第811話  マス目の指示は…

 とは宣言したものの、ゲームの進行自体は、そんなに難しい物じゃないので、事前のルール説明もごく簡単に済ませた。


 ① サイコロを振って出た目だけコマを進める。

 ② 止まったマス目に指示があった場合、それに従う

   (ただし身体を使う指示の場合、妊婦は免除)。

 ③ ゴールは、ぴったり止まらなくても良い

   (ゴールを越えるサイコロの目が出ればOK)。

 ④ コマは、蜂達が動かすので、参加者は手を触れない事。


 たったこれだけ。

 某人生ゲ〇ムの様な、お金をどうにかして金持ちを目指したりはしないのだ。

 だって、その辺のルールは良く覚えてないし。

 

 さて、事前の協議でドワーフメイド衆と妖精族全員は不参加となった。

 人数が増えたら、コレ、終わらないからね。

 では、ゲーム開始と行きますか!


 まず、最初にサイコロを振るのは、不肖私トールヴァルドが行います。

 よっと…ころころ…出た目は…1…だと? またレアな目が出やがったなあ。

 サイコロを俺のコマ担当の蜂君が動か…おい、蹴るな! 面倒臭そうにすんやな! 

 え、面倒? 確かに1マスだけ進めるの面倒だよな…うん、ごめん…。

「トール様、マスに何か書いてあります! えっと…『1回休み』ですって…え?」 

 マジか!? いきなり休みですか!?

「そ、それは…1回サイコロを振る順番がお休み…つまり順番が飛ばされるって事です…」

 はぁ…自分で造った双六なのに、何てこったい!

 お次にサイコロを振るのはは、嫁の序列通りに、メリル。

 出た目は5で、マスは空白。

 ふむ、まずまずでないかい?

 ミルシェは4で、ここも空白。

 ミレーラも4…つまらんのぉ。

 マチルダは6か…このマスには、『ゲーム終了まで、語尾にニャンを付ける』って指示が。

「こ、この指示は、一体なんですか! …にゃん…」

 マチルダが叫んだが、最後ににゃんと小さく付け加え、真っ赤な顔で恥ずかしがっていた。

 それを聞いた参加者全員が、クスクスと笑う。

 あ、なんか結構楽しいかも。

 次はイネス…3で、マス目の指示は『3回周ってワンと鳴く』。

 どうすんのかなぁっと見ていると、普通に立ち上がって3回周って『わん』。

 うん、普通だ…あんまり楽しくない。

 ユズカも出目は3だけど、妊婦なので免除。

 ユズキは2で、これまた空白。

 サラは5で、リリアさんは4…つまらん。

 次は超絶美少女コルネちゃん…は、5か。

 続く超絶可愛い我が家のアイドル幼女のユリアちゃんは、6!!

「てへっ! ここにとまっちゃったにゃん!」

『かわいーーーーーーーーーーーー!』

 全員の心が一致した瞬間でした。

 最後は我が家のボス…では無く、母さん。

 6だけは出すなよ~~~~~~~!

 出た目は4か、ほっとした。

「あら、空白なの? つまらないわね」

 いや、もうずっと空白で良いですから。

 お願いですから、変なマス目にだけは止まらないでください。


 こんな感じで双六はスタート。

 現状、サイコロを持った人達に異変は見られない。

 まあ、まだ各自サイコロを手にしたのは長くても数秒程度だから、マインドコントロールを受けていたとしても解けていないだろう。

 この先、ゲームが進めば、何らかの異変が起きる可能性もあるから、十分に注意せねば。


 2巡目は…あ! 俺、休みだわ。

 んじゃメリルさん、サイコロどぞ。

 出た目は6…空白か…もしかして運が良いのか?

 ミルシェが5で、『うさぎの耳付カチューシャを付ける』って、普通につけて喜んでるなあ。

 ミレーラも5で、並んで同じくうさ耳に変身。

 君達、仲良いね…いや、仲が良いのはいい事なんだけど。

 マチルダは、また6かい! 指示は『ゲーム終了まで、1人称はオラにする事』。

「こ、これは、わた…オラの指示だけ酷く無いですか…にゃん…」

 うん、もう顔が真っ赤っか。

 イネスが2で、やっぱ空白。

 サラが5でリリアさんが4。

 ユズカが3で、語尾にゃん決定! でも、ユズキと楽しそうににゃんにゃん言ってるのは、何かムカつく!

 ユズキが5で、お初のマス! 指示は『初恋の人の名を大声で叫ぶ』…嫌な予感がする…。

「初恋の人は、柚香です!」

 ああ、うん。

 全員が分かってたよ…ユズカ以外は、しーーんとしてる。

 ユズカだけは頬を赤く染めて、にゃんにゃんまた言ってるし…。

 コルネちゃん2で、初恋マス! だけど…

「えっと、まだ初恋って無いですけど?」

 え~っと…それはお兄ちゃん、喜んでいいのでしょうか?

 ユズキの時とは別の意味で、全員しーーーんとしてしまった。

 ユリアちゃんは、3でうさ耳マス。

 うむ、順調に可愛さ倍増しているな。

 そしてラスボスの母さんは3で、初恋マス…はいはい、どうせ父さんだろ。

「初恋の人は、ウィルバート君でした!」

『誰、それ!?』

 予想外の男性の名に、全員が叫んでしまった瞬間だった。

「母さんの小さい時に、隣の家に住んでた男の子よ~」

 何故か母さんだけは楽しそうだった。


 ってな具合に、双六は順調に進むのであった。

 だけど、誰もマインドコントロール受けてないのかなあ?

 何にも異変が起きないんだけど?

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