第803話  何故に変身?

 さて、午後の予定をすべてキャンセルし、俺達は急遽屋敷へと戻る事になった。

 ユリアちゃんには、また数日以内に遊びに来る事を安濃くさせられたが、そのぐらいはどうという事は無い。 

 この人族の出産率が低い世界で、貴重な妊娠をしたユズカを我が家まで護送…もとい送り届ける事こそが、現在の我々に課せられた最優先事項だからだ。


 そう説明した途端、ユズキが真っ赤な闘士へと変身した。

 何故に変身?

「柚香…何があっても僕が君と君のお腹に宿る2人の子供を護るからね!」

 えっと…。

「そうね、良く言ったわ。皆さん、変身です!」

「「「「「はい! ジェムファイター・ゴー!」」」」」

 何故か嫁ーずも、全員が変身した。

 えっと…。

「この流れだと…私達も変身した方が良いのでしょうか? ユリアちゃん、いいですか?」

「は~い!」

「メタモルフォーゼ!」「めたもるふぉーぜ!」

 え~っと…、2人も変身するの? 

「な、何で皆が変身?」

「伯爵様! もしも柚香の身に何かあったらどうするんですか!」

 え~…何かあるかなあ…。

「トール様。帰路に獣出たらどうするんですか!?」

 この森の中って、一番大きい獣でも昔倒したクマぐらいだけど…メリル見た事なかったっけ?襲われてどうにかなるかなあ?

「そうです、トール様! クマがこのバスの前に立ちはだかったりしたら、どうしますか!?」

 えっと…昔、ミルシェは、俺が一撃で仕留めた魔獣化したクマを見たよね?

「万全の態勢で…お腹の子を守らなくちゃ駄目です…」

 ああ、うん。ミレーラの言いたい事は良く分かるけど…。

「ユズカとその身に宿る新たなる命…護のは最優先事項だと、先ほど仰ってたでは無いですか?」

 うん、そう言ったよ? だからね…マチルダ…。

「ま、私は少しぐらい手応えのある奴が出て来てくれても構わないんだが」

 イネスよ…今日は剣を持って来てないだろ? まさか格闘戦でもやるつもりか?

「お兄さま。私達が万全の護りでユズカをお護りいたしますので、ご安心を」

「わたしも、がんばるよー!」

 コルネちゃん、有り難いけど…。

 あち、ユリアちゃんは、あまり張り切らない様に…危険だから…周りが…。

「う、うん…皆の気持ちは俺だけでなく、ユズカにも伝わってると思うよ…な、ユズカ」

「はい、皆さんのお気持ち…私のハートを強く揺さぶられました! こうなったら、私も変身を…」

『やめろーーーーーーーーー!』

 誰の為に皆が変身したと思ってんだよ! それじゃ本末転倒? とにかく馬鹿な事を言い出し変身しようとしていた若…馬鹿妻ユズカを、全員が声を合わせて止めた。

「ぶーーーーーーーー!」

 ユズカはぶ~垂れているが、そんな事はさせない。

「っていうか…何で全員変身したの? ナディアが居るんだから、結界で護れば防御は完璧なんだけど…」

『あっ!』

 全員、ナディアの存在を忘れてたのね…。

「ん~~~?」

 ユリアちゃんは、話に付いてこれてないみたいだけど。

 

 取りあえず、何故か全員が変身したまま、虎バス乗り場へと俺達はやって来た。

 そして虎バスが到着し、乗り口が開いた瞬間、何故かミルシェがバス内に飛び込んだ。

「バス内、異常無し!」

 おぅ?

「バスの後方に異常なし!」

 これはマチルダか? バスの後ろを確認してたの?

「バス前方も異常ないぞ」

 前はイネス? 

「ば、バスの底にも…異常…無いです…」

 ミレーラは、バスの下をチェック!?

「では、ナディアさん結界でユズカを囲んでください。そしてナディアさん、ユズカの順でバスに乗車を」

 えっと…メリルさん、何故に場を仕切ってるんですか?

「僕はバスの上で周囲を警戒しますので、皆さんはバスの中で柚香の警護を!」

 ユズキ…お前、保護地区出口まで虎バスの屋根の上にいるつもりか?

『了解!』

 って、何故に全員、それを了解してんの!?

「ユリアちゃん、中で一緒にユズカを護ろうね~」

「まっかせて~!」

 うん、2人共可愛いけど…そんなに張り切る必要ないと思うんだけどなぁ…。


 お見送りに来てくれてたドワーフさん達や人魚さん達も、若干…いや、かなり呆れ顔で俺達を見ていた。

 きっと、過保護だなあ…とか思ってるんだろうなあ。



※こっそり新作投稿しています。

 姫様はおかたいのがお好き

 https://kakuyomu.jp/works/16817139558018401730

 不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!

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