第1172話  今は全然関係ないよな

 真っ暗なベッド下。

 そこで蠢く怪しい影。

 それは超巨大なベッドの下を這いずり回っていた。

「あっちは?」「こっちは?」

 声質からすると、明らかに少女…いや、幼女である。

 今、俺の邸で幼女といえるのは、ユリアちゃんただ一人。

 だが、ユリアちゃんはコルネちゃんとベッドでお休み中のはずだ。

 ドワーフ・メイド衆も、容姿的には幼女とそう大差ないはずだが、この幼女達には方言が無い。

 つまりは、別の幼女という事になる。

 ならば、ノワール関連で、もふりんとカジマギー? いやそれもない。

「そっちは、さっきマスターが漁ってた」「マスターごそごそしてた」

 って…、

「お前らかー--! ミヤ、ヒナ、出てこーーーーい!」

「見つかっちゃった!」「ばれちゃった!」

 いや、お前ら正体を隠そうとしてなかったよな?

 俺が覗き込んでいたベッドの下から、ゴソゴソと這い出してきたのは、2人の幼女。

 這いずり回ってたせいか着物が見事なまでに着崩れ、しかも埃だらけになっていた、ミヤとヒナだ。 

「お前ら、何でここに居るんだよ!」

 確か、別次元での待機を命じたはず…昨夜…。

「ベッドの下は異次元」「待機するのに、何の問題もない」

 えっと…?

「俺…昨日の夜に、お前たちを待機次元に送ったよな?」

「手を振ったのは、隠れろという意味だと思った」「ベッドの下はダンジョン。隠れるのに都合良い」

 いや、ちょっと何言ってるのか意味不明なんだけど。

「え~っと…んじゃお前らって、昨日の夜から、ベッドの下に居たの?」

「「隠れてた」」

 別の次元で時間停止されて待機してたんじゃなかったのか?

「もしも、俺がお前たちをどっかで呼び出したらどうする気だったんだ?」

「一度、待機次元に戻る」「マスターの近くに登場する」

 あ、そですか…………って、ちょい待って!

「前らって、待機次元を自由に出入りできるのか!?」

「「むっふー! 当然!」」

 2人は、めっちゃどや顔。

「いや、だけど、それはおかしいだろう? ボーディ達がその辺を改良したはずだぞ?」

「「アップデートしたから、問題ない!」」 

 どんなアップデートしたんだよ! 

 いや、そうしたら待機次元での時間停止ってのは、どうなったんだ?

 確か、あっちに行くと時間が停止…てまりは生命活動(あるかどうかしらんけど)も思考も完全に停止するんじゃなかったっけ?

「え~っと、もしかして君達って待機次元の中で動けるの?」

「「アップデートしたから!」」

 それで通すつもりか…。

「待機次元は二次元の世界」「対してこちらは三次元の世界」

 えっ、そうなの?  

「「悪い宇宙人が二次元世界だけでなく、三次元も侵略しようとしている」」

 な、何だ何だ、いきなり何の話だ? 宇宙人?

「「私たちはこの世界を守るため、二次元世界からやってきた!」」

 どっかで聞いた様な話だな……。

「「反射された強い光に飛び込むことで、私たちは二次元世界を突破して変身するのだ!」」

 それ、知ってる…。

「「みら〇・すぱ〇く!」」

「やかましーわ!」

 それはミラ〇マンじゃねーか! 

 そもそも、何処でそんな知識を得たんだよ、お前ら!

 ってか、今は全然関係ないよな、その話!?

「ミヤ!」「ヒナ!」

 ん?

「「ば~ろ〇む!」」

「それは、もっと違う話だ、馬鹿野郎!」

「「魔〇ドルゲをル~ロルロロ~!」」

「やめー--い!」

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