第380話  新アトラクション βテスト?

 そんな訳でこんな訳で、ご親族ご一行は、豪華ホテルのスィートにご宿泊。

 ゆっくりと温泉に浸かっていただいて、自慢のエステやマッサージで癒され、異世界料理を堪能していただこう。男性諸氏が、歓楽街で羽目を外して家庭崩壊の危機を迎えても、責任は取れませんけど…。

 我が家のメンバーと、父さん母さんコルネちゃんは、俺の屋敷で寛いでいただくことに。

 明日は、周辺観光を観光したり、温泉に浸かりに行ったりするらしい。

 

 さてさて、多くの方の関心集まる俺と嫁~ずなのだが、今夜も別々に就寝です。

 え、何故かって? 初夜はどうしたって? それは嫁たちには伝えてますが、俺の領地での結婚式の後に、軽く新婚旅行に出かけますので、そこでチョメチョメと決まったからです。

 まあ、決めたのは俺なんだけどね。

 だって、嫌じゃん。俺の屋敷ですると、使用人&サラ達に除かれてるような気がするし…

 いや、実際何処でしようとも、サラ達には筒抜けなんだけど…でも、同じ家の中でしてるのって、落ち着かないじゃんか。わかるでしょ? 

 だから、1週間の休みを取って、新婚旅行すんの。旅行と聞いて、皆はもの凄く喜んだよ。

 おかげで、帰宅と同時にこの1週間程の間に溜まった仕事と、この先の新婚旅行中の仕事で先に出来ることをしなきゃならなくなったのは、自業自得かもしれない。

 明日も1日あるけど、徹夜してでも終わらせる所存です! 落ち着いて初夜を迎える為にも!


 翌朝、俺は執務机に突っ伏して寝ていたようで、起きた時に頬っぺたに書類がくっきりと写ってた。

 書類には涎の跡が…こっそり乾かしておこう…ユズカにでも見つかったら、笑われるのがオチだからな。


 今日は、父さんと母さん、それにコルネちゃんとナディアに、ちょっとお仕事を頼んでいる。

 実は温泉街の一角にあるレジャーランド・エリアの新設アトラクションのテストをして貰うという、簡単なお仕事だ。

 多くの人が知っている様に、このアルテアン領発展の起爆剤となったのは、天を突くほどの高さを誇る第9番ダンジョンである。

 我がグーダイド王国には、モフリーナをマスターとする9九番ダンジョンの他には、小さな規模のダンジョンしかない。

 俺は見た事が無いんだが、そっちは非常に規模の小さなダンジョンだという。

 まあ、モフリーナに何かと俺のエネルギーを分け与えてダンジョン拡大に努めた甲斐あって、モフリーナ曰く『このダンジョン以上のダンジョンは、今後数千年は現れないでしょう』という事なので、アルテアン領がそのお零れに与かったって心は痛まない。

 王国中にその存在が知れ渡った第9番ダンジョンではあるが、それに挑戦して宝を手に入れたり、内部を見て周る事が出来るのは、ある程度以上の武力を持つ者に限られる。つまりは冒険者だな。

 何が言いたいかというと、多くの人にとっては話でしか聞く事の出来ないのが、ダンジョンという特殊な場所であるという事。

 話でしか聞けないダンジョンは、力を持たない物にとっては憧れの場所。

 特に子供は、ダンジョンでの冒険に強いあこがれを持っているのだ。

 であればだ、これを商売のネタにしないなど、勿体ないお化けが出るというものだ。

 アトラクションとして、『君もダンジョンに挑戦だ!(推奨年齢6歳~12歳)』を、モフリーナ監修の元、全力でトールヴァルド地区の総力を挙げ、苦節2年かけてとうとう完成させたのだ!

 魔物はすべて着ぐるみで、入場者はスポンジの様に柔らかい素材でできた剣で戦う。

 ある程度、魔物役の着ぐるみは攻撃を避けるが、適度にやられてあげて宝の入った袋を渡す。

 袋の中身は、お菓子や木製の玩具などなど。

 もちろん"子供冒険者"に怪我などさせない様に、細心の注意をスタッフさんは心がけてます。

 当然ながら着ぐるみを着ているスタッフさんの体調も考え、着ぐるみ内部を冷却するような仕組みを呪法具で作成。

 着ぐるみ内も、快適温度が保たれていますので、スタッフさんの体調管理もばっちり! トールヴァルド・カンパニーは、ホワイト企業なのです!


 って事で、営業前の最終テストとして、コルネちゃんに体験してもらう事にしました。

 父さん、母さん、ナディアは、単なる付き添いです。

 いや、本当に付き添うだけにしてくれと、父さんには念を押しました。

 あの脳筋が暴れたら、素人さんの着ぐるみ魔物が大怪我するかもしれんからな…。

 あと、コルネちゃんにも、純白の創界シスターへのメタモルフォーゼは禁止しておりますよ。

 火魔法とか撃たれたら、マジで危険だからな。


「あくまでも普通の子供が遊ぶ場所です。魔物は着ぐるみを着た普通の人なので、危険な攻撃は厳禁! 入り口で渡された剣でしか攻撃しちゃいけません! わかりましたか? これはあくまでもこのアトラクションの性能や機能、使い勝手などを評価してもらうためのテストですからね?」

 最終注意事項を伝えると、コルネちゃんは、

「は~い、わかりました~! コルネ、頑張るね~!」

 といって、楽しそうに駆けだして行きました。

 母さんとナディアは、そんなコルネちゃんを見てニコニコ顔。

 父さんは、「偽物か…」と不満顔だったが。

 いや、あんた暴れたければ、本物のダンジョン行って暴れてこいよ! 

 絶対に子供のアトラクションで、大人気なく暴れたりすんなよ!

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