第834話  色々と考えてみた

 恐ろしい会話が繰り広げられた食堂での一幕はさておき、第5王女様のマーリア様へプレゼントする車の相談を嫁ーずとコルネちゃ、ユズユズ夫婦にしてみた。

 ちなみにユリアちゃんと母さんは、ナディアや天鬼族達とサラとリリアさんと一緒にお散歩中。

 相談の結果、やっぱり俺の考えた様にコルネちゃんのくまさん号と同等品が良いという事になった。

 つまりは、嫁ーずの玩具でもある、うさぎさん号の兄弟? 姉妹? 車になる。

 そうと決まれば、特に悩む事も無く車の仕様は決まった様な物だ。

 聞くところによると、マーリア様は白色系統が好きとか。

 白と言って最初に思い浮かぶのはうさぎだけど、それはもう嫁ーずの車の名前で使った。

 その他にこの世界で可愛くて白い動物は…っと、

「ひつじさん号とか、どうかだろう?」

 俺の意見に、何故か全員一致で合格が出た。

 合格って…もしかして、俺のネーミングセンスが問われてたのかな?

 ま、まあ、ここまで決まれば後は簡単。

 嫁ーずのうさぎさん号は、ちょっと魔改造しすぎて大変だし、マニュアルシフトなんで操作に慣れるまで面倒だ。

 それに比べてコルネちゃんのくまさん号は、速度は劣る物の操作の簡単なオートマチック車。

 地球の時のオートマ車の様なトルクコンバーターは複雑すぎて造れなかった。

 だが、出力を調整するだけ速度を変えれる事に気付いた俺と親方によって独自のオートマは完成した。

 その第一号がくまさん号であり、低出力版がユリアちゃんのきつねさん号であり、例の献上品であるバギー。

 マーリア様へプレゼントする車もこれに決定!

 ただ、王族がオープンカーでは狙撃が心配だ…この世界にゴ〇ゴ13は居ないだろうけど、それでも心配だ。

 なので、防御面をしっかりと考慮して、屋根の他にロールケージも搭載。

 外板はより強度のある物を使用し、周囲をしっかりと強固なバーで囲っておこう。

 槍で突こうと剣で斬りつけようと、絶対に危険が及ばない様にして、盗難防止のための装置も必要だな…。

「えっと、伯爵様…ちょっといいですか?」

 恐る恐るといった感じでユズキが発言を求めて挙手したので、

「はい、ユズキ君、何かな?」

 俺は発言を許可した。

「そこまでしたら、もう2人乗りの軍用車両と変わりませんけれど?」

「ぷぷぷ…伯爵様ったら、王女様にロードキルでもさせる気なのぉ?」

 ユズユズ夫婦に、突っ込まれた。


 確かに言われてみれば!

 これ…戦場で駆けまわっても大丈夫な奴やん。

 脳裏に王城で王女様が騎士とか跳ね飛ばす映像が映し出された。

 コレ、だめじゃん! 危険じゃん! 

 ん? 危険なのは周囲であって、王女様は大丈夫だから、やっぱコレでもいいのかな?

 



 ってなわけで、当初の安全設計全開バリバリの車から、ある程度ダウングレードした仕様書をドワーフ親方に届けてもらった。

 具体的には、車を完全に取り囲むように考えていたガードパイプをフロントとリアのバンパー部を除いて排除。

 代わりにドアの中には見えない様に鉄パイプを仕込み、室内には武骨過ぎない様にロールケージを組む。

 もしも1人で車でお出かけした時に何かあった場合を想定して、お城と通信できる呪法式の通信具を搭載。

 ついでに照明弾を打ち上げ、防犯ブザー的なものも搭載しているので、居場所の特定も簡単に出来るように工夫した。

 王女様専用蒸気自動車である、ひつじさん号の仕様書が完成した時の事、ユズカが『それを貸せ!』と、五月蠅かったが…もしかして、また武装オプションとか何らかのアタッチメントを付け加えそうだったので、仕様書は死守した。

 あと、妖精さんにユズカがドワーフ親方に変な通信をしない様に、監視させるのも忘れない。

 ロードキルは駄目でも、ロケットやらミサイルはOKらしい、あいつの感性は理解に苦しむ。

 

 さてさて、ひつじさん号を発注すると、急ぎの用事は特に無い。

 日々の仕事が無い分けでは無いのだが、急ぎの仕事が無いって事ね。

 最近は、どっかの馬鹿が熾した戦争に始まり、ダンジョン…もといパンゲア大陸の問題、人魚さんのサバ…いや、大お見合い大会、母さん、コルネちゃん、ユリアちゃんの専用車…あれは嫁ーずも関わってたな…や、ユズカがこっそり進めていたアトラクションや、人生ゲー…じゃない遊戯盤に新型バギーの献上とか色々と余分な仕事が沢山あった。

 マインドコントロール・キャンセラー&脳波遮断装置…えっと、解放君とたっちゃんだったっけ? あれは個人的な開発だから仕事に入れてないけど、とにかく結構忙しかった。

 どっかの異世界物の主人公の様に、数話重ねるごとに敵が強くなって行ったり、見た目は子供で頭脳は大人な探偵の様に、毎度毎度事件に遭遇する様な事は、転生の時に聞いた話では起きないずなんだが、それも怪しいく感じる。

 何せ、あの管理局長だ。

 24時間365日俺の事を監視し続けている局長? 管理局? が、怪しくないはずはない。

 大体、ガキの頃のスタンピードやワイバーンは良いとしても、恐怖の大王カズムもそうだが、システムバグでの大量転移に紛れてやってきた、恐怖の大王カズムの欠片を宿した火御華(現 ユリアちゃん)もそうだし、ヒルコからスーパー進化したテスカトリポカとか、もう強敵だらけじゃないか。

 俺、異世界物のチートな主人公とかじゃないんだけど?


 そもそも魂のエネルギーって、使い道が良く分からんし、エネルギーが多くて喜んでくれてるのは、ダンジョンマスターのモフリーナ達と妖精さんだけだよね?

 なのに、何でチート主人公みたいに、世界を滅ぼしかねない様な強敵と戦う羽目になってるんだ?

 俺は田舎の小さな領地…って、東京23区に匹敵する領地は小さくないか…いや、それでもド田舎領主だよ?

 確かに色々な物を開発して商売も大繁盛で、はっきりいって前世の生涯賃金の数十倍は稼いでいるけど、それでも王都進出とか考えて無いよ?

 嫁は…この世界でも多い方の5人だし、その中の1人は元王女様だから、周囲はそうは見てないかもしれないけど。

 あ、それに聖なる女神ネスの使徒だし、眷属の妖精を従えてるし、巫女のコルネちゃんと神子のユリアちゃんが妹だし、侯爵の父さんに俺も伯爵…神具の飛行船が自由に使いまわってるけど…。

 あれ? 色々と、俺…やっちゃってる?

 全部俺が色々とやったから、こうなったんだよね?

 でも、意図してやった分けでは…無い気もする…もしかして、これって自業自得?

 こ、これからは自重しなければ!

 でも、そんな敵よりも強大なラスボスである管理局の局長がまだ控えてるんだよなあ。

 あれって味方なのか、敵なのか、マジで判断付かないんだわ。

 

 やっぱ、局長と管理局って、怪しささ爆発してるよな?

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