第867話 怒られない?
結局ね、約束させられました。
メリルを除く、全ての王女様にCM契約を。
第1王女様は、エヴェリーナ様で、国内の大貴族の一人息子に嫁いだとか。
第2王女様は、ティルダ様で、こちらもやっぱり貴族家へ嫁入り。
第3王女様は、カティヤ様で、従兄妹でもある公爵家の方と結婚しているとか。
ん~~? 第1、第2王女は良いとして、従兄妹同士って結婚できたっけ?
えっと、確か従兄弟は4親等か…だったら、日本での法律でもOKなんだったな。
確か血が濃くなると子供に問題が出るとか聞いた事もあるが、それも結構可能性的には低い事らしいし。
血が離れた人同士の結婚だって、子供に問題が出る事があるんだから、そこは俺が気にする事でも無いか。
いや、もしかしたら、この世界の人の遺伝子事情は、地球と比較しようがないのかもしれないな。
だって、そもそも肉体的なスペックも高いんだし、子供だって出来にくいらしいし、近親婚でも問題ないのかも。
でもさ、従兄妹婚って近親婚っぽく聞こえたり、なんだか危ない感じしない?
何かこう…禁断の愛の形って感じで…。
え、考え過ぎだって? そう言われてるとそうかもしれない…。
一応、この世界の法律では近親婚も認められてはいるそうだし、兄妹の結婚もそんなに珍しい事でも無いと聞いたしね。
ん? 待てよ…そだ! 法律が味方してくれてるじゃないか!
俺も、コルネちゃんとユリアちゃんを嫁にすることも出来るんだ!
ビバ異世界!
俺がそんな事を考えていると、バシッ! と、頭に結構な衝撃が来た。
え、誰も居ないよな? 後ろも横も前も、手の届く範囲には誰も居ないよな?
ビシッ! と、俺がキョロキョロ辺りを見回していると、さらに頭に衝撃が走った!
これは、もしや妖精か!
あ、そういや忘れてたけど、妖精達って俺が考えてる事が…読めるたんだっけ?
違ったかな? 思念波で話せるだけだっけ? あれ? あれ?
俺が思い悩んでいると、そっと、先ほど王女来訪を耳打ちしてくれた騎士さんが教えてくれた。
あマジっすか…全部声に出てた…と。
そうか、無意識の内に言葉に出てたんだ…騎士さんありがとう。
そっか、それで妖精さんは姿を隠して、不埒な事を考えている俺の頭を叩いた…と。
まあ、兄妹での結婚は諦めるしかないあ…これだけ反対されて理って事は、絶対に母さんの耳に入って、お仕置き一直線だろうしな…愛しの妹達との結婚は諦めねばならないか。
人の夢って書いて儚いって漢字になるんだ…だからどうしたって感じだけど…駄洒落じゃないよ…。
さてさて、ようやくアーマリア王女様の専用車であるひつじさん号を、御本人に引き渡す事が出来た。
今は、嬉しそうに練兵場に着陸しているホワイト・オルター号の周りを、ぐるぐる周っておられる。
時折、ティルダ第2王女様やカティヤ第3王女様が横に乗ったり、運転を交代したりして、実に楽しそうだ。
そんな様子を、俺と一緒に優しい目で見つめていたエヴェリーナ第1王女様が、ぽつりと一言。
「それで、私の専用車は何て名前になるのかしら?」
エヴェリーナ第1王女様…そんな事を考えてたんですか?
「あの子のは、ひつじさん…"きつね"と"くま"と"うさぎ"は駄目なのよね…確か」
「ええ、まあ…はい…」
良く知ってらっしゃる。
「だったら、猫と犬と…トカゲ?」
第一王女様…何故にトカゲなんすか? 可愛くないんですけど。
というか、ねこさん号、いぬさん号は可愛い感じだけど…トカゲさん号って、なんか違わない?
「トカゲはちょっと…せめて、リスさんとか…」
可愛くない?
「面白くないわね…それじゃ、たぬきで」
それじゃって…え、たぬきなの?
「えっと…それでは、たぬきさん号」
「ええ、よろしくね。たぬきはカティヤの車で」
第3王女さまと仲良くないの?
ねえ、第1王女さまと第3王女様って、仲悪いの?
えっと、誰と誰が異母姉妹だっけ…覚えて無いよ…。
まあ、確かに名前的にはほのぼのしてて可愛いですよ。
間違いなく可愛いですけど、たぬきさん号って名前付けた車を持って来て喜ぶ?
え~~~~っと、りすさん号では、駄目なんでしょうか…。
え、駄目なんですか? リスさんは却下って、何でですか!
たぬきがあの子には似合う? 何でだよ!
それって、間違いなくあんたの嫌がらせだよな。
もしかして、トカゲってのも第3王女用の名前だったのか?
「いいわね?」
いいわけあるか! そんな名前の持って来たら、確実に詰め寄られるわ!
何で、羊、犬、猫ときて、私のだけ狸なんだって、怒らないかな。
「うふふふふふふふふ…たぬき…」
ちょ、第1王女様、本当に大丈夫なんですか?
不敬だとかで罰せられない?
「お似合いだわ…あの子には…」
マジで大丈夫なんすか!?
めっちゃ不安なんですけど!
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