第419話 飽きました…
モフリーナに用意してもらったダンジョン内のスペースで、ガチャ玉での創造は、実に順調に進んでいた。
全く同じ物しか創造していないが、なんとか60個は完成したぞ! 疲れたけど…。
何せ、1個創造する毎に、ボカーン! チュドーン! と爆発煙もくもくしてるから、精神的にまいるんだよなぁ。
サラとリリアさんは、ちゃっかりシールドでガードしてるけど、この2人って何気に高性能でムカつく。
管理局長曰く、ガチャ玉は俺しか見えない触れないって話だったのに、2人共(触れないけど)見えるし。
リリアさんはともかく、サラはもっとポンコツでいて欲しかった気がする。
『ひっどー! サラちゃんは、とーっても優秀なんですーー!』
そうは見えないけどな…悔しいが、一部分に関しては優秀だと認めよう。
『何か引っかかる物言いですが、まあいいでしょう。そんな事より、大河さん!』
何だよ、サラさん。
『もう飽きました。同じ物を何個も何個も申請して許可もらってぼかーん! 申請して許可貰ってぼかーん! 飽きました!』
いや、俺だって飽きるわ! でも必要な事なんだよ!
『リリア~! もう交代して~!』
『無理です。私は貴女と違って、単なる現地活動用サイバネティックス・ボディ管理課のエンジニアです。貴女の様に監視対象…もとい重要人物のサポート役ではありませんので、機能的に制限がありますから』
おい、リリアさん! 今、監視対象とか言わなかったか?
『空耳です』
思念波で話してて空耳なんてある訳ねえだろ!
『空耳あわーです』
また、クッソ古い番組出して来たな…って、誤魔化されんからな?
『いえ、大河さん…監視対象である事は、客観的に見て間違ってないかと』
ん?
『常時大河さんの言動も行動も管理局で記録してますので、監視されているのと何ら変わりはないと思いますが?』
い、言われてみれば…
『まあ、重要人物ですからね』
どういう意味だよ、リリアさん。
『いえ、こんな原始のエネルギーを持つ生命体が、面白くないはずないでしょう?』
ぐっ…俺は実験動物的な扱いなのか…
『大河さん大河さん。実験動物とかじゃないですよ。局長にとっては、ただの玩具です』
余計わるいわー!
もう拗ねた。この先も延々この作業続けちゃる! いや、増量してやるからな!
『いーーーーやーーーー!』
『…馬鹿ですね、サラは…同じ物なら、一度にまとめて申請すれば良いものを…』
ん? 何か言ったか、リリアさんや。
『いいえ、別に~』
サラには、いらぬアドバイスは決してしない様に。
『了解です』
『大河さーん! もう眠いですー!』
お前に睡眠の必要が無い事は、すでにリリアさんから聞いているのだよ。
俺も働いているんだから、お前もキリキリ働けー! そもそもこれは管理局のミスの尻拭いだ! 関係者のお前が頑張らんで、どうするんだ! ほれ、サボってないで申請しろ、申請!
『ぁぅぁぅぁぅぁぅ…』
こうして時々狂ったり喚いたりしながら、必死で一日中ガチャ玉を空けまくったのであった。
怒涛のガチャ玉創造の一日を過ごした俺は、なんとか予定の300個(+α)の立体映像投影装置を完成させた。
んで、こいつをどうするのかというと…あとの配置は全部モフリーナおよびもふりんに指示するだけだ。
なんたってこの大陸は、すでにダンジョン化し終わっているので、モフリーナの権限がこの大陸全土におよぶのだ。
つまりは、どこにでも一瞬で移動できるし、移動させることが出来る。
なので、100基ある塔の屋上の全てに、投影装置を持たせたクイーンと兵隊蜂を転移させて設置。
2匹でペアを組んだ兵隊蜂たちが、一瞬で目の前から転移していった…と思ったら戻って来た。
仕事が早いな。やるな、蜂達! え、最近出番が無かったから、張り切った? ごめん、これ終わったらまた出番無いけど…。
次の100個は、モフリーナに、適当に森の中の樹の天辺に転送してもらった。
お次の100個は、各塔型ダンジョンのボス部屋内に。
残る端数は、ミルフィーユみたいに層になってる、この大陸の広大な地下ダンジョンに設置。
さて、これで大体の準備は整ったかな?
明日は嫁達とユズユズを連れて、ちょっとだけこの最恐最悪攻略不可能な鬼畜ダンジョンの見学でもしましょうかね。
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