第702話 夢の2段階変身
俺とサラ、リリアさん、ナディアが見つめる…いや、全員の視線を集めているホムンクルスのベッドに向かって、ちびっこが2人ちょこちょこと駆け寄った。
もふりんとカジマギーだ。
もふりんは、何やら長い物を手に持っているが、あれは一体何だ?
「はーい! みなちゃん、いまからさんにんはおきがえちまちゅので、ちばらくおまちくだちゃ~い!」
そう言うと、もふりんが手に持った荷物に付いている棒をカジマギーが握った。
そしてカジマギーがてててと家族一同とベッドの間を隔てる様に、手にもった棒を引っ張る様にまた走る。
すると、もう一方のもふりんの持つ方からするすると青い布のような物が伸びて行き、パーテーション? 間仕切りカーテン? 的に、目隠しがなされる。
この間仕切り用の布だけど、布というよりも見た感じどことなくビニールシートっぽく感じる
事件とかあった時に、現場とか犯人とかをマスコミのカメラから隠す時の奴っぽいな。
いや、確かに裸の3人が下着と服を今から着るんだから、隠すのは当然だと思うけど…俺はまだこっちだけど?
俺はベッドの先にある水晶の所にいたから、家族とは間仕切りで隔てられちゃった感じだ。
ってなわけで、俺も慌てて間仕切りの向こうへと、もふりんを周り込んで一目散に退散した。
だって、成人女性っぽいのと少女っぽいホムンクルスのすっぽんぽんだぞ。
そんなもん見た日にゃ、後で嫁達に何を言われるやら。
ん~~~…でも、リミッター外がれてるはずなのに、危険な兆候は未だ出て来てないなあ。
これは、もうちょこっと様子見ても良いんでないかな?
よく考えたら、相手が暴力に訴えたとしても、嫁ーず&ユズユズなら変身すりゃ互角に戦えるだろうし、ナディアとサラ&リリアさんの結界というかシールドでドワーフメイド衆を護れるはず。
とどめに俺が居るんだから、まあ何とでもなるかな。
そういや、新兵器として創ったウルスラグナは全部置いて来ちゃったんだよなあ。
やっぱ、俺専用の新装備とか創れば良かったかな?
まてよ? 俺の装備の上から新装備をさらに着こんだ2段階変身とかも、なかなか男心をくすぐるなぁ。
「これが俺の最終形態だ!」 とか、「これぞ俺の真の姿だ!」とか?
そもそも俺の装備だと変身は1回だけだから、更に装備を追加する事で追加変身するか? いやいや、用途別に着替えるってのも良いかも知んない。
月と火と水と木と金と土と…そして太陽の化身!
阿耨多羅三藐三菩提っていう掛け声の、レインボーな人みたいな変身セットとか!
あ、でも土と太陽がちょいデザイン嫌いだったから、やっぱ却下かな?
いやいや違う、正統派の二段変身といえば、最初はサナギで、爆発して蝶になるヒーローがいたじゃないか!
剛力招来! ってサナギになって、超力招来で蝶になるの!
あ、でもあれって本当に蝶なのかなあ?
俺的には蛾にしか見えなかったんだけどなあ…。
そういや、電気の力で変身するカブトムシ型の仮面の人も、超電子なダイナモを後半埋め込まれて、「チャージア〇プ!」って掛け声で、チャージアップなストロングなガーになって無かったっけ?
いや、あれは確か1分間限定で、それを越えたら爆発するんだっけ?
爆発…それは男のロマンだな…でも死にたくねーな…。
あ、ちょっと待てよ…装備を重ねて着たり着替えたりって面倒臭いかな?
ならば、ここは一丁、武装の追加とかどうだ?
あのロボットの刑事さんだって、後半は真っ赤に色が変わってたじゃないか。
「ブロ〇アップ!」とか叫んで、肩とかにミサイルとか乗っけたり、腕にはバルカン砲とか付けてたじゃないか!
魔神なZだって、ジェットなスクランダーと合体して、空飛んでたよな。
おお! 空を飛ぶ装備もいいんでないか?
ユズキとかユリアちゃんは空飛べるわけだし!
まあ、ユズキは馬の姿に変形してだけど…。
そんな、お馬鹿な事をぼへっと考えていたら、どうやらビニールシート…じゃない、間仕切りの向こうでは雰囲気的にホムンクルスが身体を起こして下着をつけ始めている様だ。
何で分かるのかって? そりゃ、薄っすらと影が見えるからさ。
影絵みたいな感じで、ちょっとピンボケ気味だけど、どうにか何か動いているのがわかる。
ボソボソと小声で何やら話している様だが、誰が何を言ってるのかは、分からない。
間仕切りのこちら側では、アルテアン家…というよりもトールヴァルド邸の一同が、そんな様子を固唾を飲んで見守っていた。
ま、ここは俺も、大人しく着替えが終わるのを待つとしましょうかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます