第869話 完全にアウト
王都の父さんの邸…ってか、豪邸に到着した俺は、ずらりと並んだ使用人さん達に出迎えられた。
「アルテアン伯爵様、ようこそお出で下さいました」
そう声を掛けてきたのは、この勢揃いした使用人さん…いや、はっきり言おう…メイドさんだ。
それも、とびっきりの美人で巨乳の妙齢のメイド長さん。
名前は知らん! というか、聞いてません。
下手に名前とか知ってたりすると、いつ何時嫁ーずに、その事実を知られる事やら…。
俺が父さんの邸の巨乳メイドの名前を知ってる…その事実だけで、我が嫁ーずは俺を寝室に連行する事だろう。
その過酷な取り調べによって、きっと俺のHPはガリガリと削られてしまうに違いない。
翌朝の太陽が黄色く見えてしまう程、きっと過酷な取り調べになるだろう。
え、今なら嫁も居ないんだから、名前ぐらい聞けばいいだろうって?
ちょういと、お前さん! 馬鹿言っちゃいけないよ、。
俺の頭の上…えっと、この辺かな? ん~~手を振っても当たらないなぁ…ま、いいや。
そこで俺を監視しているであろう、妖精さんかもっち君が、確実に帰ったら全部丸っこ嫁ーずに報告してしまうのだ。
もちろん、俺も男なので、このプレイボーイの表示を飾れそうなお姉さんは好物です。
ですが、視線をあの凶悪な胸部に向けてはいけない。
もし視界に入ったとしても、ニヤケたりしてはいけない! もちろん、凝視などもっての外である。
嫁ーずに留守番を言いつけてきたのに、他の女に色目を使ったなどと言いがかりをつけられ、取り調べを受ける事になるだろう。
俺はまだ死にたくないので、絶対にそんな事はしません!
だから、名前も聞かない事にしているのだ。
ちなみに、領地の父さんの邸に居る、巨乳メイドさんの名前も、同様の理由から知りません。
話が逸れた…。
「では、伯爵様、こちらへどうぞ。侯爵様がお待ちです」
そんな美人メイド長により、俺は屋敷の中の父さんがいると言う応接室へと案内された。
う…目の前に思わず頬ずりしたくなりそうな、おひっぷが…いかんいかん! メイドさんの背中だけを真っすぐに見つめよう。
長い廊下を通り、ちょっと豪華で大きな木製の扉の前で、メイドさんが立ち止まり、静かにノックをした。
「侯爵様、トールヴァルド様がご到着なされました」
すると、中から微かに父さんの声で入室の許可が。
いやに声が弱々しいけど、父さん体調でも悪いのか?
「失礼します」
メイドさんが静かに扉を開け、俺へと頭を下げたので、それに軽く頭を下げて入室すると、そこには驚くべき光景が!
目の前に広がる、驚愕の光景…それは、父さんととある人物が正座をして、その前で腕組みしたコルネちゃんとユリアちゃんが仁王立ち。
思わず入って来た扉の方を見ると、私は何も見ていませんという顔で扉を閉めようとしているメイドさん。
え、あなたもしかしてコレ知ってたの? 知ってて俺を案内したの?
「失礼します」
俺…じゃ無く、室内の様子から目を逸らしつつ、メイドのお姉さんは扉をパタンッ! と閉めてしまった。
コレ、どういう状態?
「あら、お兄さま。もう王城でのご用事はお済みですか?」
組んでいた腕をほどきながら、にこやかに俺へと話しかけるコルネちゃん。
「あ、ああ…全部終わったよ。ってか、何で父さんは正座してるの?」
「お母さまからのご指示です。お父さんが、お母さんの居ない王都で、色々としてましたから…ね。い・ろ・い・ろ・と…」
「おにいちゃん、おねえちゃんはおかあさんのめいれ…しじでやってるの! じゃまはだめ!」
コルネちゃん、色々って父さん何をやらかしたの? ってかユリアちゃん、今命令って言い掛けたよね?
「と、トール…疚しい事はしてないんだ…だから助けてくれ…」
父さんからSOSが発信されたけど…、
「いや、あんた何やったんだよ! 正直に吐け!」
俺も母さんが怖いから、あえて敵に回ろう。
「お兄さま。お母さんは、この邸の使用人達より、提示報告を受けております」
まあ、そりゃ通信の呪法具があれば可能だよな。
「その報告の中で、お父さんが使用人の婦女子の…あろう事かお尻を触ったり…」
「はぁ?」
「胸を凝視したり」
「なにぃ?」
「洗濯した女性物の下着を手にしたり」
「おいっ!」
「入浴中の女性を覗き見たり」
「おいおいおいおい!」
「その他、多数の被害報告を受けているのです」
「いや、そりゃ怒られて当然じゃね!?」
俺は、コルネちゃんの話を聞いて、正座している父さんに、『諦めて怒られな…』と視線をい送っておいた。
「ち、違うんだ! 全部誤解だ! 理由があるんだ! 訳を聞いてくれ!」
あ~、うん…訳があってもセクハラと相手に思われる行動を取ったら駄目だろ。
父さん、それは完全にアウトだよ。
まあ、一応聞くだけは聞いても良いけど…俺には父さんを救助する事は出来ないよ?
あと、父さんの横で正座して居られる方…あんた、何やったの?
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