第1171話 どこ行ったんだ!?
やっと落ち着いて寝れると喜んでいた所に、おかしな闖入者。
おかげでイライラしてきてしまった。
「んで、もう用が無いなら出てけ」
似非大阪弁の黒猫にそう言うと、
「そんな殺生な…朝まで一緒でもええやろ? 何もせぇへんからぁ…」
絶対に何かするナンパ男みたいなセリフを吐きやがった。
こんなの信用できるか!
「いんや、信用ならん! 出てけ!」
「いけずやなぁ…にゃん」
たまに挟むその語尾は止めろ!
俺が寝室の扉を開いて退出を促すと、とぼとぼとノワールは廊下へと出た。
廊下の角から、嫁ーずと妖精が数名隠れてこちらの様子を伺っていた。
そんなの相手にしていたら、またなし崩しに寝室へなだれ込んで来るのは間違いないので無視!
さあ、やっとゆっくり眠れるぞ!
俺は超巨大ベッドの真ん中で大の字になって天井を見上げた。
そういや、あの黒猫…何でベッドの下に潜ってたんだ?
俺が誰も居ないかと確認したら、しれ~っと出てきたけれど。
あと、ノワールが光りだしたときは焦ったなぁ…爆発するかと思った。
それに、どこであんなコテコテの大阪弁覚えたんだ?
イントネーションが、東京の芸人みたいで違和感あったけどさ。
違和感…違和感…違和感…。
そうだ、あいつは何でベッドの下に居たん…だ…あああああ!
あいつ、俺の宝物を漁ったりしてないよな? いや、絶対に漁りやがった!
こうしちゃおれん! すぐに宝物を確認せねば!
俺の宝物箱は、ドワーフ親方謹製の超合金Z製だ! いや、嘘ですけどね。
それなりに頑強な金属製の箱で、しっかりと鍵が掛かっているのだ!
ま、あナディア達に寝室の扉に掛けてた鍵は見事に真っ二つに切断されちゃったけどね…。
ベッドのど真ん中の一番奥…超巨大ベッドのど真ん中なんて、ノワールが言ってた様に、そう簡単に掃除も出来ない。
なので、ここに隠している俺の宝箱も、そうそう人目に付く事など無い!
えっと…ここら辺から潜って行けば…行けば…あれ?
宝箱がないーーーーーーーー!
あ、あの中にはコツコツ王都で買い集めた薄い本が…『すぅい~と しすたぁ~ず』シリーズや、『逃がさないわよ、お兄さま』シリーズや、『萌え萌えしすた~は、お兄さまにぞっこん♡』シリーズががががががががががが!
だ、誰があの超極秘指定の宝物を持ち出したんだ!?
い、いや…もしかしたら、どこかに俺が移動させて、それを忘れてる…なんてわけあるかーーーい!
やばいやばいやばいぞ! あんな物が嫁ーずに見つかりでもしたら…。
いや、嫁ーずならばまだ良い。
もし、コルネちゃんやユリアちゃんに見つかったりしたら…がくがくぶるぶる…あの天使達に嫌われてしまう…。
ど、どこ行ったんだ!?
あれ? 冷静になってよく考えてみれば、ベッドの下を這いずり回ってたノワールって埃まみれだったよな?
ってことは、ここ最近はベッドの下に潜った奴は居ないって事だよな。
つまりは、俺の宝物が無くなったのは、ここ最近では無い…と?
少なくとも、昨日今日では無いはずだ。
それにしては、嫁ーずも妖精達もドワーフメイド衆も、誰も何も言って来てないなぁ?
はて、一体誰が俺の宝物を持ち出したんだ?
かと言って、皆に『俺の宝物がどこ行ったかしらない?』なんて、聞けるわけ無いしなぁ。
どうしたもんかなぁ…。
ベッドで大の字になった俺は、もう一度記憶を遡るべく、目を閉じて思考の世界をあ漂う事にした。
「んしょっと」「よっこいしょっと」
俺がベッドで宝物の行方を考え悶々としていると、どこからともなく聞いた事のある声で、意識が現実に引き戻された。
どうやら、うたた寝をして夢でも見てたのかもしれない。
「探検…」「探索…」
ん? やっぱ何か聞こえたぞ?
「ここはダンジョン…」「宝箱はミミック…」
え、どこだ? どこからこの声は聞こえてくるんだ?
「昨日の宝物は、すけすけおぱんてぃ」「一昨日の宝物は、すけすけぶらじゃぁ」
ぶふっ!
「ないねぇ」「ないねぇ」
こ、この声は、ベッドの下からか!
俺はベッドの足元へとそっと移動し、そしてベッドの下を覗き込んだ。
そこで俺が見たものは!?
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