第1152話  早よ話せ

「んじゃ、こんな夜更けに俺の寝室に潜んで貞〇の真似なんて、何でしてたんだよ」

「だから、んな真似してねーっつってんでしょうが! あんたが勝手にぷりちーサラちゃんを怨念扱いしただけだよーーー!」

 細かい事をいちいち五月蠅い奴だなぁ、まったく…。

 リリアとの性…じゃない、生活じゃないなら、一体何…が…ま、まさか!?

「お前、まさか父さんと不倫してたのか!?」

 ズパーーン! とまたもやハリセン炸裂。

「何でやねーーーん!」

 いや、変身しているおかげで、全然痛く無いんですけどね。

「それじゃ…調査隊の誰かと良い仲になったとか?」

「ないない!」

「調査先の村に良い男が…」

「んなわけないっしょ!」

 おかしいなぁ? サラの悩みなんて、どうせその程度の事だと思ってたんだが…。

「それ以外に、こっそりと俺に話したい事なんて…もしかして便秘か?」

「どっから便秘が出てきたんだーー!」

「んじゃ、下痢ぴー?」

「そっち方面から離れろや!」

 ん~、そっち方面からって言われてもなぁ…。

「でも、サラの相談事なんて、どうせそんな事だろう?」

「ちゃうわ! もっと深刻だわ!」

「神国と我が国との関係は、結構上手くいっていると聞いていたが…」

「しんこく違いだよ! あんた、分かってて言ってるだろ!」

「さ~、どうだろうねぇ~」

「ぐぬぬぬぬぬ…」

 ふむ、漫画とかでしか見た事無い様な『ぐぬぬ』とか言い始めたし、サラ虐めはこの辺で止めとくか。

「んで、そろそろ本題に入れよ」

「あんたが横道脇道逸れまくってる原因だろうーが!」

「そろそろ眠いから、早よ話せ」

「ぐぎぎぎぎぎぎぎ…!」

 やっぱ、こいつ便秘じゃね?


「はぁふぅはぁふぅ…ふぅ…はぁ…ふぅ…」

 サラの呼吸が落ち着くのを俺はじっと待った。

「すぅはぁ…」

 待った…。

「ひっひふー、ひっひふー…」

「それは違うだろ!」

 落ち着いてきたら横道にそれ始めるのはサラも一緒だな。

「はぁ…漸く落ち着いてきました」

「そりゃ良かった。んで、話しって何だよ?」

 俺の言葉に、何か一瞬天を仰いだサラだが、すぐに姿勢を正して俺に正座で向き直った。

 何だ何だ、どうした? 俺も思わず姿勢を正して正座で向き直した。

 何か、今夜は妙にシュールな光景が続くなぁ。

「じ、実はですね、大河さん。この超絶美少女アイドルのサラちゃんと、ドSの変態リリアなのですが…」

 色々と突っ込みたい事は多いが、ここはまあ黙っていてやろう。

「管理局と連絡が取れなくなったのです!」

「へぇ…で?」

 それに何か問題でもあるんだろうか? 

「えっ、感想それだけ?」

「いや、まぁ…うん。だからどうしたって感じなんだけど」

 俺にとっては都合良い気はするけど、だから? って感じだよねぇ。

「いや、めっちゃ一大事ですよ!?」

「それはお前達にとってだろ? 別に俺に何かあるわけじゃないし」

 何か俺にとって都合悪い事でもあるのか?

「だって、このままだと、大河さんガチャ玉で創造出来ませんよ!?」

 確かにそうかもしれない。

 だけど、ダンジョンマスター達がそれに関しては研究中だしな。

 それに…、

「そうかもしれないけど、別に創造しなくたって普通に生きていけるし?」

「………えっ?」

 そう言うと、俺の返事がよっぽど予想外だったのか、サラは瞬時に固まった。

 大丈夫か、こいつ? 

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