第1105話  大人しくしとけ

 その後、ボーディによって覚醒に関する説明がなされた。

 つまりは、覚醒すると人種は高等人種へと進化するとか。

 高等って…小中学生が進学するような物なのかな? なんてお馬鹿な事を考えてたら、ボーディが注釈をつけてくれた。

 ああなるほどね。ヒューマンからハイ・ヒューマンに進化するって事ですか、そうですか。

 ラノベとかでよく見た、エルフとハイ・エルフとかの関係と似たような物なのか。

 んで、高等人種って、何が高等になるんだろう?

 ふむふむ…魂の器が大きくなると…なるほど、全然意味わからん。

 見た目的に変化はない? あ、そですか。

 だけど、死後は輪廻転生の輪から外れる? って事は、死んだらどうなるの?

 え、神になる? へぇ…って、神様ー!?

 ゴータマシッダールタが悟りを開いて解脱した後、釈迦如来となった様なものと考えればいい?

 何でボーディが地球のお釈迦様をしってるんだよ…え、解放魂魄だから、よく知ってる? へぇ…そうなんだ。

 つまり、俺は死んだら神様になるかもしれない境界線ぎりぎりに今いるって事なの?

 死なないと、神様になれない? お釈迦様も入寂されて涅槃に入ったから神になっただろうって?

 えっと、入寂って何? あ、死ぬことね…了解した。

 って事は、俺は死ぬまでは人のままって事?

 んで、子供も作れると…。

 おい、今あからさまにほっとしてただろう、女性陣!

 お前等、そんなに子作りが大事なのかよ!? え、もの凄く大事?  

 あ、うん…そうですね、ごめんなさい…。


 そんな感じで、色々とボーディに教えてもらっていたのだが、よくよく考えると昔サラにも同じような事を言われた事がある。

 確か、俺は死んだらこの世界の神になるとかなんとか。

 ついでにサラが部下として数千年ぐらい一緒に居るとかも聞いた気がするけど、それはこの際どうでもいい。

 あの時は、サラの戯言か、もしくは気でも狂ったのかと思っていたのだが、どうやら本当の事だったらしい。

 ボーディによると、嫁ーずも神の従者としてであれば、死後は同じ世界に行く可能性が高いそうだ。 

 従者って誰が認めたり決めたりするんだろうって思ってたら、それは解放魂魄統轄庁か輪廻転生管理局が許可を出すそうだ。

 ボーディ達が認めれば、解放魂魄統轄庁の許可は確実に降りるそうなので、嫁ーず達は狂喜乱舞。

 これって、両親とかコルネちゃんやユリアちゃんもOKなの? え、それどころか、ナディア達も許可出せるかもしれない?

 解放魂魄統轄庁って、何でもありなの? 

 但し、アンディア達は元々寿命が数百年はあるから、死ぬまで待たなきゃならない? なるほど…そうなるのか。

 自殺したらすぐにそばに行ける? おい、ナディア何を言い出すんだ!

 そんな事認められるわけ無いだろう! だよね、ボーディ?

 ああ、自殺や他殺は輪廻転生の輪に戻される? 覚醒者の従者にはふさわしくないと…ふむふむ。

 ホレ見ろ、ナディア! 黙って寿命が尽きるのを待て!

 え、それなら寿命が尽きたら、従者として死後もずっと一緒に居ても良いって許可をしたって事ですねっ…て?

 あぁ…えっと…もしかして、そういう意味になっちゃう? あ、うん…わかりました…。

 俺が何か言うと、墓穴を掘りまくる気がする今日この頃です…。


 何やかんやとボーディに細かな説明をしてもらったけど、管理局に対して何の対策もされていないこの部屋で覚醒するのは非常にまずいとの事。

 このパンゲア大陸で俺が覚醒したって事を管理局が嗅ぎ付けたら、色々と調べられるかもしれない。

 特に、あのナノマシン入りの薬の事とかを調べられたりしたら、かなり不味い状況になる可能性があるという。

 なので、覚醒は自宅に帰ってからしてくれ…だって。

 明日には帰るんだから、もうちょっと我慢しろって言われました。

 覚醒とか解脱とか、全然気にせずに鍛錬に勤しんでいただけなのに、何故かここでは大人しくしとけと怒られました。


 むぅ~ん…。

 家に帰ってからの鍛錬って、この覚醒の事とか忘れて集中できるのかぁあ…。

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