第1157話  中々の迷推理

「私の推理では、大河さん…あなた、管理局対策をダンジョンマスター達とかなり厳重に行ってましたね?」

 こいつ、意外と頭いいかも。

「ダンジョンマスター達との会合は、完全に私達の手の届かない隔離された次元で行っていたと考えてます」

 …正解だ。

「そして、私達…いえ、管理局の監視から逃れるため、思考にフィルター…では無いですね、重要監視対象となっている単語は別の単語に自動的に置き換えられてますから…ナノマシンでも仕込みましたか?」

 …これも正解。

「それも、家族全員に」

 …実は家族だけじゃなく、俺の両無いの全員だから、これはちょっと違うかな。

「そして、ダンジョンマスター達と友の、管理局との全面対決に向けての戦力強化を行いましたね?」

 まあ、ミヤとヒナは、あいつらが勝手に造り出した物だけど…ついでに家族のLシリーズも…。

「このアルテアン領という、グーダイド王国の片田舎の名探偵美少女のサラちゃんには、全てお見通しです!」

 その虫メガネ…どっから出して来た? 

 って、片田舎って失礼なやっちゃな! お前は某アメリカの美少女探偵かよ!

「さあ、もう観念してください! ネタは全てあがってるのです!」

 どーーーん! と俺に人差し指を突きつける、残念女子のサラ。


 それを冷めた目(鎧で見えないだろうけそ)で見つめながら、

「で?」

 一言返した。

「え?」

 俺の言葉を聞いたサラは、瞬時にきょとんとした顔になった。

「だから、それで?」

 再度、サラに言葉を返す。

「え~っと…」

 漫画みたいに、う~んう~んと唸りながら、どの様に返えそうか考えるサラであったが、

「あ、そうだ! 全部ばれてるんですから、大人しく私に協力しなさい!」

「いや、そこはリリアも入れて、私達だろうが…」

 こいつ、とことん抜けてるなぁ。

「そんな細かい事は良いのです! さぁ、観念して私に協力しなさい!」

 正座したまま、腰に手を当てて鼻息荒く胸をはるサラであった。


 ふむ…やはりこいつは、とことん抜けている。

 どれ、ちょっとそれを教えてやろうかな。

「中々の迷推理だ」

「ふっふーん! どうです、見事な名推理でしょうが!」

 多分、お前の言っているのは、一文字違うと思うぞ。

「俺達が管理局と敵対しようとしているのは、まあその通りだ」

「やっぱり!」

 この1点を確認出来ただけでも、警戒すべきだと思うんだけどな。

「そんで、お前は管理局と通信が途絶している状態ってわけだ」

「可哀相な美少女なのです」

 可愛そうかどうかは別にして。

「だけど、お前は管理局の手先だよな?」

「そうです…けど…あれ? 何か雲行きが怪しくなって…」

 どうやらこのただならぬ雰囲気に気付いた様だな。

「って事は…だ。今、お前とリリアさんを消した所で、管理局にはばれないよな?」

「そうですね…って……ちょっと待ってーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 急に顔面汗ダラダラになって飛びのいたサラ。


「さぁ~って、ヒナ、ミヤ、かもーん!」

 ここで俺の持つ最強戦力を召喚!

 俺の左右の空間が歪んだと思ったら、床に2人の和装の女の子がすっくと立った。

『ヒナ&ミヤ、ここに参上!』

 …君達、どこでそんな香ばしいポーズを覚えたのかな?

『この世に悪のはびこる限り、ミヤとヒナは現われる。善意のかたまりLガールMark.2、只今参上!』

 君達、どこでそんな台詞を覚えて来たの? 

 それって善だの人が登場する時の台詞でしょう?

 どっちが鉄ちゃん役で、どっちがさくらちゃん役なの? 

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