第385話 ブーケ…トス?
本当は、ここで結婚の証明書にサインをするんだけど…王城でやったから、今回は省略。
「では、新郎新婦が退場します。列席者の皆様は、出口で新郎新婦を盛大な拍手でお迎えください」
ナディアの説明に、頭の上に疑問符をいくつも浮かべながら、列席者の皆様が席を立ってチャペルの出口へ。
ここでは魔族さんが俺のリクエストで見事に再現してくれたこの曲、ウル〇ルズの「バ〇ザイ~好きでよ〇った」です。
この曲大好きだったんだよなあ~。この世界の楽器ではフレーズをなぞるぐらいしか再現できなかったけど十分だ。
ふっふっふ…さてさて、ここからがこのトール君の結婚式の真骨頂!
この世界の結婚式の常識をぶっ飛ばすぜ!
まずは、新郎新婦の退場。
まず先に退場してもらった来賓の皆様に、チャペルのバージンロードの向こうでまってもらいます。
バージンロードを歩きだした俺達に、色とりどりの花びらが降り注ぐ。いわゆるフラワーシャワー。
これは、妖精さんが姿を消したまま、俺達に花びらを振りまいているのです…紙で作った造花だけど。
何も無い空から舞い散る花びらの中を腕を組んで歩く俺達に、感嘆と喝采が巻き起こる。
バージンロードの終着点にたどり着いたら、天鬼族3人娘が花嫁に少し小さ目なブーケを手渡します。
もちろんこれも造花です。だって、今ってあんまり寒くは無いけど、一応冬ですからね。
さて、花嫁達は満面の笑顔で、手に持ったブーケをそれぞれ参列してくれたゲストの皆さまに向かって投げます。
ブーケトスだけど、地球とはちょっと違うのは、後ろ向きではなく前を向いて投げるって点。
あ、あとブーケを取った人が次に結婚できるとかじゃ無く、きちんと事前に、『幸福のおすそ分け。もしも取れたら、ちょっとだけ幸福が訪れるかも?』って説明を、ゲストさん達が集まった段階でナディアがしてくれてます。
肝心のブーケトスですが、花嫁5人が思い思いの方向に投げました。
メリルは目の前に居たコルネちゃんに、そっと手渡す様に軽く。
ミルシェは、ちょっと離れた所に居たドワーフメイド衆の輪に向かって、ポイっと。
ミレーラは、目をぎゅっと瞑って、「えいっ!」っと…男性陣が多い方に…いや、良いんだけど…。
マチルダは、実の妹であるアンシェラちゃんに、そっと手渡すかのように投げ渡す。
イネスは…大きく振りかぶって、大遠投! ブーケってあんなに飛ぶんだなあ…誰が取るんだよ、あれ。
ともあれ、異世界初のブーケトスは、大盛況(?)で終わった。
ここからは、俺の両親がゲストの皆様を誘導する。
チャペルの敷地に隣接する敷地に新たに建てられた、パーティーホール。ここで披露宴を行います。
一見したら、白い倉庫にしか見えませんが、これは装飾が間に合わなかったからではありません!
これから披露宴をするであろう、カップル達が自由に飾り付けを行ってもらうためです。ホントだよ? 装飾を考えるのが面倒臭くて、こじつけたわけじゃないよ?
この一見すると倉庫にも見えるパーティーホールには、すでにテーブルがセットされているので、各自ネームプレートの置かれている席へと着いてもらいます。入り口に席次表が貼ってあるので、混乱する事は特にないと思う。
うちの両親にゲストさんを誘導してもらってる内に、花嫁さん達はお色直し。
パーティーホールの裏側にあるお着換え室へと、そそくさと急ぎます。
あ、俺はこのままなんだけどね。だって男が着替えたって、華やかさが増すわけでもないしさ。
やっぱここは華やかな美女・美少女が主役でしょう。
もちのろんですが、ちゃんとお着換え室は男女別だからね?
あと、お値段は聞いてたけど、どんなドレスなのか俺も見てないから、ちょっと楽しみでもある。
さあ、どうやら花嫁のお色直しも終わった様なので、楽しい楽しい披露宴…いや、パーティーの始まりだー!
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