第607話  第…何回だっけ?

 嫁達とリリアさんと、おまけでサラが仲良く遊んでいる様なので、そっちは気にしない事にしてっと。


 よっし! シールド発生装置の設定完了!

 これでヒルコ討伐の目途が立った…ぞ…って、もしかしてこの設定って、皇都でも使えんじゃね?

 シールドで皇都を覆って、一気にゾンビを焼き尽くせば、たとえ建物の中や地下に居ても…あ、熱でダンジョンマスターがやばいか。

 モフリーナのおかげで、皇都から出たゾンビは消し去る事が出来るんだから、やっぱ地道にヤルしかないのか。

 やっぱ、最初にたてた皇都殲滅作戦&ダンジョンマスター救出作戦を、再会しなきゃダメか…はぁ。


「はい、お待たせしました。これより第…何回だっけ? アルテアン家の家族会議を始めます。はい、拍手拍手~」

 準備が整ったので、我が家のメンバー全員を食堂に集めて、またまた作戦会議です。

 拍手は…うん、疎らですな。

 真剣に拍手してくれるのは、キラキラと期待に満ちた瞳のユリアちゃんだけか。

 コルネちゃんを筆頭に、全メンバーの顔はなんだか呆れてるけど、会議が多すぎるからなのか?

「拍手が少ない気がしますが…まあ、会議を進めます。あの巨大なスライム…もとい、ヒルコですが、討伐の目途が立ちました」

 さすがにこれには、全員が感嘆の声をあげ、拍手をしてくれたぞ。

「作戦としては、ごく単純です。モフリーナがこの地に持ち込んでくれた、あの結界を発生させる樹木型の装置を使って、ヒルコを結界に閉じ込めます。その後、結界内に火を点けて、ガンガン火を燃やすための風を結界の下から送り、煙を上から出すだけです。そして、結界内のヒルコを超高温の炎で燃やし尽くすのです。最後に、結界内のヒルコの残りカスを、吸いとーる君で吸い取るだけです。これであのヒルコも、中に寄生している蟲も綺麗さっぱり終了です」  

 ごくごく簡単な俺の説明だったのだが、真剣に聞いていた一同は、ほっとした様な表情を浮かべていた。

「お兄ちゃん、火を点けるのは…精霊さん?」

 そんな中、コルネちゃんだけは、作戦内容に疑問を持ったらしい。

「そうだよ。精霊さんの魔法で火を点けてもらうつもりだよ」

 変身して精霊さんの不思議パワーで魔法を使っている(様に見える)コルネちゃんだけは、この作戦の鍵に気が付いた様だ。

「そうなんだ…。だったら、もしかして風を送り込むのも、精霊さんの力なの?」

 おぅ! 何て賢い妹なんだ! 流石は、我が妹だ!

「そう。この作戦の鍵を握るのは、精霊さん達だ。精霊さん達の活躍無くして、この作戦は成り立たない」

 実はこっそりと各種精霊さんのリーダーたちが、俺の膝の上に乗っかって会議に参加してたんだが、彼等はもの凄く胸をはってドヤ顔していた。

 もちろん、この場の誰も精霊さんの姿は見えない…いや、最近は妖精族が何故か見えてる様だが、とにかく人には見えない。  

 こんな可愛い精霊さんの姿を見れないなんて、ちょっと可哀そうだけど、今はどうでも良い事か。

「なるほど! それじゃ精霊さん、よろしくお願いいたします」

 精霊さんの気配を感じたわけでも無いだろうが、コルネちゃんは丁寧に頭を下げて、精霊さんにお願いをした。

 それを見た精霊さんも、任せとけ! って感じで、堂々と頷いているっぽい。

 いやさ、精霊さんの首ってどこよ? 焼いて膨らんだお餅みたいな姿してるんだけど…。

「って事で、作戦は全員理解できたかな? 基本的にヒルコを焼いている時は、皆は見ているだけ。出番は結界を解除してからになるんで、よろしく。あ、もし焼却した後の塵とかが有害だと危ないんで、変身できる人だけが作戦参加ね」

「マスター、私達でしたら結界が使えますので、参加可能かと思いますが」

 ナディアが妖精族を代表して申し出てくれるんだが…

「あ、吸いとーる君は4個しかないから、今回はお休みで良いよ」

 申し訳ないけど、そう言う事です。

「残念です…」

 妖精さん達、しょぼぼーんってなっちゃったけど、たまには休みなさいって。

「ヒルコの処分が完了したら、また皇都殲滅戦を再開するんで、その時の為にも力は温存しておいてくれ」

「承りました」

 妖精族が揃ってお辞儀をして、諒承してくれた。 


 さて、必要な物も準備できたし、作戦もばっちり。

 心の準備もすでに出来ている。

 とは言っても、精霊さん任せなんだけど、とにかく完了です。

「では、作戦決行は、明朝の日の出の刻。今日は、各自ゆっくりと休んでください。ヒルコの処分が完了したら、即座に皇都殲滅戦の再開です。皇都攻略をさっさと進めて、さっさとこの戦争を終わらせましょう」

 会議の締めの言葉に、この場に集まった一同は、声を揃えて、

『 おぉーーー! 』

 と、右手を天に突き上げた。 

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