第1158話 お代官様!
「ひぅっ!」
いきなり現れたミヤとヒナの姿に、サラは息を飲んで固まった。
俺が何も言わずとも、別次元に格納していた、巨大なマスケット銃…エネルギー砲? を2人は取り出した。
そして、2人は無言で銃口をサラへと突き付けた。
そもそも、ミヤとヒナは普段は別次元で待機している。
この待機というのが結構な曲者で、ラノベやアニメ、漫画で似た様な眷属とかが待機している事もあるけれど、呼び出したらなぜか事情を把握してるって事が多い。
だけどこの2人は、別次元で待機している間は、完全に時間停止しているのだ。
俺達のいる次元から、待機次元へと移動した瞬間に、2人の時間流れは止まってしまう。
なので、呼び出した瞬間に、事情を説明したり行動を示すべく説明をする時間が必要なのだ。
なので、俺は時折2人を呼び出し、待機中に起こった出来事や行動指針の説明などを随時行っている。
まあ、たまに呼び出して遊んでやらないと、次呼び出した時に拗ねる可能性もあるからね。
だって、基本的に戦闘用の2人なんだから、呼び出したらいきなり戦闘の真っただ中って事もある訳で、そんな事を繰り返したら俺だったら100%拗ねる自信がある。
考えてみてもくれよ、毎度毎度戦闘のためだけに呼び出されて、用が無くなったら別次元にポイッてされる気持ちを!
いや、その為に生み出された2人だってのは重々承知しているさ、俺もミヤもヒナも。
だけど、こいつらには意思ってもんがあるんだ。
ボーディ達による改良前は意思が薄い感じだったけど、何故か改良後は意思がはっきりしているんだ。
俺的理論だと、意思があるって事は感情もある。
感情があるってことは、ストレスも感じる。
ストレスが溜まれば、拗ねる事もあるだろうし、言う事も聞かなくなるし、本来の性能が発揮できなくなると思うんだ。
だから、適度にガス抜きさせる必要もあるんだよね、面倒だけど。
そういうわけで、日に数分かも知れないが、ちょこちょこ呼び出しては、俺を取りまく様々な事情は話してある。
特に、管理局絡みのあれやこれやは、結構詳しくね。
なので、管理局側の存在としてサラとリリアの事も、しっかりと裏事情を説明しているので、ヒナとミヤは完全にサラとリリアさんを
敵認定しているのだ。
なので、変身した俺がフあt理を呼び出し、目の前に敵と同義のサラが居るとなれば、銃口を突きつけるのも当然である。
「ちょ、ちょっとお待ちくだされ、お代官様!」
お白州で桜の刺青の人に何かを訴え出る悪人の様に、俺に向かって手を伸ばすサラ。
「誰がお代官様か!」
しかし、俺の心の叫び? を領と成りで聞いていたヒナとミヤは、さらに銃口をずずずい~っとサラの額に突きつける。
「何で白いのが増えてるんすか!?」
白いの? ああ、ヒナか。
そういや、こいつMark.1がヒナに改良されて我が家に来たのは知らなかったな。
「戦力増強」
「それだけ? もちょっと説明があっても良いんじゃないっすか!?」
やかましい奴だなあ。
ちらりと横目でヒナとミヤを見てみると、表情筋の1つも動かす事無く、2人は冷たい目でサラを見下ろしていた。
「そ、それに、今の私は大河さんの味方です! 管理局は捨てました! 大河さんの愛人です! 身も心も奉げてます!」
「誰がお前を愛人になんてするか!」
っと、俺が叫んだ瞬間、
「ダーリンの愛人?」「ハニーの愛人?」
ミヤとヒナから、真っ黒なオーラ…いや、あれって怒気かな? が立ち昇って周囲に広がっていった。
『おどりゃー! 愛人の座は渡さんぞ!』
そして、とんでもない事をドスのきいた声で言いやがった!
いや、そもそも誰がダーリンやハニーだよ! しかも、そんな言葉をどこで覚えて来たんだ、お前等?
2人は『おらおらおらー!』っと、ミヤは右のヒナは左のサラの鼻の穴に銃口を突っ込んだ。
「だ、だじげでぇー! ぼほがゎずあーーん!」
2人の迫力に圧倒されたサラが、めっちゃビビりながら、俺に助けを求めてきた。
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