第1282話 そんなわけ無いじゃろ?
「そこのちみっ子どもーー! 笑うんじゃ無いぃぃ!」
大声でもふりんとカジマギーをリリアが怒鳴りつけるが、そんな事ぐらいでびびる様なちみっ子達ではない。
「ほんたいは、わたちがつくりまちた!」
ちみっ子1号のもふりんが胸を張って鼻息荒くそう言うと、
「背景及び小物類は私が」
ちみっ子2号のカジマギーも、もふりんに並び、同じく胸を張ってそう言った。
「うむ、2人共素晴らしい出来じゃぞ。これならば、次回作ではGBWCの入賞は間違いあるまい」
2人の頭をよしよしと撫でながらボーディはそう褒めた。
しかし、その話の中に出て来た聞きなれぬ言葉が気になったリリアは、
「えっと…GBWCって何でしょうか…?」
「お主、こんな有名なイベントを知らぬのかや?」
何だか微妙にイラッとする様な人を小馬鹿に様な顔でそう言うボーディに、
「誠に勉強不足で申し訳ありません。どうかこの無知な私めにどうか教えて頂けないでしょうか」
やや強張った声でリリアがぷるぷる震えながら再度質問をした。
「うむ、これはのぉ…GUNPLA BUILDERS W◎RLD CUP の略じゃ!」
「「ガ〇プラかよ!」」
サラとリリアが、同時にボーディを怒鳴りつけたのだった。
「いえ、ちょっと待ってください。ガン〇ラの世界大会? っと言う事は、作品を出した事あるんですか? そもそもその大会って地球でやってるのですよね? どうやって?」
リリア、大混乱中。
「だしたことないでちゅよ?」「出せるわけ無い。本当、無知」
ちみっ子2人からの、強烈なコメント。
「え、だって今…あれ?」
リリア、さらに混乱中。
「物の例えじゃ。そんな事ぐらい察せよ」
やれやれと肩を竦めながらそんな事を言うボーディ。
もちろん、リリアの苛々はすでにレッドゾーンに突入していたが、何とか怒鳴り散らさぬ様に心を落ち着け、
「でも、あれって巨大ロボットなのに、ちみっこが2人で造ったのですか?」
努めて冷静にそう質問した。
「は? そんなわけ無いじゃろ?」「1/10のじおらまでちゅが?」「ゴブリンもコボルトも動いて無いの見て分からない?」
ボーディ、ちみっ子1号、2号のその返事には、さすがに脳の血管がキレそうになるリリア。
「んじゃ、何であんなもの見せたんだよ!」「どうどう…」
怒りを露わにするリリアと、珍しくそれを宥めるサラ。
「いや、この2人の努力の成果を確認しただけじゃぞ? 何をそんなに怒っておるのじゃ?」
「タイミングの問題だよ、こののじゃロリがーーーーーー!」
とうとうブチ切れたリリアであった。
この後しばらくの間、とても放送できない様なあれやこれやがあったのだが、そこはリリアの名誉のために割愛しよう。
「それで、本当は何を見せたかったんですか?」
何とか落ち着きを取り戻したリリアがボーディに訊ねると、
「もしも時の為の秘密兵器じゃ」
何故かボロボロになっていたボーディが答える。
「秘密兵器ですか?」「うぉぉぉ! ロマンのかほりがするぅぅぅぅ!」
おうむ返しに聞き返したリリアと、何やらテンション爆上りのサラ。
「そうじゃ、秘密兵器じゃ。先ほどお主達が見た、例のジオラマはその模型じゃ」
首をコキコキと鳴らしながらボーディが言うが、
「え、あれ…ただの模型じゃなかったんですか?」「え、あれの10倍の大きさの美少女サラちゃんがこの世にあると?」
リリアとサラは、微妙に違う驚くポイントがずれている様な…。
「う、うむ。全高15.1mのロボットじゃ。まあ、トールヴァルドのウルスラグナを参考にしておるから、操縦は簡単なはずじゃ」
トールヴァルドのウルスラグナというと、あの王国最恐…ではない、アルテアン家のゴッド母ちゃんも愛用している例のアレ。
「ほう…って、そうではなくて! マジで作ったんですか、あんなメイド服着たツルペタロリのドMショタ女を!?」
「おいっっ!」
リリアの言葉に突っ込むサラ。
「そうじゃぞ。サラの素体を完璧に10倍の大きさで完璧にリアルに再現しておる。スリーサイズは…「言わんでええわい!」…そうか?」
ボーディの話の途中で危険な数字をインターセプトしたサラ。
「ちなみにメイド服は耐熱&撥水生地で縫製されており、ロボットの外装は、耐熱・撥水・完全防水の人工皮膚じゃ!」
「「………」」
メイド服も皮膚も無駄に高度な技術が使われているらしく、それを聞いたサラもリリアも、ボーディの説明に絶句した。
「内部のメカは、トールの子供の頃に見たテ〇ビマガジンと言う雑誌に載っていたマジ〇ガーZの内部図解を参考にしておる」
もう、サラもリリアも、何から突っ込んでいいのやら困り果てていた。
「このマジン〇ーZの光子力エネルギーも完全再現したのじゃ! どうじゃ、凄かろう? あ、倫理規定をクリアするためにスポブラを装着しておるし、スカートがめくれても良い様に、しっかりブルマーを履かせておるぞ?」
「「………」」
ツッコミどころ満載過ぎて、もうサラもリリアもガックリ項垂れた。
だが、どうしてもリリアはこれを聞かずには居られなかった。
「ええ、凄い技術力ですね…。ですが、どこでそんな知識を得たのですか?」
トールの知識や記憶の中に出てくる様な物が、こうもポンポンと出てくるとなると、その出所が気になってしまうのは道理であろう。
「ん? ああ! それは、ミヤとヒナがあ奴の記憶にアクセスして手に入れた情報からじゃな」
あっけらかんと出所を暴露したボーディに、
「やってる事が管理局と一緒じゃないですか!」「局長と一緒やんけぇ!」
またまたリリアとサラは絶叫したのであった。
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