第713話  衝撃の

「ただーいまっと」

 父さんの領都リーカでの屋敷に到着した俺は、どうせ誰も見てないだろうと気軽にただいまと言ったのだが、

「「「「お帰りなさいませ、若旦那様、若奥様方」」」」

 この屋敷の管理と領地の経理等を一手に任されている、超やり手の超巨乳メイドさん達が玄関で俺達を出迎えてくれた。

 綺麗に一直線に並んで。

「「「マスター、いらっしゃいませ!」」」

 アーデ、アーム、アーフェンも、そのメイドさん達に向かい合うように、綺麗に一直線に並んでいた。

 うん、つまりは玄関の左右に並んでるわけだ。

 そして、 もしかしなくても完璧に聞かれてたってわけだな…恥ずかしい…。

 ん? メイドさん達の並びとアーデ達の並びの間、つまりは玄関開けて真正面にふよふよ何か浮いてる。

「と、トール様…あれ、一体なんですの?」

 後ろから俺の服の裾をツンツンと引っ張りながら、ヒソヒソとメリルが訊ねて来たが、

「わ、わからん…何だ、あれ?」

 俺にも正体は不明だ。

 ってか、メリルに見えるって事は、全員が見えるって事なのか?

 思わず振り返ると、全員がぽけーっと呆けた顔をしていた。

 うん、これは間違いなく見えてるね。

 

 ふよふよと浮かんでいた正体不明の物体。

 大きさ的には、大体握りこぶしよりもちょっと大きいぐらい。

 丸っこい形をしていて、色は白…いや、はっきり言おう、大福餅だ。

 大福餅に天使の羽っぽい物が付いてて、正面には2個の点が付いている。

 もしかして、あれが目なのか?

 それが全部で…ひのふのみの…10匹? 10体? 浮かんでいる。 

 あんな魔物とかモンスターとかいたっけ?

「えっと…ちょっと聞いていいかな?」

 誰にと言うのを忘れてしまったので、玄関に並んでいた4人のメイドと3人の天鬼族の視線が一斉に俺に集中。

「そこに浮いてるの…ナニ?」

 真っすぐに腕を伸ばした俺は、その物体を指さしつつ尋ねた。

 俺の背後に並ぶ嫁ーずも同じ気持ちだったのか、息を飲んで答えを待っている様に感じた。

 ん、待てよ?

 どうもナディアは落ち着いている様な雰囲気だが、そもそも念話してこないのは…もしや知ってるな、この物体の正体!?

「「「これは、新しい妖精達です」」」

 そんな事を考えていた俺に向かって、アーデ、アーム、アーフェンが空飛ぶ大福の正体を明かした。

 って…

「妖精なの!?」


 いや、俺だってどっかのラノベの鈍感系主人公じゃないんだから、ある程度の予想はできたよ?

 この屋敷の巨乳メイドさん達が側に居ても何も言わないし、アーデ達も敵視しているわけでもないんだから、きっと妖精の類なんだろうなとは薄々感づいてたさ。

 でもな、今までの妖精さんと言えば、ダン〇インに出て来たフェ〇リオみたいに、掌に乗るぐらいの可憐な少女型だったじゃん。

 アニメみたいにハイレグのレオタードとかじゃなくて綺麗なドレスを着てたけど、何時かはレオタードも着せたいと思ってたんだよ。

 あ、これは嫁ーずには聞かせられないな…内緒ね。

 それが、まさかまさかの大福型妖精って、一体全体どゆこと?

「若旦那様、若奥様方、何時までも玄関先で立ち話も何ですので、応接間の方に移動いたしませんか?」

 先頭に居た巨乳メイドさんの、ちょっと鼻にかかった低めの声は、とても知的な(ちょっとエロっぽい)女性に感じた。

 あの胸に付けた巨大なスイカとこの声は反則だぞ! 父さん、きっと日々我慢してたんだろな。

 ま、その我慢したナニを全部母さんに吸い取られてたんなら、それはそれはご愁傷様だけど。


 そんな超立派なお胸様をお持ちの4人のメイドさんに案内されて、俺達全員が応接室に移動する事となった。

 ソファーに腰かけちょっと落ち着くと、ローテーブルを挟んだ向かい側に、やっぱりふよふよ飛び回る大福餅が飛んでいた。

 う~~~ん…好みで言えば、やっぱ美少女の妖精が良かった気がするなあ…。

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