第949話  (閑話)とある疑問

 それは、もう大分前のお話。

 そう、それは初めて人魚さん達に出会った頃の事だ。

 出会った時は、見た目はかなり美しい女性の上半身と、美しい鱗の魚の下半身を持つ人魚さんなのに、何だか残念な死語を連発する種族だというのが第一印象。

 そして、意外や意外な事に、実はかなり頭の良い種族で、数字にも強く書類仕事などお手の物と分かった時は、これは良い人材が手に入ったと内心ほくそ笑んだ。

 しかし、段々とその実態が明るみに出る。

 実は女性しか生まれない種族であり、美しい見た目とは裏腹に、若い男を攫う逆くっころ種族だと判明し驚いた。

 今は男を攫うような行為も少なくなり、人魚族は静かにゆっくりと絶滅の未来へと向かっている危険な状態である事も分かった。

 なので、俺は温泉街の一画にある娼館街に、彼女達の為の店を出す事にした。

 せっかく出会えた貴重な種族であるのに、絶滅なんてさせたくなかったし、男を攫わずとも効率的に種族の繁栄が出来る様にしたかった…というか、仕事の手伝いができる様な優秀な種族なので、手伝わせたいという下心もあって便宜を図った。

 彼女達は喜んだ。

 陸上で若く元気な男を攫うような危険を冒さずとも、がっつりと子種が手に入る。

 しかも、自ら望んだ行為を仕事にしたうえ、外貨(というか、人族のお金)も手に入るので、買い物もできる。

 なので、娼館勤務は人魚さん達にとって大人気の職業となり、全員が勤務の順番が来る日を首を長くして待っている…はっきり言えば、順番待ちで行列が出来るほどである。

 やがて我が街でも人魚さん達の娼館は人気となり、娼館に通うリピーター続出。

 彼女達人魚族は、とても従順で一般的な男が夢見る様な望の全てを、彼女達で可能な限り如何なるプレイでも受け入れたのだから、評判にならないわけが無い。

 いや、俺からしたらかなり猫被ってる気がしないでもないのだが…。

 まあ、彼女達にしてみれば、危険を冒さず喜んで子種と金を提供してくれる男が、リピーターとなって何度も来てくれる様に務めているだけなのだが。

 人魚族の娼館は、毎日の様に満員御礼状態。

 やがて、ぽつぽつと彼女達の中で妊娠する者が出てきた。

 そうするとさらに娼館勤務に熱が入り、彼女達のサービスの質も上昇。

 比例する様に、客足も絶えない状態になり、なんと人魚さん達の娼館は3交代制にせねばならぬほどに大フィーバー状態となったのだ。

 

 さて、そんな人魚さんなのだが、俺の中でどうにも疑問が出てきたのだ。

 いや、その疑問は、実は人魚さん達とであった時からあったものなのであるが。

 彼女達とのプレイ内容に関して、ほとんどの娼館の客は口を割らない。

 ワクワクしながら娼館に入り、腰砕けになりげっそりとしながらも、超満足といった顔で娼館を出てくる男達ではあるが、一体あの娼館の中でどんあプレイが行われているのだろう?


 まあ、プレイ内容も気になるのだが、それよりももっと気になる事がある。

 最初に出会った人魚さんや、その後に色々とお話をさせてもらった人魚さん達全員に共通する事なのだが、総じて彼女達はスタイルが良い。

 特に胸部装甲は破壊力? 防御力? 抜群である。

 彼女達は、最初からその胸部装甲には、水着を着けて居た。

 彼女達の着用している水着とは、一般的な人族の女性用の水着でいえばセパレート型で、三角ビキニがダントツに多い。

 胸を隠してくれる、トップスが三角形の布地のアレだ。

 次いで多いのが肩ひもの無いバンドゥタイプのビキニとか、完全に帯状になっているチューブトップタイプ。

 まあ、バンドゥビキニもチューブトップの仲間なんだとか聞いた事があるけれど、女性用の水着はあんまり詳しくないので違いが俺には良く分からないけど。

 って、ここまで話してたら、きっと誰もが俺の疑問に同意してくれるのではないだろうか?

 そう、彼女達の水着のボトムス…つまりは男でいえばブリーフとかトランクスに相当する物…女性用水着だとボトムス、下着だとパンティを彼女達は履いていない!

 つまりは、下半身すっぽんぽん。

 だけど、女性の大切な部分は見当たらない。

 魚だって肛門あるけど、彼女達にはそんな物見当たらない。

 いや、まじまじと見たわけでは無いから、本当は有るのかもしれないのだが、でもぱっと見はどこにもそんな部分は無いと思う。


 ならば、どうやってイタしてるの? 彼女達は一体どの様にしてナニをイタしているのか…だ。

 気になるよね? え、俺だけ?  

 いやいや、そんな事はないはずだ!

 誰でも気になるよね? ね?

 めっちゃ気になったので、それとなく嫁ーずに聞いてみたのだが、嫁ーずの誰もその秘密に関しては知らなかった。

 だがとある日、勇者イネスが人魚さんに、

「お前達って、どうやって男とするんだ?」

 超ド直球で訊いたそうだ。

 すると返って来た答えは…

「人族の股間にあたる場所の鱗は、実は脱着可能らしくて、それを取り外すらしい。何だ、旦那様は人魚さん達のあそこでも見たかったか? 残念だな、私ので我慢しておけ。浮気は他の嫁さんが許さないと思うぞ? 私達の公認なら許すけどな」

 話の前半部分にちょっとびっくりしたが、後半は何とも言えない内容だった。

 でもイネスが聞いてくれて、何だかスッキリした気がした。

 そっか、とある部分の鱗は脱着可能っと。

 えっと、どこからどこまでの鱗が脱着可能って言ってたの? もしかして、実は鱗を全部脱ぎ捨てて足が出てきたりは…? あ、しませんか。

 そこまでは無理と…そですか。

 まあ、衣装とかじゃないんだから、そりゃ無理か。

 

 イネスからそんな話を聞いてしまった俺は、その後出会う人魚さんのその部分の鱗が気になって仕方なくなり、自然に視線が向いてしまう様になった。

 まあ、それを嫁ーずに感づかれた俺は、嫁ーずに飽きて人魚さんの娼館行こうとしてるだとか、欲求不満なんじゃないかとか色々と言われ、毎度毎度寝室に引きずり込まれる事になるのだが。


 しかし、アレが出来る事は理解できたのだが、そうなるとまたもや疑問が。

 人族のトイレで、彼女達はどうやって用を足すのだろう?

 この疑問を口にする事は出来ない。

 もちろん覗きなんてしない…ってか、トイレに隠れてその瞬間を見たりしたら、そりゃ完全に犯罪だし。

 しかも、またイネスがその疑問を人魚さん達にぶつけたら?

 そしてその事を他の嫁ーずが知ったら?

 俺のHPはまたもや、ごっそりと削り取られる事になるだろ。

 だから…俺が疑問に思っている事を人魚さんに聞いてくれとは言えない。

 何時かは人魚さん達の秘密の全部が知れたらいいなあ。


 え、人魚さんの遠縁で、陸地で進化した下半身が蛇のレアな種族もいる?

 そりゃ、もしかしてラミアの事か!?

 もしもラミアに出会ったら、また疑問がグルグル渦巻くだろうなあ…俺の頭の中で…。 

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