第478話  お名前発表!

「さあ、全ての準備は整いました…あ、名前がまだでしたね。あとは彼女の名前を書き込めば終了です。それで、名前は?」

 リリアさんが、何も無かったかのような顔で俺を見たのだが、モフリーナと俺は顔を見合わせて困惑した。

 あれ(床でジタバタ中のサラ)を、無視してもいいものか悩んだ…が、もう考えても無駄かと諦めた。

「あっと、名前だったな。この子の名前はユリアちゃん。ユリアーナ・デ・アルテアン」

「「…」」

 この沈黙は何だろう。

「まさか…貴方は、南斗〇将〇宿命〇ままに! とか言わせる気ですか!?」

 何を言ってるのかな、リリア君。そんな事を言うはずないだろう?

 ってか、それはユリア違いだ! 私も天〇帰りましょう! とか言い出したらどうすんだよ!

「と、トールヴァルド様が、本当に考えてたなんて…」

 モフリーナも、大概失礼だよな! ちゃんと考えてたわ!

「あのな、2人共。父さん達と、国王陛下と相談した結果だぞ? 俺が決めたわけじゃ無いんだからな」

「「…へ~~~~~~~」」

 めっちゃ疑惑の目だな。いや、だが今回だけは本当だからな。

「う…お、大河さん…うっぷ…峻烈〇男達の戦〇の為に私がしてあげ〇れるのは、心置き〇く送り出す事〇け…Death !」

 ゾンビの様にゆらりと立ち上がったサラが、長いセリフを口にしたが、

「それもリリアさんと同じユリアだ、馬鹿者ーーーー!」

 んじゃ俺は、ほぉぁたたたたたたたたた…ぉぁったー! とか言わなきゃならんのか? ヤダぞ?

「まさか、吉〇の女芸人…」

「リリアさん、ストップストップストーーーーップ! 危険だから、それ以上はお口にチャックだ!」

 恐ろしい…何て恐ろしい事を口走ろうとしてたんだ、このアマ!

「この子の名前は、ユリアーナ・デ・アルテアンで決定なんだよ! 異論も反論も一切認めない! これは侯爵閣下と国王陛下の決定なんだからな!」

『長い物に巻かれやがった!』

「3人共、何言ってんだ! 巻かれた方が楽なんだから、当たり前だろーが!」

『そして認めた!』

「いいんだよ。ユリアちゃん…可愛いじゃないか。俺は気に入った」


 だって、本当に可愛いじゃん。

 俺とコルネちゃん、そしてユリアちゃん。皆、5歳ずつ離れてるんだぜ。

 そういえば最近のコルネちゃんは、話してると言葉に漢字が増えた気がする…あくまでニュアンスだけど。

 きっとまだ7歳のユリアちゃんは、ひらがないっぱいなんだろうなあ~。いいじゃないか、愛妹ユリアちゃん!

 きっと彼女を構ってたら、コルネちゃんも「お兄ちゃん、一緒に遊ぼう~よ~!」とか言ってくるんだよ、ヤキモチ焼いたりして。 

 そしたらユリアちゃんも、「おにいちゃんは、ゆりあのものなのー!」とか言って、ほっぺ膨らまして俺にしがみ付いてきたりして。


「リリアさん…トールヴァルド様の顔が気持ち悪いんですけど…」

「ものすごく、わるいかおになってまち!」

「モフリーナさん、もふりんちゃん。あれがあの男の本性です。近づくと妊娠しますよ?」

「いやいや、リリア。さすがにそれは無いと思うけど。サラちゃんとしては、その流れで襲って欲しい所ですけど」

「サラはあの顔に欲情するとでも?」

「……近づくだけにしようかな…妊娠するなら」

『妊娠(にんしん)したいんかーい!』

 リリアさん、モフリーナ、もふりんの声が揃った。

「何も声を揃えて言わなくても…。でも、やっぱり妊娠だけしても仕方ないですね。その前段階というかプロセスというか、ぶっちゃけエッチしなきゃ意味ないですね」

『ぶっちゃけたよ、この女(あま)!』

 もう声が揃うのはデフォルトな様だ。

「だって、身体の疼きが…」

 

 俺が幸せな妄想に浸っている間に、何やらサラ、リリアさん、モフリーナ、もふりんの4人で、何か話してたようだが?

 話の内容が気にはなるが、それよりもだ、

「んで、リリアさんや。ユリアーナ・デ・アルテアンで大丈夫なんだろ?」

「え、ええ…まあ、特に問題はないと思いますが…」

 よし! では、

「んじゃ長々引っ張っても仕方ないから、そろそろ本当に目覚めてもらおう!」

 未だに、裸のまま布1枚掛けられただけで機械に繋がれてた幼女を横目に、俺は力強く宣言したのだった。

「さあ、時は満ちた。今こそ目覚めの刻だ。いざ、儀式を始めよう!」

 またもや女性陣の冷たい目が俺に集まった。

 いや、海外の童話じゃないんだから、眠ってるお姫様起こすのにキスとかしないよ? ちょっとだけしたいなあ~とか思ったりもしてないからね! 本当だからね!

「目覚めのキスとかどうでもいいです…中二病的セリフに寒気を覚えただけです」

 サラの評価には、大変遺憾を覚えるが、今はノリノリなのだ!

 さあ、いざ行かん! 目覚めの儀式へと!

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