第六章  いざ決戦の時!?

第225話  頑張ったよ、俺…

 この2ヵ月で、領内の難民対策は急ピッチで進められた。


 まずは雇用問題だが、蒸気自動車の新しい組み立て工場を、2ケ所に建設。

 ま、基本的にでっかい倉庫で十分なので、これは比較的早期に完成した。

 次いで、蒸気自動車の各部品工房の拡大と新工房の建築。

 もうそこそこ出来る職人さん達を工房長という名の班長に任命して、あちこちに造りまくった。


 次に通信の呪法具製造工場。

 これも携帯電話でいう所の、ガワだけをガンガン増産しているので、こっちも工場を増築中だ。


 ちなみに、蒸気自動車も通信の呪法具も、もっとも大事な基幹部品は、ブラックボックス化して俺の領地の中で最も信頼のおけるドワーフ職人さんだけで製造しているので、秘密が漏れる心配はありません。

 そもそも、シールドで守られた異種族保護地区内で製造しているので、侵入する事が難しいのだよ。

 たとえ侵入したとしても、広大な森の中でどの種族の村がどこにあるのか、わかりっこない。

 もしも侵入出来たとしても、森の中で遭難するだろうねぇ…でっかい熊とか猪もいるから、死んじゃうよ? 間違いなく。

 あの森は、虎バスが無ければ、縦断は難しいのだ!


 さらにさらに、雇用対策として新事業も起業した。これは簡単な運送事業。

 難民の中から選抜した兵達を訓練して、長距離バスと長距離トラックによる輸送を《アルテアン↔王都↔真アーテリオス神聖国↔スベルド大公爵領》を結ぶ、人と物を運ぶ事業に乗り出しました。

 つまり、王都の西の端っこから東の端っこまでを結ぶ、大輸送路線の完成です。

 長距離の運転は大変なので、運転手さんは基本的に2時間ごとに交代。

 バスは、護衛兼運転手として、常に4人を乗り込ませてます。

 運転手、護衛、休憩をローテーションで回しながら、昼間だけ走らせます(⇐ココ大事!)。夜間走行は禁止!

 トラックは、運転手3名でローテーション。

 荷台に簡易ベッドを設置してあるので、順番に休憩を回しながら安全運転でお願いします。もち、夜間走行は禁止です!

 交通事故とイジメは、ダメ、絶対!


 あれよあれよと、数千人規模での雇用対策が完了。

 んで、地下都市(地下住宅)にいつまでも住まわせるのも何なので、大工さんにも張り切って3階建ての集合住宅を、ガンガン建設してもらってます。

 他領からも出稼ぎ大工さんが集まって、日々タケノコみたいにニョキニョキとアパートが建っていきます。

 俺の領地の保護地区の森からも、マッチョエルフさんが斧を持ってどんどん木を切っては運び出してますが、それだけじゃ全然足りない!

 慌てて近隣の領にお願いして木材を爆買いしました。


 そうそう、某男爵事件で新しく領主となったご近所の貴族さん達も、この降って湧いた特需に大喜び。

 いきなり想定税収を大きく超える収入となったのだから、さもありなん。お礼の品が山ほど父さんの屋敷に届いた。 

 これを指を咥えてみてる事など出来ないのが、国王陛下と内務大臣。

 ここぞとばかりに、私財をこれでもかと投入し、ビッグウェーブに乗りに来ましたよ…是非とも投資させてほしいだってさ。

 株式の理解は、なかなかして貰えなかったのだが、投資してくれたら利息付けてリターンするよって事だけは理解できたみたい。

 ま、驚くほど投資してくれました。

 

 ただ、この材木の特需で価格の高騰が起きる恐れがある為、事前にきちんと価格協定は結んでおります。

だって、江戸時代の材木商みたいに、巨万の富を築いた多量の領主が、特需終了と同時に没落なんて事になって欲しくなかったからね。確実に一定の利益を得てもらう事が大事。

 他にこれと言った産業を持たない他領だから、特に注意が必要。

 再投資先の無い濡れ手に粟は、絶対に危険なのだよ、諸君。覚えておきたまえ。


 ってな感じで、着々と対策を講じている内に、王都のスラムからも大勢の移民がやって参りました。

 彼等にも一旦は地下都市に住んでもらい、適性を見極めつつ仕事を斡旋。

 いつかはちゃんとした住宅で生活出来る様に、生活や就労の相談やサポート要員も準備中。

 もちろん、孤児たちへのサポート体制も充実。

 10歳未満は、生活全般と、読み書きと簡単な計算といった教育も無料。

 専門知識を学びたい子には、10歳を迎えたらその道の工房への見習いとしての就職を斡旋します。

 孤児院は15歳まで入所できるので、じっくりとやりたい事を探しつつ、勉強してもらえればOK!

 見習いでお金をしっかり溜めて独り暮らしして貰えたら、万々歳です。

 上手くいかなくとも、15歳の成人までは、しっかり面倒見ますよ~!

 成人したら、あとは知らん! 俺の方針として、働かざる者食うべからずだからな。

 職人、兵士、冒険者、商人、その他諸々…我が領では、仕事に困る事は無いはずだからな。


 ってな事を毎日頑張ってこなしていますが、最も忘れてはいけない最重要案件も、ようやく満足のいくレベルになりまして、この度オープンする事となりました。

 え、何の事かって? もちろん決まってるじゃあ~りませんか!

 スーパー(じゃないけど…)温泉と、エステ&マッサージ店です!

 母さんとの約束から、早2ヶ月半…完成して良かったよ(涙)。

 顔を合わせれば 『エステは? 温泉は?』 って聞かれるし、通信が入れば 『まだなの? 忘れてないわよね?』 だよ?

 マジで怖かった…。オープン出来なかったら、俺、死んでただろうなぁ…………

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