第418話  久々にやるぞ

「サラ、久々にやるぞ」

 ホワイト・オルター号の俺の部屋に、サラとリリアさんを呼び出した。

「大河さん、とうとうその気に。せめてシャワーを浴びたいんですけど…大河さんが匂いフェチなら、このままでも…」

 こいつは何を考えてるんだ?

「そうですか、久々という事は、すでにサラと経験があったのですね。新しいボディーにしてから、まだ3ヶ月も経っていないというのに、もう中古ですか…あ、鞭使います?」

 乗馬用の鞭を俺に差し出しながら、とんでもない事をリリアさんはのたまう。

「あのな…どんな勘違いしてんだよ! 久々にやるのは、ガチャ玉での創造だよ!」

「「えっ?」」

 こいつら…

「お前等と、どうこうなろうとは思わん!」

「「ええっ!?」」

 心底びっくりしたって顔してんな、この2人は…殴ったろか、マジで!

「ああ、もう話が進まん! ガチャ玉で創造すっぞ! 今回は大量に創るからな!」

「「はあ…」」

 何だ、その残念そうな顔は! 時間が無いから、さっさと創造すっぞ!


「ゴホン…気を取り直してっと。まずはガチャ玉の増産だが、現在所有しているガチャ玉を使ってからにする。今回は、簡単な物を創るんだが、とにかく数が必要だ。なので在庫を使い切ったら、ガンガン、ガチャ玉を増産します」

 すでに今までに何度か増産したり、結婚式関連で色々作ったりしたんで、正確なガチャ玉の残数が分からなくなっているので、この際まずは在庫一掃しちゃおうってわけ。

 最低限必要なガチャ玉だけを残して、まずはガンガン創造。足りない分を、ガチャ玉増産して創造。

 この流れが一番いいと思う。

 白黒マーブル模様と、黒っぽいのと、ぼんやり光ってるガチャ玉を、3個ずつ残しとけば、何があっても対応できるだろう。

 なので、その他のを一気に使っちゃおう!

「んじゃいくぞー!」

「「ちょっとまったー!」」

 ん? どしたん?

「そんなに一気に使ったら、私の脳みそが焼き切れます!」

 ???

「いちいち管理局に許可を申請してるんですから、脳神経がオーバーロードしちゃいますよ!」

 ものすごくサラが必死な顔で懇願してくるが、その為に…

「いや、ぶっ倒れたらリリアさんがいるじゃん。修理してもらえ」

「修理って、あんた…わたしゃ、電化製品じゃねーんだよ!」

「了解しました」

 サラが叫ぶが、リリアさんは実に冷静に修理を請け負ってくれた。

「リリア!?」

 仲間の裏切りに、酷くショックを受けたサラ…いや、そもそもサラの味方じゃなかったかもしれん。

「修理は可能です。常にスペアは準備してますので、どうぞ脳が焼き切れてアッパラパーになるまで、サラを使いまくってください」

 リリアさん、実にクールだ。

 絶望した顔の見本にしたいぐらいの変顔で、真っ青になってガクガク震えるサラは、完璧に無視。

「んじゃ始めようか。まあ、多分だけど、サラへの負担はかなり少ないと思うぞ?」

「へ? 何でです?」

 今度は間抜け顔か、サラ?

「ああ、だって過去に何度か創ったからな。すでに許可された物だったら、手続き簡単だろ?」

「何だ、そうなんですか。心配して損しましたよ。それで何を創るんですか?」

 あからさまにほっとした顔したな、こいつ。対してリリアさんは、もの凄く残念そうな顔だけど。

「ああ、女神ネスを空中投影した超小型の装置あっただろ? あれを大量に創造すんだよ」

「「へぇ…?」」


 女神像の立体映像投影装置。 

 最も古くは、あの真アーテリオス神聖国とグーダイド王国の戦争時に使い、ネス像やホワイト・オルター号にも搭載されている、ごくごく簡単な仕組みの物。

 投影された像は、リアルタイムで俺の思念波によって会話が出来る他、AI機能で簡単な会話ぐらいならこなす優れもの。

 今更、そんな物で…しかも大量に創って何をするのかって? それは出来てからのお楽しみ。

 まずは最低でも100個は必要だな。出来るなら、その3倍…300個は欲しい所だ。

 さて、頑張って創造しますかね。

「さ…300個…?」

 サラの脳が焼き切れるか、定数完成するか勝負だ!

「そんな勝負すんなーーーー!」

 もちろんサラの絶叫は無視だ無視!

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