒すっていう、俺にしか出来ない大いなる目標があったじゃないか!
『ボーディ様…煽り過ぎでは?』『…煽動家になれる…』『う、煩い! 良いではないか、あ奴もやる気になっておるのじゃし』
何か後ろでダンジョンマスター達がゴニョゴニョ言ってるけど、俺どうサポートするかの相談か?
聞こえる様に言ってもいいんだ…あ、そうか! それってサプライズって奴か!
きっと俺が困った時に、思っても無かったタイミングとか方法で手を差し伸べてくれるつもりなんだな?
いいだろういいだろう、ここは敢て聞かない様にしておこう!
『ほら、ますます調子乗ってますよ?』『…鼻…すっごく高くなってる…』『…良い傾向では無いか…まあ、ちとやり過ぎたが…』
「俺はやるぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』
今はまだ、何も置いていない、ただのだだっ広い空間である地下格納庫に、俺の声が響き渡った。
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