第1048話  多分、めでたい…

 エド君が変換玉を持ってたりしたら、ナニかとんでもないことが起こるかも。

 まだ赤ちゃんで会話も出来無いから、エド君の性格も分からん…。

 エド君が、この世界にとって問題あるような思考や性格だったらどうする?

 もしかすると、俺の敵に回るかもしれない。 

 それどころか、未来で成長したエド君と俺が戦うはめになるかもしれない!

 今は赤ちゃんの姿だけど……もしかすると……いやいや、憶測で考えちゃ駄目だ!


『あ~もしもし? 聞いてますか? おーーい、大河さんやーーい! こりゃ聞いてないな? サラちゃん的には、もう一つ心配事があるんですけど~けど~? まあ…後でもいっかぁ』



 帰宅した家族は、母さんの部屋でじっとエド君が握る虹色の球を見つめたまま立ち尽くす俺を見て、声を掛けるのを躊躇っていたらしい。 

 俺が久しぶりに深く深く思考の海の中に沈みこんでいた最中に、どうやら買い物を終えた家族が帰って来て、母さんの部屋へと報告に来てたんだとか。

 残念ながら、家族が帰って来た事など全く気付かない程に、俺の意識は深い闇と無限の時間の中を彷徨っていた。

 家族達は、俺が再起動をするまでじっと見つめて…いたわけでは無く、それぞれ買ってきた物を広げて見せあい、おしゃべりに講じていた。

 まあ、俺の事は放っておかれたってわけだ…仕方ないとは思うけど、声ぐらいかけて欲しかった気がする。



「リリア、どう思うアレ?」

「あれは間違いなく、局長が何かこの世界に送り込んだ物でしょう」

「だけど、どこにもエネルギー転送玉は無かったよ?」

「隠されている可能性も無くは無いですが…それよりも気になるのは、あの赤ん坊の中身です」

「はっ、そうだった! まさか、大河さん以外の転生者が!?」

「いえ…。赤ん坊が起きている時に小声で色々と話しかけてみましたが、特に反応も無かったので、それは無いかと」

「でもでも、局長が送り込んで来たんだから、何か重大な秘密が!?」

「今のところは、少々情報が不足していて、何とも言えないですね。まあ、普通では無いのでしょうが…」

「ん~~…、最近の大河さんは、ちょっと大人しくて色々と停滞気味あろう情報爆発を観測するために…」

「それは、ちょっと危険な設定だと思うので、その辺で止めておきなさい」

「まさか、あの子は宇宙からやって来た不思議な能力を持つウルトラ…」

「それは古すぎて誰もついて来れないです」

「そうだ! 消滅の危機にあった惑星クリ〇トン星から脱出カプセルで送られてきた、スーパー…」

「そんなはずが無いでしょう?」

「父親が目を離した隙に宇宙船に撥ねられて命を失ったが、宇宙人の蘇生手術で無事に生き返った、とんでもない能力を持った赤ちゃんに…」

「則巻タ〇ボ君の設定なんて、ごく一部の人しか知りませよ。っと言うか、そろそろ真面目に考えなさい」

「あい、すんましぇん…。でも、本当にわかんないんですよねえ…」

「局長には確認したんですか?」

「何故か局長に連絡付かないんっすよ。最近ずっと…」

「ふむ…サラの超小型ポジトロン電子頭脳は不良品のポンコツですから、とうとう壊れたんですかねえ…」

「誰の脳ミソが不良品のポンコツかーー!」

「えっ、サラのですよ? 製造過程で欠陥が見つかったけれど、サラのだからこれでも良いかって、局長が言ってたので使いましたが?」

「マジか! あんの、クソ局長がーーーー!」

 

 トールヴァルドの邸の、巨大な地下室の一角にあるサラとリリアの部屋の中では、こんな話がされていたそうだ。

 めでたしめでたし。

「めでたくなんかねーーーよ!」

「欠陥品のサラちゃんは、お行儀が悪いですね。私が丁寧に調教してあげましょう」

「や、やめろーーーーー! ドSのド変態がーーーーー!」

 ………多分、めでたい……んだと思われる………。



※ 妖精女王の騎士 ヴィー ≪Knight of the Fairy Queen、Vee ≫ 改訂版

  https://kakuyomu.jp/works/16817330657187983790

  旧作品の設定・文章等を見直して、再投稿始めました

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