第335話 ヤツが来る
結婚式の準備は着々と進んでいた。
良く、結婚は人生の墓場とか表現する奴もいるが、確かに結婚って制度に関しての悪い面だけを捉えればそう言えなくもない。
だけど、それって本当は別の意味だとか聞いた事があるんだよね。どこぞの国の人が言った言葉を誤訳したとか何とか。
まあ、文字面から結婚が悪い事みたいに感じちゃうのは良くないと思うよ。
だって、結婚って悪い事ばっかりでも無いだろ? 好きな人と公に一緒に居る事を認められるんだし、共に幸せな人生を歩めるって事だよな。
いや、結婚できたからって幸せになれるかは、また別問題か。
前世の日本では、数分に1組の夫婦が離婚してるとかニュースで見た事あるし。
この世界では、簡単に離婚は出来ないから、お見合いだとか親の決めた結婚だったりしたら、墓場まっしぐらって感じちゃう人も、確かに居るんだろう…
この世界の父さんと母さんは大恋愛結婚だったらしい。
詳しくは知らないんだが、母さんは結構良いところのお嬢さんだったそうだ。
んで、一介の騎士である父さんとの結婚をなかなか認めて貰えなかったらしいのだが、戦争で滅茶苦茶頑張って手柄をあげた父さんは、上級勲民となり貴族の末席だが名を連ねる事が出来たので、結婚のお許しが貰えたそうだ。
…その結婚を許した人って、祖父母? 未だにあった事も無いし、生きてるのか死んでるのかも知らんのだが。
そう言えば、父さんには親類縁者が居ないらしい。らしいってのは、それ以上教えてくれなかったから。
何だか聞きづらい感じだったんで、こっちも詳しくは聞けなかった。
母さんの姉さん、つまり俺の伯母さんにあたる人には会ったけど、母さん達の実家にかんしては何一つ聞けてない。
従姉にあたるマチルダも、実は知らないそうだ。
う~~ん…俺の親戚って、謎だ。
もしも血縁者が居るのなら、会ってみたい気がする…ちょっと怖いけど。
結婚してもう17年も経つのに、いまだにラブラブ夫婦なので、2人にとっては結婚は墓場じゃなかったらしい。
俺も父さんと母さんの様に、何時までも仲良く嫁達と過ごせればいいなと心から思う。
いや、父さんは母さん独りだが、俺には5人…そこは違うんだけど…そこは、俺が頑張るしかないんだよな。
さて、結婚式への招待状も各方面に配り終わったし、プログラムも完成したんで、あとは俎板の鯉状態なわけだ。
婚約者~ずのドレスも、何とか結婚式までに間に合うとの事で、一安心。
何故だかサラが妙に張り切って、婚約者~ずの親類縁者の送迎を請け負ってくれたのは、ちょっと不安だが。
ホワイト・オルター号での送迎だから、まあそんなに大変じゃないはずだけど…お客様に、いらん事を吹聴しそうなんでさ。
唐突に暇が出来たので、ユズキを召喚。
何をするのかって? そりゃ呪法具の作成ですよ。
俺がガチャ玉で創り出したこの世界に無かった新たな概念・法則である呪術(呪いじゃないよ)は、その詳細を一切世間様には広めてない。
いや、呪術に使用する文字って漢字だから、この世界に広めても誰にも理解されないじゃん。
それに基礎を作り上げれば、あとは模様として漢字をコピーしたら使えるんだから、広める意味も無いわけなのだよ。
つまり、呪術と呪法具の基礎研究は、俺とユズキとユズカにしか出来ないって事なのだ。
ほぼ独占状態! やりたい放題できるのだ! 忘れてる人も多いと思うけど…
「それで、今度は何を開発するんですか、子爵様?」
今度は何を作ろうかなあ~るんるん♪
「ユズキも考えてよ。この世界で再現できそうな地球の電化製品とか」
「う~ん、そうですねえ…」
2人で楽しく開発するぞ~!
『楽しそうな所に、非常に申し訳ないのですが…』
んにゅ? どうした、サラ?
『たーーすーーけーーてーー!!』
どうした、どうした!?
『悪質なストーカーに、居場所がばれました!』
ストーカー?
『そうです! 聞いてください!』
(´・д・`)ヤダ
『…すっごい人を舐め切った顔文字が頭に浮かんだのですが…』
気のせい気のせい(笑)
『ヤル気あるんですかー!?』
いや、全くもってこれっぽっちも無いのだが。
『プリティーサラちゃんの貞操の危機なんですよ!?』
お前に貞操観念があったとは、驚いた。
『ちょっとは有ります!』
ちょっとなのか…まあいい。それでストーカーって?
『元同僚です』
同僚って…輪廻転生管理局の?
『ええ…同期のヤツです』
ふ~~ん…鼻ほじほじ…
『困ってるんです! ヤツが来るんです!』
ここに?
『ええ、ここです!』
いいじゃん、たまにはお茶でもしてあげれば?
『いーやーでーすー! だってあいつは…あいつは…』
あいつは?
『ガチレズでドSなんですよーーーーー!』
知らんがな…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます