第1029話  Lシリーズのテスト起動

 明けて翌朝。

 いつもの如く全員揃って朝食を頂いた後、これまた全員揃って裏庭にやって来た。

 目的はLシリーズと、Lガールの運用テストのためだ。


「では、皆さんLシリーズを出してください」

 何故か仕切っているのはメリル。

 本人は妊娠中という事もあり、このテストにはミルシェともども参加は出来ないのだが、こうして見学兼仕切り役としてこの場に

いるのだ。 

 メリルの号令? に従って、Lシリーズを別次元から呼び寄せる大勢の女性陣と父さんとユズキの数少ない男2人。

「では、各自変身をしてください」

 俺的には順番が逆だと思うのだが、まあメリルの思う様にやらせようと思う。

 ぼへっと皆を眺めていると、女性陣+少数の男性が、ピカッ! と光り輝き変身をした。

 とは言っても、母さんと父さんは着ている服がベースの変身だけど。

 そして光が収まった裏庭には、色とりどりの変身姿が現れた。

 うん、めっちゃ戦隊ヒーロー物…いやこれはもはやスーパー戦隊物のヒーロー大集合のムービーの様だ。


 そんな感想を言ってる俺は、裏庭に何時の間にが置かれていたガーデンテーブルセットにミヤと並んで座って、皆を眺めながらお茶をしていた。 

 給仕はサラとリリアさん。

 この2人も、絶対にこのテストには興味を示すだろうとは思っていた。

 きっとどこかでこっそり覗き見でもするんじゃないかと思っていたのだが、俺の給仕という口実を作り出し、こうして堂々とテストの様子を特等席で見学をするらしい。


 さて、テストはここからが本番だ。

 全員が変身を終えて、手にはLシリーズを乗せて、メリルの言葉を今か今かと待っていた。

 別に待つ必要は無いと思うけど、それでも何となくそんな雰囲気になっていた。

 そんな空気を感じたメリルは、ゆっくりと全員を見回した後、静かに号令を発した。

「では、テストを開始しましょう。全員、Lシリーズ起動!」

 その声と同時に、またまたビッカー! と、全員が光り輝いたわけなのだが、光が収まった後の皆に特段変わった所は見えない。

 いや、良く見ればそれぞれの装備が、微妙に発光している様に見える。


 んで、これでテストって終わりかな? などと考えた俺が馬鹿でした。

 全員が裏庭からネス湖の畔へと出ると、街からは見えない様にメリルを先頭に邸の塀沿いに、ぞろぞろと移動。

 俺とミヤ、サラにリリアさんは、その後をついていく。

 周囲を確認したミルシェがメリルに合図を送ると、

「では、各々Lシリーズによって強化された能力の確認をお願いします」

 またまた仕切り屋…では無く、小さく頷いたメリルが皆に向かって言った瞬間、静かだったネス湖の畔は轟音が響き渡った。


 コルネちゃんとが止めるのも聞かず、ユリアちゃんが全力で飛び上がった。

 その姿は、大地を蹴る轟音を残し、一瞬で空の彼方へ。

 それを見たイネスも、ユリアちゃんの後を追って、これまた空の彼方へと向かい大地を蹴った。 

 さらにそれを見たマチルダが、2人の姿を追うために上空に打ち出したのは、真っ黒なメリルがV字型っぽい複数の飛行物体。

 もしかして、マチルダの飛ばしたのって、あのアメリカ軍のステルス攻撃機のF-117ナイトホークか?

 いや、まあ大きさは精々手の平ぐらいの大きさしかないけど…でも、そっくし…。 

 イネスは今まで持って無かった青白く輝く長剣を両手に持っている。

 コルネちゃんとミレーラは、湖に向かってどっかんどっかんと魔法を撃ち込んでいた。

 ユズカの両肩には長く巨大な大砲っぽい物が、ユズキの両前腕には長い杭の様な物がくっついている。

 それを湖に向かってこれまた打ち出していたのだが…ユズカのって超電磁砲? ユズキのはパイルバンカー?

 母さんと父さんは大きく変わってないようだが、2人の纏う小型シールドの数が増えてる?

 そんな光景を眺めていると、長い滞空時間の末、空からユリアちゃんとイネスが降って来て、また轟音を立てて着地した。 


 いや、これって装備を補助するための特殊兵装って言って無かったか?

 補助どころの騒ぎじゃねーぞ! 全員無茶苦茶強化されてるじゃねーか!

 こんなの与えたら、我が家の女性陣がまた強くなるじゃん!

 がくがくぶるぶる………。



※ 妖精女王の騎士 ヴィー ≪Knight of the Fairy Queen、Vee ≫ 改訂版

  https://kakuyomu.jp/works/16817330657187983790

  旧作品の設定・文章等を見直して、再投稿始めました

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