第735話 ストレス解消?
父さんの話からすると、ユリアちゃんのスーパー幼女っぷりはすでに王国内では知れ渡っている様で、騎士さん達からはグーダイド王国の最終兵器とまで言われているとか。
最終兵器幼女…何か近いフレーズの題名の漫画があった気がする…。
王都に来たばかりの頃はそうでも無かったらしいが、父さんと騎士さんたちの訓練を見学している内に、だんだんと覚醒したそうだ。
超肉体派である父さんの娘なんだし、その上にネス様の神子でもあるという認識が騎士さん達の間で広まっているので、スーパーな幼女であっても、「あの一家の娘なんだから、そんなもんだろう」って思われてるらしい。
俺にとっちゃ都合が良いと言えば都合が良い訳だが…。
騎士さん達の間では、「兄貴が英雄で、姉がネス様の巫女で、父親がマッスル野郎なんだから…」って訳で、俺とコルネちゃんも既に人外扱いに近いとか。
これにはコルネちゃんも多少は憤慨していたようだが、噂が広まるにつれて見合いの申込件数も減少気味というのだから、ここは放置を決め込んでいたとか。
ま、そんな事は今更なんでどうでもいい。
とにかく父さんに装備がきちんと渡った様で、一安心。
「使い心地は?」
念のために確認してみたが、
「あれを使うと、基本的に騎士達とは訓練にならないからな。普段は使ってないぞ。コルネリアとユリアーネが来た時だけ変身する様にしている」
賢明な判断だな、父さん。
だけど、裏を返せば…変身したコルネちゃんとユリアちゃんの相手は、変身なしには手に負えないって事だよな?
特にユリアちゃんは素の状態でも手に負えないんだろ?
それって、単にコルネちゃんとユリアちゃんのストレス解消に付き合ってるだけじゃないの?
2人は王都にあんまり友達もいないんだから、どこにも遊びに行けてない分けだ。
パワフルな2人を王都の屋敷のようなところに閉じ込めてりゃ、ストレス溜まりまくってるはずだ。
たまに騎士達の訓練を見学に行くのも、単に遊び回れる広い場所と相手を求めてなんじゃないのかなぁ。
ま、コルネちゃんとユリアちゃんが楽しく訓練に参加しストレス解消出来てるなら、どうでもいい事か。
「なるほどね。了解した、父さん」
そう言って、俺は席を立った。
「話は全部終わったんで、俺達は帰るよ」
「はっ? まだ来たばっかりだろ?」
父さんも、流石にこの帰る宣言にはびっくり。
「いや、取りあえず妖精ともっち君の交代の為だけに来ただけだから。まさか母さんの妊娠しました宣言とか飛び出すとは思わなかったから長い時間居たけど、さっさと帰らないと仕事が溜まりまくるんだよ」
急に俺が帰ると言ったからか、嫁ーずも驚いていたけど、理由を聞いて「ああ、そりゃそうだよね」って顔してた。
「母さん、コルネちゃん、ユリアちゃんと、もっとゆっくり話もしたかったけど、またすぐに来るからその時にでも」
「そうね、トールちゃんも立派な伯爵様。それにアルテアン領の仕事を全部押し付けちゃってるものね…」
母さんは、事情を理解してくれた様だ。
「お兄さま…名残惜しいですが、またすぐに来られるのですわよね?」
「おにいちゃん、またきてくれる?」
おうおう、我が妹達は誠に天使でござる! かわええのぉ!
「またすぐに来るよ。今日は急だったから無かったけど、次はお土産とか持ってくるからね」
そう言って、2人の頭をなでなで。
嫁ーずも、両親と妹達と再会の約束を交わし、熱くハグをしていた。
ま、サラかリリアさんにホワイト・オルター号を操縦してもらえば、何時でも嫁ーずだけでも来れるけどね。
そんなこんなで、王都のアルテアン侯爵邸を俺達は後にした。
来る時と一部メンバーが入れ替わり、もっち君とナディアの代わりに、妖精さん達が帰路では乗船している。
最後までナディアは一緒に帰りたいと駄々を捏ねていたが、元々お前はコルネちゃん付きの妖精だろ? というと、渋々納得して屋敷に残った。
何だかなあ…。
俺が創ったはずなのに、最近全然言う事を聞いてくれない気がするんだよね。
もしかして、反抗期?
ナディアの年齢というか肉体的に考えたら、第二次反抗期っぽいけど、そもそもナディアの身体は成長しないはずなんだけど。
精神年齢的な物なのかな?
もしかして、アーデ、アーム、アーフェンだけでなく、妖精さんとかもっち君にも、そのうち反抗期が来るのかな?
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