第476話 最強の幼女?
「ここまでの話は理解していただいたと仮定して、話を続けますね」
仮定…でもいいや、もう。確かに完全には理解できてないし。
「通常の人よりも大きなエネルギーをその身に内包した火御華の新ボディーとなっておりますが、このエネルギーの使用に制限を掛けさせて頂きました」
「制限?」
なして?
「ええ。そのまま常時そのエネルギーを垂れ流しては、色々と周囲の環境に不都合が出る可能性があるからです」
ほう…でも、俺はいいんだろうか?
「同じ理由で、本来は貴方様にも制限が必要なのですが…ヘタレですから、あまり問題になりません」
「ヘタレ言うな!」
「本当でしたら、エネルギー変換球を欲望の限り鼻汁が駄々もれになるぐらい使ってもおかしくない一般ぴーぽーが、自制なんてしてるんですから、ヘタレ以外の何物でもありません。異論は認めません」
「こいつ、言い切りやがった!」
いや、確かに自制心は強い方だと思ってはいるよ…でもヘタレは無いだろう、ヘタレは…
「なので貴方様は放置状態です。無法状態です。でもヘタレなので大丈夫なのです」
はいはい…もうヘタレでいいですよ。
「さて、火御華の新ボディーですが、体内のエネルギーを使うには、道具とパスワードが必要です」
「道具とパスワード?」
「ええ。具体的には、貴方様がこの新ボディー用に作成する道具ですね。用意するんでしょう?」
何故か伊達眼鏡の弦をクイッ! と押し上げて、ニヤリと笑うリリアさんに、ちょっと腹が立つ。
「ああ、そのつもりだし、もう準備は済ませてある」
「ああ、サラとこのボディーを創る時に同時申請してたアレですね。では、その道具をここに」
言われるがまま、ポケットに入れておいた新ボディー用に準備しておいたカード化された新装備を手渡した。
「では失礼してスキャンします。あ、スキャンティーではありませんので、お間違いなく」
「誰が間違えるか!」
「言っておきますが、ショーツでもありませんからね? あくまでもスキャンです」
「わかっとるから、さっさとせい!」
くっそ! 絶対にこいつは、俺のツッコミ気質を正確に理解してやがる…ツッコミを入れずにおけないこの俺の性格を…
リリアさんは、手渡したカードを左手に持つと、右手の人差し指をカードの下から上へと表面をなぞる様に動かした。
もしかして、あの指がスキャナなのかな?
「はい、結構です。お返ししますね」
あ、はい。どうも…って、あれだけでスキャン完了なのか!?
「では、この道具とパスワードを新ボディーの使用制限に使わせて頂きます」
「どゆこと?」
もうチンプンカンプンですが。
「新ボディーが内包するエネルギーを使用する為には、この道具を装備しなければならないという事です。つまり、この道具無くしてエネルギーは使用できません。元々設けてあった制限のキーに、この道具を設定しただけです」
ふ~~~ん…で?
「そして道具を使用する為には、本人以外が使用を認めた事を示すパスワードが必要となります。パスは、貴方様が言葉にする必要があります。これは先ほど追加で管理局に申請させました。あそこでのたうち回ってるサラの脳を介して直接」
サラがジタバタと頭を抱えてのたうち回っていた。
本人の許可も無くそんなことしたのか…あんた、マジ鬼畜だな。
「これにより、この地上限定ではありますが、貴方様を除いて最強の存在になったという事です。道具を使用した時、限定ですが」
おっと! これはびっくり!
「そりゃすげえ…でも、使ってなかったら?」
「ただの幼女です」
「ああ、そうなるのか…」
何となく分かってきた。
「その制限は、後から外す事や変更する事も可能?」
「ええ、貴方様も理解してきたようですね…もちろん可能です」
そう言って、リリアさんはニヤリと笑った。
つまり、俺がノリと勢いで創った(?)新ボディーは、妖精達と人との良い所どりした素体となり、内包するエネルギーはナディア並みだが、それを使うための精神状態が幼いため制限が掛けられている。
俺に近しい者や、俺が創造した物に触れた者は、身体に何らかの変異を生じている可能性が高い。
魂のエネルギーは、使った分だけ回復する?
一般人と比較して、俺のエネルギー総量は桁違いに多いが、有効活用法がいまいちわからない(のは俺だけなのか?)。
実は、俺って最強らしい(実感ないんだけど…)。
火御華が変身した新ボディーは、俺に次ぎ最強らしいのだが、それを使うためには俺のパスワードが必要であり、それを言葉にしなきゃならない。
…え? アレを俺が言わなきゃならないのか!?
「貴方様はもうその言葉をイメージしてますよね?」
もちろん、考えてはいたが…リリアさん、そのもの凄くいい笑顔は何故に?
「アレを叫んでください。新ボディーに聞こえる様に!」
「マジか!? 周囲の人にも聞こえるじゃねーか!」
あいつに聞こえる様にって事は、周囲に人が居たら聞こえるはずだ。
「存分に聞かせてやってください! 貴方自身があの天空に輝く天駆ける中二病の星となって!」
薄暗いダンジョンの天井を指しているが、見えるわきゃねーだろうが!
それよりも、
「そんな星には、ならねーよ!」
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