第1117話 受けて立ってやる!
「夜分にすまぬな…」
応接室に俺が顔を出した途端、ボーディが開口一番そう謝罪して来た。
まあ、確かに外は夜の帳が下りてはいるが、そんな謝罪するほど夜遅いという程でもない。
謝罪の言葉を続けようとするボーディを手で制止しつつ、俺は彼女の正面んに腰を下ろした。
「いや、そんなきに気にしないでくれ。んで、急に来るなんて、何かあったのか?」
ボーディの横でソファーに座るモフリーナもモフレンダも、何やら真面目な顔をしている所を見るに、余計な前置きなど不要だと俺は判断して、ストレートに話を切り出した。
「うむ…実はな」
深刻そうな顔で、何やら苦しげな顔で言葉を吐きだそうとするボーディ。
急に応接室の空気が重くなったように感じるのは、きっと気のせいでは無いと思う。
俺も膝の上に置いた手を無意識の内に握りしめていた。
ちょっと握った手も汗ばんでいるかもしれない。
飲み込む唾すら無く、口の中も急激に乾いていくのが分かる。
これは緊張した時に出る症状で間違いない。
前世で、初めて出場した空手の試合前を思い出す。
あの時も、確か緊張で喉がカラカラになって、手に汗を握ったな…その生かどうか分からないが、試合には負けたけど…。
「すぅ~はぁ~…実は…な」
某ーディは、ゆっくり深呼吸したあと、再度話し始めた。
「とうとう動き出したのじゃ…管理局が」
何となく、ダンジョンマスター達がアポも無くこんな夜に揃ってやってくるほどの急用なのだから、管理局がらみであろうという事は予想出来ていたし、覚悟も出来ていた。
だが、やっぱり驚いてしまった。
「か、管理局が…か?」
「ああ、そうじゃ。あの局長めが、とうとう動き出したのじゃ」
ごくりっ! 奴がこの星に直接手を下す時が来たのか!?
「そ、そうか…。そんな予感はしていたが…」
「何と! お主にはこの展開が読めていたじゃと!?」
そんなに驚く事でも無いと思うんですけど、ボーディさん。
モフリーナもびっくりした顔をしてるな。
モフレンダの表情は、俯いてるし長い前髪でかくれてるからうかがい知れないけど、肩がピクッてなってたから、驚いてるのかな?
「ま、まぁ…な。そのためにボーディ達だって、あの薬やLシリーズとかミヤとかヒナを準備してくれてたんだろ?」
いつか来るであろうこの時を見据え、ダンジョンマスターズもちゃんと準備してくれてらのは知ってるぞ。
「はっ?」「えっ?」「…?」
…どうしたん? 俺の言葉に何故に全員が疑問符浮かべてるの?
「えっとじゃな…何か話が噛み合っとらん気がするんじゃが…?」
「どこが?」
何を言い出すんだ、ボーディは。
「いや、管理局が動き出したのじゃ」
「おう、それは聞いたぞ? あの局長が動いたんだろ?」
どこが違うんだ?
「う、うむ。管理局…まあ、管理局長が動いたのじゃが…」
「いよいよこの星にあその魔手を伸ばそうってんだろ? 直接手を下そうってんだろ? 受けて立ってやる!」
あの神の如き男(性別あるんだろうか?)であろうとも、愛する家族は俺がこの手で守ってやる!
「直接?」
「直接だろ? まさか、サラやリリアさんを通じて、この世界に干渉するつもりなのか?」
そうか、その手もあったな! 今はおれた地に関する情報が正しく伝わらないとはいえ、ずっと同じ邸で暮らしていた2人だ。
俺の弱点なんて、すでに承知しているだろう。
そうか、俺の弱み…嫁ーずでも狙うつもりか? まさか、愛する妹天使達に何かするつもりじゃないだろうな?
どっちにしても、そんな気配を少しでも感じれば、完璧に叩き潰してやるからな!
「えっと、お主…何を言っておるのじゃ?」
「ん?」
何って…何の事?
「いや、管理局が動いたのじゃ。じゃが、別にこの星に何かしようとして動いているわけでは無いぞよ?」
「はぁ?」
あれ…何だか俺の考えてる事とちょっと違うような…?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます