第833話 危険じゃん!
色々とあった翌朝(何があったかは、ご想像にお任せします)、俺は日課の鍛錬を済ませ、朝食を食べていた。
とっても艶々した嫁ーずの事は見なかった事にしよう。
コルネちゃんは、ちょっと無表情で、ユリアちゃんは母さんに何事か耳打ちされていた。
「おにいちゃん、あかちゃんはまだ?」
母さん、あんたユリアちゃんに何を言わせてんだ?
「あ、あら…もう、ユリアちゃんたら…」
メリルがくねくねしながら、
「もうちょっと待っててね」
ミルシェが微笑み、
「あ、え…しょのぉ…もうすぐでしゅ…」
ミレーラが真っ赤になって噛み噛みで、
「トール様次第ですよ、ユリアちゃん」
マチルダが…えっ、俺次第なの?
「はっはっはっ! もうそろそろ当たるぞ!」
イネス…何言ってんだよ、幼女に!
嫁ーずの答えを聞いた母さんは、妙に満足そうに大きく頷いて、
「そう、皆も頑張ってるのね。形式上はこの子の甥か姪になるのだけれど、年の近い家族になってくれると、私も嬉しいわあ」
慈愛に満ちた目でそう言うと、優しく自分のお腹を撫でる母さん。
言ってる事に間違いはないだろうけど…そんな事を言うと…。
『はい! 頑張ります!』
ほら…嫁ーずがその気になっちゃったじゃないか!
主に頑張るのは俺なんだぞ! 俺を早死にさせる気か!?
「トールちゃん、あの人に使わせた薬をあげましょうか?」
母さん、あんた父さんにどんな薬を盛ったんだよ!?
え、精力剤? まさか強壮剤じゃないよね? もしや…バイ〇グラっぽい薬とかでも使ったの!?
「ま、副作用は無かったみたいだから、あとでメリルさんにでも渡しておきましょうかね」
ってか、ここまで持ってきたの!? 父さん、ここには居ないよね。
ねえ、何のために持ってきたの!? まさか…最初から俺に飲ませる為に…?
「お義母さま、有難うございます。毎日、夜に飲ませますわね。飲まない様なら、無理やりにでも…」
もしもし、メリルさん? 毎日、おかしな薬を飲まなきゃいけないの、俺?
「そう? 楽しみね」
何が楽しみなんだよ、母さん! おい、何で頷くんだよ、嫁ーず!
ちょ、ナディア助けて…何で頭を横に振ってんだ?
アーデ、アーム、アーフェン…も、横に首振ってんの?
妖精さん達…なんで、やれやれポーズ?
も、もっち君…『 |||| ω・。)』 何で半分だけ隠れてんの? 覗き見?
いや、とにかく助けろよ!
だめだ…ここには俺の味方は誰も居ない…。
いや、待った! たった一人の同郷・同性のユズキがいるじゃないか!
「ユズキ…た、たすけ…」
あ…、忘れてた。
「伯爵様、さっさと御子をお作り下さい。僕の様に…ねぇ、柚香~♡」
「もう、ユズキったらぁ…♡」
そうだ、こいつの所は、ちゃっかり出来ちゃってたんだった…がっくし…。
「「「「「 今夜から、飲んでもらいます! 」」」」」
嫁ーずが母さんに宣言してるよ…せめてバイア〇ラ系の強制的にぼ(ピー 自主規制)させる薬で無い事を祈ろう…。
恐ろしい会話が繰り広げられた食堂での一幕はさておき、第5王女様のマーリア様へプレゼントする車の相談を嫁ーずとコルネちゃ、ユズユズ夫婦にしてみた。
ちなみにユリアちゃんと母さんは、ナディアや天鬼族達とサラとリリアさんと一緒にお散歩中。
相談の結果、やっぱり俺の考えた様にコルネちゃんのくまさん号と似た様な車が良いという事になった。
つまりは、嫁ーずの玩具でもある、うさぎさん号の兄弟? 姉妹? 車になる。
そうと決まれば、特に悩む事も無く車の仕様は決まった様な物だ。
聞くところによると、マーリア様は白色系統が好きとか。
白と言って最初に思い浮かぶのはうさぎだけど、それはもう嫁ーずの車の名前で使った。
その他にこの世界で可愛くて白い動物は…っと、
「ひつじさん号とか、どうかだろう?」
俺の意見に、何故か全員一致で合格が出た。
合格って…もしかして、俺のネーミングセンスが問われてたのかな?
ま、まあ、ここまで決まれば後は簡単。
嫁ーずのうさぎさん号は、ちょっと魔改造しすぎて大変だし、マニュアルシフトなんで操作に慣れるまで面倒だ。
それに比べてコルネちゃんのくまさん号は、速度は劣る物の操作の簡単なオートマチック車。
地球の時のオートマ車の様なトルクコンバーターは複雑すぎて造れなかった。
だが、出力を調整するだけ速度を変えれる事に気付いた俺と親方によって独自のオートマは完成した。
その第一号がくまさん号であり、低出力版がユリアちゃんのきつねさん号であり、例の献上品であるバギー。
マーリア様へプレゼントする車もこれに決定!
ただ、王族がオープンカーでは狙撃が心配だ…この世界にゴ〇ゴ13は居ないだろうけど、それでも心配だ。
なので、防御面をしっかりと考慮して、屋根の他にロールケージも搭載。
外板はより強度のある物を使用し、周囲をしっかりと強固なバーで囲っておこう。
槍で突こうと剣で斬りつけようと、絶対に危険が及ばない様にして、盗難防止のための装置も必要だな…。
「えっと、伯爵様…ちょっといいですか?」
恐る恐るといった感じでユズキが発言を求めて挙手したので、
「はい、ユズキ君、何かな?」
俺は発言を許可した。
「そこまでしたら、もう2人乗りの軍用車両と変わりませんけれど?」
「ぷぷぷ…伯爵様ったら、王女様にロードキルでもさせる気なのぉ?」
ユズユズ夫婦に、突っ込まれた。
確かに言われてみれば!
これ…戦場で駆けまわっても大丈夫な奴やん。
脳裏に王城で王女様が騎士とか跳ね飛ばす映像が映し出された。
コレ、駄目じゃん! 危険じゃん!
ん? 危険なのは周囲であって、王女様は大丈夫なんじゃね?
やっぱ、コレでいい……かな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます