第1168話  それはもう詳しく

「これまで話してきたのは、すでに皆さんがご存じの予定や、それに付随する事柄。だけどここからは、まだ誰にも話していない、超機密事項ですので、心して聞いてください」

 さて、んでは…。

「先ほど述べたように、今の俺にとって最も重要であるのは、覚醒です。それも早急に成さねばなりません。なので、皆さんに協力をして頂きたいと思います。ここまではOKですね?」

 まあ、これをダメだと言う奴は居まい…うん、全員頷いてるね。

「どうやら皆さん、協力いただけるようで、有り難うございます。覚醒への挑戦を何度かいたしましたが、どうにも何かが足りないと感じております。具体的には、気力体力などなどが…です」

 この辺で、俺が何を言いたいのかいち早く察した嫁ーず(内3人)が、何やら焦りだした。

「特に、夜間の睡眠不足による気力や精力の低下が著しく、なかなか覚醒の道へと至りません」

 漫画みたいに、めっちゃ嫁ーず(内3人)の顔に汗がダラダラと…。

「なので、今夜から当分の間、夜間の俺の寝室への出入りを、全員禁止とします!」

『んなっ!?』

 言ってやった!

「横暴です!」「り、理不尽です…」「納得できー-ん!」

 無論、騒いだのは絶賛妊活全力投球中の3人の嫁ーずだ。

「何を言うか! さっき俺の覚醒に協力するって、頷いてただろうが!」

 だが、さっき確かにお前達も頷いたのをはっきりこの目で見たぞ!

「「「ぐぅ…」」」

 ありゃ、ぐうの音は出たか。

「っという事で、当面の間は夜間は別々に寝ることとします。俺が早く覚醒すれば、元通りの生活(性活)に戻る事が出来ますので、協力をお願いします」

 ふっふっふ…これで当面はゆっくりと寝ることが出来るというものだ。

「でも…トール様が有満出来るかしら?」「メリルさん、男は自分で処理することもあるそうですよ?」

 こら、メリル、ミルシェ! 何をごちゃごちゃ言っとるんだ! 

 言っておくが、俺は意外と枯れているんだぞ? 1ヶ月ぐらいなら余裕だ!


「皆さん、よく聞いてちょうだい」

 嫁ーずがごちゃごちゃ言い出しそうになった時、母さんが口を開いた。

 これは俺への援護射撃か?

「トールちゃんもまだ若いから、そのうち我慢できなくなるわよ。多分、3日ぐらいかしら?」

「援護じゃないんかー--い!」

 母さんに期待した俺がバカだった!

「あら? だってヴァルナルなんて、若い時は1日も我慢出来なかったわよ?」

 あ、父さんにまで飛び火した。

「お、お前…何を言い出すんだ!?」

 そうか…今も両親はお盛んなのか…聞きたくなかった情報だな…。

「あら、本当の事じゃない。それに、今も3日も我慢来たらいい方じゃ…って、あ・な・た?」

「う゛え゛?」

 父さん、今どっから声出した?

「調査の期間、あなた我慢できたの?」

 おぅ…そんな事をこの場で聞くのかよ、母さん。

 確かに我慢できない父さんなら、確かに母さんが気になるのも分かる。

 でも母さん、男は仕事だったらある程度は我慢できるものなんだよ?

 父さんは知らんけど…。

「調査隊には、若い娘さんも騎士とか兵士で参加してたわよね?」

「いや、お前…それは…」

「調査に向かった村にも、若い娘さんがいたとか?」

「いや、だから…」

「本当に、何もなかったの?」

「あるわけないだろうが! ちょっとは俺を信じろ!」

 あ、父さん切れた。

「信じていいの?」

「当たり前だ! だからこそ、帰ったらお前に一直線に…あっ…」

「あなたったら…もう…」

 なんだこの空気?

 あんたら、俺の邸で何してくれてんの? あ、ナニですと? そうでっか…。

 それはとりあえずおいといて、

「父さんも母さんも、コルネちゃんとユリアちゃんの教育に悪いから、そういう話は2人でしてくれ!」

 純真無垢なマイ・スイート・シスターズに、何ちゅう話を聞かせるんだ、このバカ夫婦は…。

「いえ、お兄様…私、もう15ですよ? いくら何でも何の話か理解できますけれど…」

 な、なんだ…と!?

「ユリアちゃんは、まだ分からないでしょうけれど…私も貴族の娘なのですから、そういう事に関しての予習は出来ておりますわよ?」

 だ、誰が不純なことを教えたんだ!?

「特に義お姉様方から、それはもう詳しくお伺いしておりますので…」

「…………」

 うちの嫁ーずの教育ですか…そうですか…。

 俺のおかしな性癖とか、コルネちゃんに言ってないよね? 

 いや、そんな性癖はないはずだけど…めっちゃ心配だ…。

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