第486話  ジェネレーション・ギャップ?

「うぉ!」

 あまりの眩しさに目を眇めて見ていると、光が徐々に集まり俺が創造したとおりに形になっていった。

 そして、光が収まり現れたのは、見事に変身したユリアちゃんだ。

「ほえ?」

 何が起こったのか理解出来てないユリアちゃんが、間抜けな声をあげていたが、その姿を見た周りに集う面々は、全員が呆気に取られていた。


 現れたのは、コルネちゃん同様に目まで完全に覆われた面を被った鎧の幼女…いやそれじゃ正確な表現では無いな。

 黄金色に輝く西洋風の全身鎧姿で、長く伸びた杖か槍の様な姿になった独鈷杵を持つ幼女。いや、幼女という所で、すでにスケール感がおかしくなっているけど、そこは仕方ないと割り切らねば。

 額からは天に向かって雄々しく伸びる1本の角と独鈷杵が対になっている様で、かなり格好いい。

 最強防御力を誇る全身を覆う黒いウェットスーツ状のアンダーウェアの各部に装着された鎧のパーツは、派手な装飾こそ無いが美しく優美なラインを描いている。

 胸と中央には、意味は良く分からないが梵字の様な模様が小さく刻まれており、ワンポイントになってる…のかな?

 もちろん背中には同じく黄金色の羽が折りたたまれて装備されているが、コルネちゃんやユズキの様なリアルな羽とは違い、どっちかというとメカメカしいデザインの物で、構成するパーツは武骨な物となっている。

 具体的には、クナイの様な形状やサバイバルナイフ形状の物、果ては日本刀にしか見えない様な刃などの様々な形状や長さの刃や、バネやゼンマイまでもが無作為に組み合わさっており、一見するとまるでスチームパンクの羽を思わせるデザインとなっている。

 細かくデザインや機能を語り始めると、数時間は語ってしまいそうなので割愛させて頂くが、真っ黒なアンダーウェアに武骨ではあるが優美なラインを描く黄金の鎧と機械的な羽の組み合わせは、それはそれは似合っていた。

 スケール感は、デフォルメされたかの様ではあるが…


「素晴らしい!」「「「神々しいです!」」」

 ナディアならば、手放しで称賛してくれるとは思っていたが、それしか言葉が見つからなかったのかな?

 天鬼族3人娘の評価は、確かにその通りと言わざるを得ない。

「趣味に走りましたねえ。何で銅鐸がこうなったのか良く理解できませんが」

 リリアさんの評価も、あながち間違ってはいないし、何で俺もそうなったのか理解不能だ。

「大河さん…あんた、何て物を…」

 お、サラが珍しく言葉を失ったみたいだな。ふっふっふ…自信作なのだよ!

「これじゃ、黄金聖〇士じゃないですか!」

「ちゃうわ! ユニコーンの神甲〇だ!」

 そこだけは訂正させてもらうぞ!

「シ〇クティ…だと? あえてマイナーな作品を選択するとは…大河さん、あんたマニアックすぐる君…」

 サラが呆然としていた。ところでマニアックすぐる君って、誰だ?

 モフリーナともふりんは、ただ静かに見つめているだけ…なんだが、微妙に心配そうなんだけど。

「もしかして、ダンジョンでお試しとか…? ならばすぐに作りかえる必要が…」「ましたー、どこにちまちゅか?」

 あ、そっちの心配ね。ちゃんと練習した後で、それは相談するよ。

 

 さてと…

「ユリアちゃん、変身してみてどう?」

 曖昧な質問だけど、まあ感想だけでも聞いておきたい。

「おにいちゃん…ゆりあどうなっちゃったの?」

 あ、そりゃ自分の姿は見えんか。ここ、何もないしな。

「あ~…えっと、モフリーナ。鏡とかある? あったら貸して欲しいんだけど…」

 モフリーナに声を掛けると、「あ、はい」と、すぐに全身移せる鏡を何処からともなく取り出した。

 いや、もしかしてダンジョンの床とかから一瞬で造ったのかな? ダンジョンマスターってのは、ダンジョンでは無敵だな。

 それはそれとして、自分の姿を全身鏡に前から後ろからくるっと回って余すとこなく映したユリアちゃんは、一言。

「かわいーーー!」

 …それは予想出来なかった。

 格好いいとか凄いとか素敵とか言われるかと思ってかけど、まさか可愛いのか。

 これが価値観の違いという奴なのか? ジェネレーション・ギャップなのか? 俺には可愛いと思えないけどなぁ。

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