第403話  環境改良かえる君

 明けて翌日。外は良く晴れて、周囲360度、雲一つない快晴。

 ただ昨日と違うのは、眼下に広がる大地。

 そう、昨晩の内に、【惑星改造わくわく君】が、しっかりと仕事をしてくれたようです。


『ええ、貴方がお愉しみだった間、私はずっとわくわく君の稼働を見守っておりました』

 それはそれは、リリアさんご苦労様です。

『私も、ずっとモニターしてましたよ!?』

 本当か? サラなら寝てたと思うんだが?

『寝てました。間違いなく、寝てました。私が仕事をしているというのに、ぐーすかぴーと寝てました』

『!!!』

 やっぱりな…リリアさん、全部終わったら、ゆっくりと休んでください。

『有難うございます』

『わ、私は?』

 サラは、当然だが母さんの元でメイド修行だな。扱かれてこい!

『げっ! あの若作りの鬼ばば…いえ、大奥様の元でですか!?』

 うん、今言い掛けた事も、ちゃんと伝えておくよ。死んで来い。

『いや~~~~~~~~~~!!!!』

 まあ、サラ弄りは毎日の日課という事で。


 眼下に広がる新大陸は、面積的には俺達が住む大陸と全く同じだ。

 広がる大地は、完全なる平野という点が見た目の違いかな。

 そして最も違うのが、この【大陸の体積】なのだ。

 見た目はしっかりした大地に見えるのだが、実はすっかすか。つまり、内部は空洞だらけなのだよ。  

 そして横から見なければ分からないのだが、この大地…実は海底から無数の柱で支えられた、お盆の様な形。なので、海面から約30mほど高い場所にある。

 どう表現したらいいんだろう…お誕生日ケーキに無数のローソクを立てて、それを水の入ったタライにひっくり返して入れて、ローソクがケーキを支えてる…って言ったらわかるかな?

 何でこんな形に大陸を創ったかというと、この惑星の自転や海流に関する問題解決のためってのもあったんだけど、それ以上に大量の転移者をこの大陸に留め置くための策のためというのが大きい。

 そうです、お察しの通り、新大陸創りはまだ始まったばかりなのです。

 

「トール様、これで新大陸は完成ですか?」

 奥様序列No.1のメリルの当然の疑問。

 最初に言った様に、見た目には遥か彼方まで続く大地が完成しているんだから、そう思うのも当然ですな。

「いやいや、これからが本番だよ」

 ふっふっふと不敵な笑みを浮かべた俺は、懐からレインボーに輝く2個の球を取り出す。

「それは?」

 ミルシェが不思議そうにソフトボールぐらいある大きさの球を指でつっつく。

「これは、【環境改良かえる君】だ!」

『かんきょうかいりょうかえるくん??』

 俺の答えを聞いた嫁~ずの声が揃った。

 かえるくんってフレーズが、ちょっと面白い。

「そう。これはネス様より賜った神具で、【惑星改造わくわく君】で創った大陸に、ネス様の考える環境を再現するものなのだ」

 胸を張って、じゃじゃーん! って感じで言ってみたが、反応はいまいちだった…ちぇ。

「ネス様の…神具なのですね。ですが、なぜ2個もあるのですか?」

 お、いい質問だ。

「ミレーラ君、とてもよい所に気が付きましたね。花丸をあげよう!」

 いいこいこしてあげると、めっちゃ嬉しそうなミレーラ。最近、すこしは大人っぽくなったと思ってたのだが、たまに幼児化してる気がするけど、俺の気のせいだろうか? ま、それはそれで可愛いけど。

「1個はこの大陸を人が住めるような環境に改良するための神具。そしてもう1個は、カーゴルームにその答えがあるのだ」

 マチルダが、唇に人差し指をあてて、ん~~~と考えた後、 

「カーゴルームというと、もふりんさんと魔物達の事ですか?」

 そう言った。

「そう! この大陸全体を、巨大なダンジョンにしてしまうのだ!」

『ダンジョンですか!?』

 嫁~ずの目が大きく見開かれた。どうだ、驚いたか! 驚いたよね?

『予想通りでした!』

 君達のような勘のいい嫁~ずは嫌いだよ…嘘でも驚いてくれたっていいじゃないか…

『だってそれ以外に、魔物を乗せて来た理由が思いつきません』

 そうだね…同じ立場なら、俺だってそう考えただろうね…。


「もうそれは良いや。リリアさん、大陸創造はこれで完了で良いかな?」

「はい。わくわく君の稼働停止を確認しました。これで大陸創造は完了です」

 よし! では次の作業に移行すっぞ!

「では、【環境改良かえる君】の投下ポイントまで移動するぞ~! これからが本番だ!」

 あ、これさっき言った気がするな… 

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